KDDI、KDDI総合研究所、国際電気通信基礎技術研究所(以下 ATR)、XNefは、脳神経科学とAIを組み合わせ、スマートフォンの使い過ぎなどの「スマホ依存」に関する共同研究を7月10日に開始したと発表した。

現在、KDDIは「KDDI Sustainable Action」の「心をつなぐ~安心で豊かなデジタル社会構築~」に基づき、「KDDIスマホ・ケータイ安全教室」などの啓発活動に取り組んでいる。

また、KDDI総合研究所は、近年の青少年のスマートフォン・インターネットの利用が長時間化する傾向も踏まえ、2016年度からスマートフォンの使い過ぎによる影響の調査・研究を行っているという。

今回、両社は、科学的な観点での「スマホ依存」に関する研究を進めることが必要と考え、人工知能を応用したデータドリブンで高度な脳活動計測・解析技術で実績のあるATRおよび脳神経科学研究の医療への応用・実用化を行っているXNefと「スマホ依存」の改善・予防を目指す研究を以下の通り開始。

1.脳・行動情報に基づく「スマホ依存」の推定
スマホ依存だけでなく、依存状態にある場合は自覚が難しいため、同研究では、脳情報やスマートフォンの行動情報をAIで解析し、スマホ依存の状態を検知する手法の開発を目指す。

2.脳活動を活用した「スマホ依存」の軽減
精神疾患では、投薬などの物理的なアプローチではなく、心や身体、脳に働きかける心理的なアプローチによる治療法が検討されている。実証実験では、DecNef法(※)を活用し、スマホ依存を引き起こす脳活動を可視化し、軽減する手法を研究。

また、今後は、病院などの医療機関との協力関係を構築し、研究活動を拡大していくとしている。

なお、各社の役割は以下の通り。

KDDI:より快適なスマートフォン利用環境の実現に向けた研究開発
KDDI総合研究所:「スマホ依存」の実態解明、「スマホ依存」を軽減させるための行動変容技術の研究開発
ATR:スマートフォンの利用に関する脳活動・行動の解析とDecNef法の応用
XNef:DecNefシステムの研究開発、臨床開発戦略の提案

4社は、スマホ依存の実態調査・解明を進め、改善につながるスマートフォンアプリを2024年度に実用化を目指すという。

そして、この共同研究とスマートフォンアプリを通じ、誰もが適切にスマートフォンを利用できる安心で豊かなデジタル社会の実現を目指すとのことだ。

(※)Decoded Neurofeedbackの略。fMRIと人工知能技術を組み合わせ、対象とする脳領域に特定の活動パターンを誘導する方法。ATRで実施された研究により、世界に先駆けて開発された。