不動産のチラシにおける景品表示法の制約にも対応
オープンハウスが開発した物件チラシ全自動作成システムは、音声やテキストチャットでロボットに該当物件名を伝えることで、ロボットがRPAによってチラシ作成に必要な情報を社内システムから自動収集する。その後、AIが物件チラシを自動作成し、約2~3分でチャットやメールに返信される。
不動産のチラシには、景品表示法にて内容などに制約がある。これまでオープンハウスでは、その制約などのルールから逸脱しないために、審査にも時間と労力をかけていた。しかし、本システムを活用することにより、AIがルールに則ったうえで正しい情報を自動入力するため、審査自体のプロセスも大幅に短縮化および効率化される。
また、本システムの特徴は、「立地」「価格」「間取り」「学区」など、顧客に対しておすすめするポイントを変えたさまざまなバリエーションを最大14パターン作成できる点だ。そのため、顧客ニーズに合わせてチラシを選ぶことができ、その場そのタイミングで最適な提案が可能になる。
今後オープンハウスは、AIが作成するチラシのバリエーションを増やすだけでなく、本システムおよび技術を対面営業だけでなくメールやLINEなどにも展開していく。これらの取り組みを通して、“withコロナ時代”でも顧客の安心・安全を最優先に考慮しつつ、さらなる業務の効率化を目指す。
AIの内製化を進めるオープンハウス 年間2万時間の削減に成功
物件チラシ全自動作成システムは、オープンハウスの社員のみで開発したというのも特徴のひとつ。
オープンハウスでは過去にもAIやRPAの開発から導入を自社内で完結させており、年間2万5700時間の作業時間の削減に成功した例を持つ。
不動産会社に貼り出されている物件案内図には、“帯”と呼ばれる部分がある。帯には、どの不動産会社が請け負っているのか、連絡先はどこなのか、そして免許番号の記載に至るまで、必要な情報が記されている。不動産の仲介において、他社の取り扱い物件を紹介することは基本的には可能だ。その際、物件案内図の帯は自社の内容に差し替える必要がある(とされている)。その作業が帯替えである。
オープンハウスでは、帯替え作業をディープラーニングによる機械学習を活用することで、年間で2万時間も工数削減に成功した。機械学習時に使われた「データ」は、過去に作成された帯替えした案内図およそ4000データ。過去に作った膨大な量の物件案内図を活用したため、データを新たに作成してはいない。
オープンハウスのAIやRPA活用の取り組みについては、2019年12月に取材した記事を掲載しているので、合わせて読んでほしい。