帝国データバンクは6月8日、全国企業倒産集計2020年5月報を公表した。
倒産件数は288件(前年同月比55.6%減)と、9カ月ぶりに前年同月を下回り、比較可能な2000年以降最少となった。
緊急事態宣言の発令に伴い、弁護士事務所や裁判所の業務縮小で、法的整理手続きが滞留したことなどから大幅減少につながったとみられる。
また、東証1部上場のアパレルメーカー、㈱レナウン(東京都、民事再生)が倒産し、2019年1月以来、1年4カ月ぶりに上場企業倒産が発生した。
業種別にみると、7業種すべてで前年同月を下回った。全業種の減少は2019年5月以来、1年ぶりに。
なかでも建設業(36件)、製造業(32件)、卸売業(53件)、不動産業(5件)の4業種は2000年以降で最少となった。
件数全体が大幅減少のなか、販売不振が続く織物・衣服・身のまわり品小売(14件、前年同月比16.7%増)や、新型コロナウイルスの影響で予約キャンセルが相次いだ宿泊業(12件、同140.0%増)など、一部増加傾向が続いた業種も散見された。
主因別にみると、「不況型倒産」の合計は227件(前年同月比55.2%減)と、3カ月ぶりに前年同月を下回った。構成比は78.8%(同0.6ポイント増)を占めた。
負債規模別にみると、負債5000万円未満の倒産は149件(前年同月比61.5%減)、構成比は51.7%を占めた。負債5000万円未満の倒産では、小売業(40件)が構成比26.8%(同2.4ポイント減)を占め最多、サービス業(38件)が同25.5%(同2.1ポイント減)で続く。
資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産が187件(前年同月比56.5%減)、構成比は64.9%を占めた。
地域別にみると、9地域中8地域で前年同月を下回り、なかでも北海道(9件)、東北(14件)、中部(41件)、近畿(52件)の4地域は2000年以降で最少となった。
近畿(前年同月比69.6%減)は、大阪府(28件、同73.6%減)や兵庫県(8件、同77.1%減)で大幅減少となり、全業種で減少。関東(90件、同58.3%減)は、1都6県すべてで減少し、東京都(46件、同60.7%減)は2000年以降で最少となった。