いま、働く場所、とりわけオフィスに対する考え方が、大きく変わろうとしています。

これまでのワークスタイルは、会社(もしくは勤務地)まで足を運び、特定の場所で仕事を行うのが一般的でした。

しかし近年、働き方改革によって従業員一人ひとりの生産性向上が求められていることに加え、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、在宅勤務を主としたテレワークが広く浸透するなど、個人の働き方や、ワーカー個人の意識にも変化が表れています。

2020年5月に実施された、ヒューマンファースト研究所*によるオフィスワーカー調査によると、緊急事態宣言が解除された後も、オフィス、在宅勤務、サテライトオフィスを組み合わせて、働く場所をフレキシブルに選択したい、という意向が強まっているとされています。(2020年5月25日に緊急事態宣言は解除)

また一定期間の在宅勤務を経て、「自分のペースで仕事ができる」「通勤時間が減って仕事に良い影響がある」などのメリットを感じている人が増えた一方で、「周囲に相談、声がけがしづらい」「仕事とプライベートの切り替えが難しい」といったデメリットも明らかになってきています。

*2020年6月に野村不動産が設立した企業や有識者とともにこれからのオフィスの在り方を探る研究所

こうした状況への一手として提案したいのが、野村不動産が2019年秋にローンチしたオフィスブランド「H¹O(エイチワンオー)」(Human First Office)。スタートアップ企業や大企業の新規プロジェクトチームなど、少数精鋭の組織向けのクオリティ スモール オフィスです。

「H¹O」のコンセプトはその名の通り「HUMAN FIRST(ヒューマン ファースト)」。働く人の気持ちに寄り添い、個の能力を最大限発揮できる環境を目指して設計したオフィスです。

・同僚とフランクにコミュニケーションをとりながらアイデアを出し合いたい
・周囲に相談、声がけをしながら仕事を進めたい
・静かな環境で集中したい
・オンとオフの切り替えをしっかりしたい
といった、一定の在宅勤務を通して顕在化したワーカーのニーズにも応えられる環境を提供しています。

フルリモートに舵を切る、オフィスの規模を縮小する、新たにシェアオフィスを契約するなど、オフィスの在り方が“一極集中”から“適性分散配置”に移り変わり、働く場所とワークスタイルが見直されているいまだからこそ、
オフィスに何ができるのか、その価値を問い直し、今求められるニーズにマッチした環境を提供する必要があると考えています。

今回は、2020年5月にオープンした、初の一棟開発型拠点「H¹O 日本橋小舟町」を舞台に、「H¹O」のコンセプトやサービスの特徴、快適で心地よく、かつ生産性を高めながら働いていただくための工夫などをご紹介します。

ぜひ、実際に入居案内に来たお気持ちで、ご自身の事業とのマッチを考えながらご覧ください。

立地の良さとグレード感を兼ね備えた一棟開発型拠点「H¹O 日本橋小舟町」

今回ご紹介するH1O 日本橋小舟町は、シリーズ初となる一棟開発型拠点として誕生し、三越前駅徒歩6分、人形町駅徒歩5分、新日本橋駅徒歩7分という複数の駅から通勤いただける場所に位置しています。多くの人が行き交う日本橋のオフィス街を抜けて静かな通りに面しているため、落ち着いた環境で仕事に取り組むことが可能です。

H¹O 日本橋小舟町 外観
H¹O 日本橋小舟町 エントランス前

オフィスの顔となるビル入り口は、新築ならではの清潔感はもちろん、日本橋小舟町という土地柄にインスピレーションを得たデザインやグリーンウォールを取り入れたことで、来訪者に優しく、上質な空間へと導く導線を作っています。

スタートアップ企業が、起業してはじめに借りるオフィスには、マンションや雑居ビルの一室というケースがよくあります。しかし、スタート時だからこそ、会社の顔となるオフィスの印象を差別化することで、その後のビジネスにおける人材採用や資金調達における信用度など、様々なメリットを享受頂けると考えています。

万全なセキュリティと有人レセプション完備のエントランス

H¹O 日本橋小舟町エントランス

「H¹O 日本橋小舟町」は、「パッシブ エコ ビルディング(Passive Eco Building)」という思想のもと、環境への配慮とワーカーの快適さ・心地よさの両立を自然に実現し、個人のパフォーマンスの向上につながるオフィス環境の提供を目指して設計・開発を行っています。

入館頂いて最初に足を踏み入れるエントランスは、オリジナルアロマが香る上質な空間を設えています。目の前には、一棟開発型のオフィスならではの工夫として、1階から吹き抜けになっている中庭を設置しており、全てのフロアに自然光と通風をもたらすことで、感性を刺激します。また折々に変化する自然を肌で感じることで、本来、変化の少ないオフィス環境にクリエイティブなインスピレーションを感じて頂くことができると考えています。

