水道インフラ企業のFractaは5月25日、愛知県豊田市上下水道局と業務委託契約を締結し、AIを活用した水道管劣化予想技術を全国で初めて愛知県豊田市に実践導入することを発表した。
水道配管の更新をAI診断ツールで最適化
近年、水道管の老朽化や自然災害による漏水・破損事故が各地で発生するなど、水道インフラなどに対する懸念や課題が顕在化してきており、各水道事業体は対応に追われている。そして多くの水道事業体では主に水道管の設置年数に基づいて水道配管を更新をしているため、配管周囲の環境が与える劣化への影響を十分に配慮できていない現状となっている。
こうした課題解決に向けてFractaは、AIを活用した独自のオンライン管理診断ツールを用いることで水道配管の劣化状態を予測診断し更新計画の最適化を可能にする。
Fractaはこれまでにアメリカ27州の60以上の水道事業者にサービスを提供しており、日本でも2019年には6つの水道事業体で検証してきた実績を持つ。
今回の愛知県豊田市との業務委託契約では、Fractaがもつ水道管理に関するデータと、独自に収集した1,000以上の環境変数を含むデータベースを組み合わせて開発したオンライン診断ツールを活用して、豊田市上下水道局の管路の劣化状況を詳細に把握し、配管の破損・漏水事故を最小限に抑えることを目指していく。
AIによる技術の見える化で後継者不在問題を解決
もう一つの課題として顕在化しているのが技術者の後継者問題だ。地下に張り巡らされた水道管路の健全性を維持するためには、熟練の技術者が培ってきたノウハウが不可欠となる。しかしそうした技術は引継ぎや文書化が難しく、技量水準の維持が課題視されてきた。
今回の取り組みでは、FractaのAIによる解析結果を活用して技術者のノウハウを引き出し、見える化・データ化することで豊田市の技術者が紡いできた知見を次世代へ継承していく。
今後もFractaと豊田市は、水道管理のメンテナスコストの最適化と課題解決に向けて取り組んでいく。