近年、ドライブレコーダーの普及により、交通事故などの情報の記録・処理が容易になりつつある。ドライブレコーダーを自動車に搭載すれば、事故の際の事実確認としての役割を果たすことはもちろん、映像を確認することで、自分自身の運転における危険な点を客観的に見つめ直すといったメリットもある。
一方で、ドライブレコーダーに記録される映像には、顔や表札、車のナンバープレートなど、多くの個人情報が含まれる。事業者の個人情報の取り扱いについては、個人情報保護法を遵守する義務がある。6月12日には、改正個人情報保護法が公布された。「保有個人データ」該当に必要な保有期間要件が撤廃されるなど、規制は厳格化する傾向にあるという。
今回、TRUST SMITH社が開発に成功した「ドライブレコーダー映像から個人情報を取り除くAI」は、個人の顔面や表札、車のナンバープレートなど、個人情報に関わる要素をすべて自動かつリアルタイムで認識し、該当箇所をモザイクのように自動で消してくれる。
本技術を活用することで、既存の映像処理技術では困難だった、オンプレミス(自社運用)での処理が可能になる。最先端の技術を活用した独自のライブラリにより、情報量の多い高精度の映像でも高速に処理できるとしている。
また、本技術は、プライバシーの問題解決はもちろん、コスト面のメリットも期待できる。改正個人情報保護法により、長期間保存しない顔写真データなどについても、開示請求や利用停止請求に応じる義務が発生し、事業者の個人情報取り扱いコストの増大が予想される。本技術を活用することで、映像は個人情報ではなくなるため、個人情報取り扱いに関する法的義務を免れられるとのこと。