3D顔認証によるキーレスセキュリティ。セキュアかつスムーズに入室ができる

ビルの入館セキュリティはエントランスとエレベーターホールの2カ所にあり、エレベーターホールへは入居者と手続きを終えた来館者のみが入れるようになっています。平日の来客時はレセプションが受付を行い、それぞれの専有個室へ内線連絡が届きます。

また、館内のセキュリティにはカードや手動操作が不要な顔認証を採用しているため、入館や各専有個室の入室のたびにカードキーを取り出したりパネルに触れたりする必要がなく、スムーズな入館・入室が可能。お持ちのICカード認証の登録も可能なので、自分に合った方法を選ぶことができます。

常時2名の受付スタッフが対応

エントランスでは、有人レセプションを配備。常時2名の専属受付スタッフが、細やかな対応を提供します。

来客時の受付や入居者への取り次ぎ、会議室へのご案内、不在時の宅配やティーサーブの受け取り代行も行ってくれるので、本業以外の様々な対応に時間をとられ業務効率が落ちてしまうということがなく、気兼ねなく本業に集中することができます。何か困りごとがあった際に気軽に相談できる、という部分も評価を頂いているポイントです。

社内スタッフが急いで席を立って来客を案内する、というシーンを減らすことで、余計な仕事を削減できるだけでなく、来訪した企業に対する印象やブランディングにも寄与する側面もあります。

その日のタスクや気分によって、働く場所を選択できる

エントランスを抜けて2Fへ上がると、入居者限定の共用ラウンがあります。

働く人のニーズに寄り添うため、
・リラックスしたいときや打ち合わせなどのマルチシーンを想定したオープンで開放的なスペース
・集中力を高め、静かに一人で作業に取り組みたい時に適したパーソナルなスペース
という2つの共有ラウンジを用意。

入居者限定の共用ラウンジ

ラウンジには水とコーヒーのサーバーも備え付けられているため、来客用のドリンクをあらかじめ準備しておく手間がかからず、経費・時間的なコストを抑えて打ち合わせを始めることができます。

オープンな空間でリラックスしながらの会話は、お互いの距離を縮めることができ、ビジネスにもよい影響をもたらしてくれそうです。入居者とその関係者の専有スペースであるため、不特定多数の出入りがないというのも安心してご利用いただけるポイントになっています。

同じ2Fの一角には、一人で利用するのに適したパーソナルラウンジも設えています。ソファやカウンターなど多彩なデスクが用意され、好きな場所を選んでタスクに取り組んでいただくことができます。

防音材質によって周囲の音が聞こえにくいブース席

また、より静かに仕事に集中したい方にはブース型の席も用意されています。周りが防音材質で囲まれているため、音を効果的に遮断し、作業に没頭できます。

2つの共用ラウンジは、オランダが起源とされているABW(Activity Based Working)というワークスタイルの考え方をもとにした設計で、その時の状況や気分に合わせて働く場所やスタイルを自由に選べることで、より一人ひとりのパフォーマンスを引き出す効果が期待できます。

個々人のパフォーマンスが業績に直結する少数精鋭のチームだからこそ、生産性やエンゲージメント、創造欲など、従業員一人ひとりのパフォーマンス最大化を重視した設計は、オフィスを検討するうえでも大きなポイントとなるはずです。

さらにH¹Oでは人が集まる場所の感染症対策も重視しています。2つの共用ラウンジでは、エネフォレスト社の空気殺菌装置「エアロシールド」を導入。紫外線による菌やウイルスの不活化を行っています。

入居者の心身の健康という面にも、「ヒューマン ファースト」を掲げるH¹Oの想いを込めています。

エアロシールド

また、H¹O 日本橋小舟町には、計5室の会議室があり、こちらも共用部として15分単位で予約・利用できます。ガラス張りなどのオープンで開放的な会議スペースだとセキュリティ面が気になる、という声から生まれた、外部への情報漏洩の可能性のない個室型のセキュアな空間です。通りすがりの人に会議用のスライドを見られることも、重要な機密事項を聞かれる心配もなく、安心して会議ができます。

また、会議室の使用時は、来客時にレセプションによるお茶やコーヒーなどのサーブを利用できます(※有料・要予約)。しっかりとしたおもてなしをサポートするレセプションのサービスで、入居企業への印象もアップしそうです。

落ち着いた雰囲気の会議室

来客との商談はもちろん、15分単位での利用のため、社内ミーティングやメンバーとのちょっとした面談にも使うことができ、会議が長引くことを制御するという使い方も可能です。自社オフィスに自前で会議室を作ると、イニシャル・ランニングコストがかかり、利用しない時間が増えるとそれだけそのコストが無駄になってしまいます。このような形であれば、利用したい時だけ予約してお使い頂ける為、オフィスの利用面積の効率化、そして経済的なメリットにも繋がります。

