WACULの社内研究所であるWACULテクノロジー&マーケティングが、GoToキャンペーンがデジタルマーケティングの観点でどこまで影響を与えたのかをまとめたレポートを公表した。
主な調査の結果は以下になる。
- 観光業界全体は前年同月水準まで回復
- もっとも強く回復したのはレジャー施設
- 宿泊施設は前年同月水準に戻せず
- 旅行代理店は苦境が続く
観光業界全体は前年同月水準まで回復
4月の前年同月比-65%を底に回復し、6月には同-29%、そしてGo To Travel キャンペーンの発表された7月には同-4%と、ほぼ前年同月比水準まで回復しているという。
従来から、8月の夏季休暇期に向かって、サイトの訪問数は伸びる傾向にある。
しかし、依然として新型コロナウイルスの感染者数はむしろ増大し、パンデミックの恐怖と隣り合わせではある中で、同社は、前年同月比水準を回復したのは、コロナの自粛疲れに加えてGoToキャンペーンの効果があったとしている。
もっとも強く回復したのはレジャー施設
4分類(ポータル、レジャー、宿泊、代理店)のなかで最も強く回復を見せたのはレジャー施設。前年同月比は+40%と大きく回復。Go To Travel キャンペーンとはあまり関係のないレジャー施設がここまで強く回復したのは、これまで閉鎖されるなどしていた施設が、予約をネットで受付して入場者数をコントロールすることで、稼働をはじめたことが大きいとしている。
次に回復したのはポータルサイト
次に回復を見せたのは旅行ポータルサイト。もともと情報サイト関連が多いこともあり、こちらは底であった4月も前年同月比-50%と、他に比べると大きな落ち込みはなかったが、6-7月と順調に回復。
やはりGo To Travel キャンペーンやコロナ疲れからか、7月には前年同月比は+7%とプラスに転じている。
宿泊施設は前年同月水準に戻せず
宿泊施設は、底であった4-5月は前年同月比-59%と、中程度の落ち込み。そこから、6-7月は大きく回復し-26%となった訪問者数は、以外にも7月もほぼ横ばいの-25%となり、前年比プラスとはいかなかった。
旅行代理店は苦境が続く
また、旅行代理店は厳しい状況が続いていることが明らかとなった。4月は前年同月比-79%、5月も同-77%とかなり厳しい状況であった。また、6月から大きく回復の傾向はみられるも、7月はGo To Travel キャンペーンがあったにも関わらず同-41%にとどまった。
CV数はどうだろうか。旅行代理店のCVポイントは予約であるため、ほぼ件数と見て問題ない。同社の旅行代理店のCV指数では、4-5月は前年同月比で約-90%で横ばいであった。
実際、観光庁が7月17日に発表した主要旅行会社の5月の旅行取扱高は、JTBが-96.4%、日本旅行が-98.2%と実に厳しい状況になるという。
また、近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT-CTホールディングスの旅行取扱高も4月同-97.4%・5月同-98.8%、エイチ・アイ・エスの国内外の旅行総取扱高の速報値も4月同-98.5%・5月同-98.2%である。
4-5月がほぼ横ばいという傾向は、この当社の指標のトレンドと同じであるという。