47.5%が「上下年齢間で循環」 フリマアプリ取引に関する調査

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メルカリ総合研究所は、博報堂生活総合研究所と共同で、「フリマアプリ取引構造の実態分析」に関する研究を実施したと発表した。

今回、両者は、様々な年齢・性別の方が利用しているフリマアプリの中で、どのような取引構造が生まれ、どのようにモノが循環しているのかを明らかにすべく、2019年のメルカリ取引データから、商品カテゴリー毎に出品者・購入者の年齢分布を分析。

なお同研究では、「メルカリ」で取引されている全1,199商品カテゴリーの出品者・購入者年齢分布を分析。そして、取引の傾向から商品カテゴリーを以下の3つに分類し、その割合を抽出している。

・年上から年下への「おさがり型」

出品者の平均年齢が購入者の平均年齢より1.0歳以上高い商品カテゴリー。

・年下から年上への「逆おさがり型」

出品者の平均年齢が購入者の平均年齢より1.0歳以上低い商品カテゴリー。

・出品者・購入者の平均年齢が一致する「年齢一致型」

出品者と購入者の平均年齢の差が1.0歳未満の商品カテゴリー。

商品カテゴリー最多は「年齢一致型」

メルカリで取引される全1,199商品カテゴリーの出品者・購入者年齢分布を分析したところ、38.0%が「年齢一致型」、27.0%が「逆おさがり型」、20.5%が「おさがり型」であることが明らかとなった。

また、「逆おさがり型」と「おさがり型」を合わせると、47.5%が、上下の年齢間でモノが継承される構造を持った商品カテゴリーであることがわかったという。

年上から年下へ、「おさがり型」商品カテゴリー

「おさがり型」の傾向を示す商品カテゴリーの中でも、上世代から20歳前後、Z世代の若者に文化が継承されている「ダーツ」「美顔ローラー」「フィルムカメラ」「スケートボード」を例示。

ダーツの場合、出品者の平均年齢は33.3歳、購入者の平均年齢は30.4歳。

また、出品者は20代後半から30代、購入者は20代前半を山として分布していることがわかる。

ダーツの他に、麻雀なども同様の年齢分布を示している。ともに男性の取引者が多い商品カテゴリーであるが、成人したばかりのZ世代(90年代半ば以降生まれ)に、年上のミレニアル世代(80年代~90年代前半生まれ)からオトナの文化が継承されている様子が伺えるとのことだ。

美顔ローラーの場合、出品者の平均年齢は38.4歳、購入者の平均年齢は33.9歳。また、出品者は30代、購入者は10代後半から20代前半を山として分布していることがわかる。

同様の年齢分布を体重計なども示しており、ともに女性の取引者が多い商品カテゴリーとなっている。美容に目覚めた20歳前後のZ世代に、ミレニアル世代からツールが受け継がれている様子が見て取れるとのことだ。

フィルムカメラの場合、出品者の平均年齢は39.2歳、購入者の平均年齢は32.2歳。また、出品者は全年代にわたり満遍なく分布し、購入者は20歳前後の年齢が突出していることがわかる。

Z世代はスマホ、SNSネイティブである一方、フィルムカメラやカセットテープなど、あえて画質や音質などのクリアさを抑えたアナログツールにも興味を示す世代とのことから、データにもその傾向が表れているとしている。

スケートボードの場合、出品者の平均年齢は36.1歳、購入者の平均年齢は32.4歳。また、出品者は30代後半から40代前半を山として分布していることがわかる。

一方で、購入者は10代後半から20代前半、30代後半から40代前半と、2つの山が存在。90年代のストリートブームの中でスケボーを楽しんだ世代が今でも同世代間で取引をしている一方、その文化はZ世代にも受け継がれていることがわかるとしている。

年下から年上へ、「逆おさがり型」商品カテゴリー

「逆おさがり型」の傾向を示す商品カテゴリーを「コーヒー」「ドライブレコーダー」「入浴剤」「練習機器(野球)」で例示する。

コーヒーの場合、出品者の平均年齢は38.8歳、購入者の平均年齢は43.7歳。また、出品者は30代、購入者は40代を山として分布していることがわかる。

同様の年齢分布を「茶」など他の嗜好性飲料も示しており、贈答品などを自宅で使いきれない下の世代から、上の世代にモノが循環していることが伺えるとのことだ。

ドライブレコーダーの場合、出品者の平均年齢は38.4歳、購入者の平均年齢は43.5歳。また、出品者は30代、購入者は40代後半から50代前半を山として分布していることがわかる。

同様の年齢分布を「防犯カメラ」など他の安心のためのツールも示しており、新しいツールに明るい下世代から上世代に拡められていることが伺えるとのことだ。

入浴剤の場合、出品者の平均年齢は37.8歳、購入者の平均年齢は41.0歳。また、出品者は30代前半、購入者は40代前半を山として分布していることがわかる。

同様の年齢分布を「電気ヒーター」など他の”温もり”に関連する商品も示している。また、「乳液/ミルク」など他のコスメ系消費財カテゴリーにも「逆おさがり型」であるカテゴリーが多く存在するとのことだ。

主にボールが取引されている練習機器(野球)の場合、出品者の平均年齢は37.4歳、購入者の平均年齢は38.9歳。また、出品者は18歳に突出した山があり、40代後半にもう一つの山がある一方、購入者は40代前半を山として分布していることがわかる。

40代の近い世代間で取引がある一方、部活を引退した18歳の高校球児から、野球を始める子どもを持つ親や指導者の世代に「逆おさがり」していることがわかる。

さらにいえば、親や指導者を介して、引退する高校球児から次の世代の球児にボールが受け継がれている、という流れも考えられるとのことだ。

「年齢一致型」商品カテゴリー

「年齢一致型」の傾向を示す商品カテゴリーを「バッジ(アニメ・コミックグッズ)」「スニーカー」で例示。

バッジ(アニメ・コミックグッズ)の場合、出品者の平均年齢は27.7歳、購入者の平均年齢は28.2歳。また、出品者・購入者の年齢分布が10代後半を山として、ほぼ一致していることがわかる。

その他にも、模型などおもちゃ・ホビー関連、釣りなどスポーツ・アウトドア関連といった趣味性の高い商品カテゴリーでは、出品者と購入者の年齢が一致するカテゴリーが多くあったとのことだ。

スニーカーの場合、出品者の平均年齢は34.6歳、購入者の平均年齢は35.2歳。また、出品者・購入者ともに、10代後半から20代前半、30代後半と2つの山があることがわかるという。

同様の年齢分布は、「ブルゾン(メンズ)」などの他のメンズファッションカテゴリーでも散見されたとのことだ

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