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アイスランド、6月15日から観光客受け入れ再開、到着時の検査が必須に?
ニュージーランドなど新型コロナ感染拡大の抑え込み策が奏功している国々では、ロックダウンの解除/緩和が進み、早ければ6月には海外観光客の受け入れが再開される見通しだ。
5月22日時点の新型コロナ感染者数1,803人、死者数10人と他国に比べ感染拡大の抑え込みに成功したと評されるアイスランドでは、6月15日に一般海外観光客の受け入れが再開される。これに先立つ5月15日には、研究者、映画制作関連、アスリートなどの「プロフェッショナル人材」の入国が再開されたばかり。
アイスランドの人口は約36万人。アイスランド地元メディアが伝えた統計局のデータによると、2017年には年間270万人近い観光客が同国を訪れており、GDPに占める観光産業の割合は8〜10%ほどと推計されている。
アイスランドで入国規制が始まったのは3月半ば。約3カ月の期間を経て、実質的な国境封鎖が解除されることになる。
注目されているのは、海外観光客の受け入れに際し、どのような対策で新型コロナの流入を防ぐのかという点だ。ロンリープラネットが報じたところでは、現時点で新型コロナの流入と感染拡大防止に向け、大きく2つの対策が導入される。
1つは、すべての入国者に無料で検査を実施するというもの。陰性であればそのまま観光を楽しんでもらい、陽性であれば14日間の隔離措置を取る。アイスランドでは2月に広域での検査が開始され、国民1人あたりの検査率は世界トップといわれている。検査が感染拡大を防ぐカギと認識されているようだ。
一方、旅行前にすでに検査を受け、それが陰性であることを示す公式書類を提示すれば、到着時の検査を省く措置も取られるとも報じられている。
もう1つは、観光客に政府公認の新型コロナ・トラッキングアプリ「Rakning C-19」のダウンロードを義務付けるというもの。アイスランド国民の約40%がダウンロードしたという同アプリ。ユーザーの位置データをスマホにローカル保存し、感染が発覚したときのみ、そのデータが公開され、経路分析などに活用される。
他の国々でも同様のアプリが導入されているが、アイスランドのダウンロード率はその中でも群を抜いて高いといわれている。データセキュリティの専門家サミュエル・ウッドハムズ氏は、ビジネス・インサイダーの取材で、同国でのダウンロード率が高いのは、そのプライバシーポリシーが明確であるからだと指摘している。
Rakning C-19のプライバシーポリシーには、データの保存期間は14日間で、パンデミック終息後にはアプリが終了することが明記されている。一方、他のアプリではそうしたプライバシーに関する文言が明記されていないのだという。
現在、アイスランド政府はワーキンググループ内で観光再開に向けた方針固めを行っており、最終決定が下され次第、詳細を発表するとのこと。
機内のトイレ行列禁止、利用は申告制に?欧州LCC最大手ライアンエアの対策
観光産業の復活に向け、欧州ではアイスランド以外でも着々と再開準備が整えられている。
欧州の格安航空最大手ライアンエアはこのほど、7月1日から全路線の40%を再開する計画を発表。この計画には、搭乗時や機内における感染予防対策も盛り込まれている。
1つは、空港到着前または空港内での体温検査の実施。この検査を通過できなければ、旅行客は帰宅させるという。また、チェックインの完全オンライン化、キャビンアテンダントのマスク着用、機内支払いの非接触化などの対策も含まれている。トイレ前にできる行列は飛行機内でよく見る光景だが、それも禁止となる。トイレ利用は「申告制」になるとのことだ。
ギリシャのビーチではソーシャルディスタンス確保にドローン活用
欧州の人気観光地の1つギリシャでも観光再開に向け、段階的な措置が導入されている。
ギリシャの人口は約1,100万人。ジョン・ホプキンズ大の集計によると、5月22日時点、ギリシャにおける感染者数は2,853人、死者数は168人。4月半ばから感染者増加のスピードは鈍化し、5月に入り、美容室、花屋、本屋など一部の小売/サービス業の再開が許可された。
感染の抑え込みが継続できることを前提に、7月1日からはホテル業の再開も許可される見込みだ。
ギリシャ首都アテネ南部の観光地アテネリビエラでは、5月半ばにビーチが開放され、国内の観光客でにぎわったと伝えられている。ただし、密集を避けるための対策も取られており、現在のところ感染者が出たとの報告はなされていない。
同ビーチで実施された対策の1つが、ドローンを使った監視と警告。市の職員がドローンを操縦し、上空から密集が起こっていないかをチェックする。密集が確認されると、ドローンから警告のメッセージが発せられる。
英ガーディアン紙が伝えたところでは、ギリシャ政府は国内にある515カ所のビーチに関して、アテネリビエラのような厳格なルールの実施を前提に、再開を許可する方針を固めた。ビーチアンブレラに4メートルの間隔を設けることや1,000平方メートルあたり40人までなどのルールが含まれている。
このほか、スペイン・カナリア諸島での「ヘルスパスポート」の取り組みやデンマークのソーシャルディスタンス・コンサートなど、欧州では夏のバカンスシーズンに向けた観光再開の動きが加速中だ。
withコロナ時代、感染を抑制しつつ、観光産業をどう盛り上げていくのか。欧州で起こる様々なクリエイティブな取り組みは、日本の観光産業復興の参考になるかもしれない。
[文] 細谷元(Livit)