プライバシーを確保するセキュアな専有個室。快適さと省エネルギーを両立した空間設計

業務時間の多くを過ごすことになる執務スペースである専有個室にも、H¹Oのコンセプトである「ヒューマンファースト」の思想が随所に表れています。

(参考)H1O西新宿 専有個室
※家具はオプションメニュー

専有個室に入る際は、入館時と同様のセキュリティがあり、顔認証などの生体認証またはICカードキーで出入りが可能です。

室内には、床下に24時間運転の個別空調を備えています。エアコンの風が体に直接当たることがなく、また室内全体をムラなく一定の温度に保つため、より快適に過ごすことが出来るようになります。さらに全室に窓があるため開閉による換気が可能。自然の風を取り入れながら、業務に向き合えます。

また、通常のオフィスと比べて窓が少し奥まった設計になっているため、日光が直射室内に入ってくることを低減し、窓のそばの暑さを防ぎながら、空調の負担を軽減することでエコロジーを実現できるようになっています。

床下から空調による風が吹き上げられるので、不快な気流を感じることがない

SDGsやESGなどといった言葉に代表されるように、環境や社会に配慮する、という企業姿勢が世の中に急速に浸透する今、その配慮の有無で企業としての評価が左右されることもあります。そういった意味でも、従業員の心地よさや快適さ、そして環境や社会への配慮もオフィス環境を選ぶ上では重要な要素になるのではないでしょうか。

テクノロジーの活用で、移動コストを極力削減

H¹Oでは入居者の“時間”の重要性を考え抜き、移動コスト=時間の損失を防ぐ工夫をしています。それが、IoTによる混雑状況のチェック機能です。「ラウンジに行ってみたけど満員で使えなかった」などといったムダをなくすため、スマートフォンなどから各エリアの混雑状況をチェックすることができます。空いている時間を把握してムダなく働く場所を選択することができ、ストレスフリーな時間を過ごすことができます。

IoTの活用により各個室の空調や照明の遠隔操作も可能で、オフィス到着前に空調をオンにしておくなど、便利な機能もついています。

気分転換にも、フランクなコミュニケーションにも。広々とした空が広がる開放的な屋上テラス

一棟開発型オフィスビルであるH¹O 日本橋小舟町では、屋外ワークが可能なテラスを屋上に設けています。

開放的な屋上テラス。ミーティングにも利用可能

9F建てのビルの屋上につくられた屋上テラスは、見晴らしも良好。アイデアに詰まったときや環境を変えたいときなど、気軽に利用できる場所として開放しています。ラウンジではランチタイムなどの時間制になっている飲食も、屋上テラスであればいつでも可能。午前の仕事を終えて、屋上でゆったりとランチをとりながら午後の計画を立てる…という過ごし方もできます。

ちなみに、H¹O 日本橋小舟町は館内禁煙ですが、電子・加熱式タバコの喫煙であれば屋上に隣接する喫煙スペースで可能となっています。

屋外で働く環境も完備

電源やWi-Fi通信も完備されているため、ランチをとりながらミーティングに参加したり、ちょっとした調べものをしたりと、時間を有効活用して過ごせます。

自然の中で自分に合った働き方が可能

屋上テラスにも緑が使われており、豊かな日の光と自然の存在を感じながら過ごせます。これは「バイオフィリックデザイン」という考え方をベースとした設計で、「人と自然が調和したとき、幸福度や健康を増進するデザイン」として、国内外でも注目されています。

共用ラウンジに取り入れられているABWの思想とともに、そのときによって異なる働き方を選択する新たなワークスタイルのありかたに応えています。

全ての働く人に寄り添い、より快適で使いやすいオフィスのあり方を目指すH¹O

エントランスから共用ラウンジ、専有個室、屋上テラスとH¹O 日本橋小舟町の施設をご紹介しました。H¹Oというブランドに息づく「ヒューマンファースト」の思想は、多彩なワークスペースや心を癒す空間デザイン、本業に集中できるサポートをしてくれるレセプションの存在など、働く人に寄り添いながらパフォーマンスを最大限に引き出すためのサービス設計に一貫して込められています。

また、“快適さ”と”エコロジー”を兼ね備えた設計を重視した「H¹O 日本橋小舟町」は、利用者の健康や快適性の維持・増進を支援する建物の性能やその取り組みを評価する「CASBEE ウェルネスオフィス評価認証」において、大規模ビルと同等のAランク評価も取得。建物や設備などのハード面、そして利便性やサービスなどのソフト面の両面で、対外的な第三者評価を受けています。

コロナ禍に端を発したテレワークの動きは社会にも受け入れられ、よりフレキシブルな働き方を志向するワーカーは今後も増えていきます。そのときに、オフィスに何ができるのか。
H¹Oが目指すのはオフィス一極集中型への回帰ではなく、一人ひとりが働く場所や時間を自由に、気持ちや状況に応じて選択できる“新たな働き方”です。そのニーズに寄り添うべく、これからもオフィスの可能性を追求し続けています。

文:藤堂 真衣