アドビは、東京都の消費者1,000人を対象に実施した「COVID-19(新型コロナウィルス)禍における消費行動の変化に関するリサーチ」をの調査結果を発表した。
調査では、外出自粛をきっかけに今後はオンラインのさらなる活用、および、オンラインとオフラインを併用した購買行動が加速化することが明らかになったという。
店舗購入のみだったものが今後オンラインと店舗を併用した購入へシフト
外出自粛をきっかけにオンラインで購入した商品で最も多かったのは、「生鮮食品以外の食品・飲料」(30.9%)となり、次いで、「本・雑誌・コミック」(28.8%)、「衣類・靴」(26.4%)があがったという。
一方で、コロナ収束後はオンラインと店舗を併用すると回答したものが、「飲食店が提供する食事」(68.2%)、「生活必需品・トイレタリー」(67.3%)、「生鮮食品」(67.3%)の順にあげられ、生活の基盤となるものや緊急性の高い商品などは、今後、店舗だけでなくオンラインでも購入する意向が高い傾向にあることが明らかになった。
オンライン購入は効率性、店舗購入は実物確認
オンラインで商品を購入するメリットには、最も多くの項目で1位が「配送してくれる」、2位が「商品の検索や比較をしやすい」となり、外出を控える目的や効率性を重視する傾向が見られたという。
一方で、店舗で購入するメリットには、最も多くの項目で1位が「実物を確かめたい」となり、2位、3位には「店舗に行くこと自体が楽しみ」、「店舗だと知らなかった商品を発見できる」など、店舗ならではの体験を求める傾向が見られ、オンラインと店舗での購入では、消費者が求めるものが異なることがわかったとのことだ。
- 「飲食店が提供する食事」(60.0%)「本・雑誌・コミック」(48.2%)「化粧品」(42.2%)では「店舗に行くこと自体が楽しみ」との回答が多く寄せられた。
- 「酒類」(40.7%)「生活必需品・トイレタリー」(31.7%)「生鮮食品以外の食品・飲料」(29.1%)では、「店舗だと知らなかった商品を発見できるから」との回答が目立った。
外出自粛をきっかけに、オンラインの金融サービスのメリットが浸透
銀行、保険、資産運用サービスを含む「金融サービスの利用」については、利用者全体の約6割(58.2%)が今後もオンラインでの利用を継続すると回答。
同社は、他のオンラインサービスでは対面/店舗と併用する利用意向が最も多かったことと比べると注目すべき結果としている。
特に、金融サービスをオンラインで利用する理由として、「オンラインでも満足できるサービスが受けられると知ったから」(37.9%)や、「店舗や開催場所に行く時間がないから」(37.1%)が最も多く挙げられており、外出自粛をきっかけにオンラインサービスによる正確性や効率性といった、店舗に行く以上のメリットが認識されたと考えられるとのことだ。
外出自粛期間中の外出理由は「押印や署名および本人確認が必要な手続き」
「オンラインサービスが発展していない」ために外出自粛期間中にやむを得ず外出した理由として多く挙げられたのが、「押印や署名が必要な手続き」(51.9%)「本人確認が必要な手続き」(42.7%)。
これは、先日アドビが発表した「中小企業経営者に聞いた判子の利用実態調査」にもあるように、生産性向上のために判子の習慣をなくしたほうがいいと考える経営者が多い一方で、電子サインなどを利用した電子契約の利用率が限定的である点とも一致しているという。
また、「オンラインサービスが発展していない」ために外出を延期したものとして最も多くの回答が寄せられたのが、「通院・受診」(48.5%)となった。
また、今後のオンラインサービスで求めることの第1位に「医療分野での普及」(34.1%)が挙げられたことから、医療分野におけるオンライン化は、外出自粛期間を通じてさらにニーズが高まっていることがうかがえる。
「COVID-19(新型コロナウィルス)禍における消費行動の変化に関するリサーチ」調査概要
アドビがEdelman Japan調査部門に委託し、東京都在住の外出自粛期間中オンラインサービスを利用した20~60代の1,000人を対象とした、デジタル消費やデジタルエクスペリエンスに関するオンライン調査(2020年5月27日~28日実施)