プロ野球選手の身体情報をAI技術で分析 怪我の防止を促進

電通は6月1日、東京大学松尾豊研究室発のAIスタートアップであるACES、GAORE、共同デジタルと共に開発した、野球選手の特徴分析や能力強化、怪我の予防をサポートするAIアプリケーション「Deep Nine」のサービス提供を開始したことを発表した。すでにDeep Nineは、日本国内のプロ野球球団への試験導入も決定している。

野球選手の特徴分析や能力強化・育成、怪我の予防に活用

近年のスポーツ業界ではデータの利活用が増えている。プロ野球でも、蓄積された詳細な投球データ、打球速度や角度、守備におけるトラッキングデータを活用することで戦術の向上が図られるようになってきた。

一方で、スポーツ選手自身の身体動作の情報を定量的に収集する技術は発達段階であり、選手ごとの特徴の把握や、怪我の原因特定や予防はまだ実現に至っていない状態だ。

そこで電通などは、野球選手の身体情報を活用するために、ヒューマンセンシング技術を応用することで、身体の位置・角度・速度情報を数値定量化するAIアプリケーションDeep Nineの開発に至った。

開発されたDeep Nineは、動画像から身体情報を定量化し分析できる姿勢推定AIアプリケーションだ。最先端のディープランニング技術を応用し、対象者の身体にセンサーを装着することなく、カメラで撮影した映像から身体情報を取得できるのも特徴だ。

Deep Nineの主な利用ケースは3つある。投球におけるフォームや球種ごとの「特徴把握」。選手ごとに、身体動作とパフォーマンスとの相関関係を分析することで、身体動作の良い・悪いを解明し、練習やコーチングに生かす「能力強化」。そして、怪我をした前後での身体の違いを分析し、投げすぎによる違和感をはじめとする「故障の予防」だ。また、突発的な怪我や手術からの復帰をサポートすることにも期待される。

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