東京大学の染谷隆夫博士の研究チームと大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術を進化させ、薄型で伸縮自在なフルカラーのスキンディスプレイと駆動・通信回路および電源を一体化した表示デバイスの製造に成功したと発表した。
この装置は、皮膚上に貼り付けたディスプレイに外部から送られた画像メッセージを表示できるコミュニケーションシステム。
スキンディスプレイの通信・駆動回路、電源を一体化したことにより、スタンドアローンのコミュニケーションツールとして利用できるとのこと。
例えば、遠く離れたところにいる人からの応援メッセージが、あたかも自分の身体の一部に灯るかのようにLEDの発光で表示できるという。
その結果、SNSやメールでのコミュニケーション以上に、相手のメッセージを受け手が身近に感じる効果が期待される。
曲がるだけのディスプレイは商品化済みであるが、伸び縮みするディスプレイや皮膚に貼り付けることができるレベルの極薄ディスプレイは、研究開発段階の試作品が数件報告されているだけだという。
同チームは、2009年5月に世界初となる伸び縮みする16×16個の有機エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイを、2016年8月に厚さが1マイクロメートル(μm)の極薄の有機EL素子で7セグメントのディスプレイを、2018年2月には、同研究の先駆けとなる単色スキンディスプレイを発表した。
同研究では、発光素子として無機半導体を発光材料としたLEDと独自の伸縮性ハイブリット電子実装技術を駆使することで、従来の伸縮性ディスプレイよりも優れた大気安定性と機械的耐久性を同時に達成。
伸縮自在なディスプレイを皮膚にフィットさせ、かつ人の動きに追従させた状態で、数百個のLEDが1画素の故障もなくフルカラー動画を表示できたのは、世界初だという。