株式会社Precious Analytics(以下、プレアナ)は5月21日、同社が提供しているアプリゲームのゲームバランス評価サービスのオプションとして、ゲームバランスをAIが自動的に調整するサービスのリリースを発表した。

AIがゲームバランスを最適化する

プレスリリースによれば、昨今のアプリゲーム業界では、開発費が非常にかかるため、より長く売上を持続させることが求められているという。そのなかでも、少ないユーザー数で売り上げを出すことが重要だとされる。

売上を出すためには、ゲームの設計面だけでなく、バランスの要となるパラメータ設定に依存することがある。パラメータ設定をするのは、主にプランナーの役割だが、的確にパラメータ設定ができるプランナーは希少価値が非常に高い。

そこで、プレアナの評価サービスを使えば、バランスとマスタの設定値における因果関係を分析し可視化できる。そのため、工数と費用を抑えられるだけでなく、プロデューサーやディレクターといった意思決定者がビジネス観点からもゲームバランスを判断しやすくなっている。

そして今回発表されたのがAIによるゲームバランスを自動調整するサービスだ。これは、ゲーム開発会社のリソースバランスポリシーをもとに、設定値の変更とユーザーの最適プレイを学習させることで、自動的にポリシーに沿った形での適切なバランスに近い設定値を求め、マスタに反映するシステムである。これまでのプレアナの評価サービスでは、アナリストがマスタデータを確認しシミュレーターに反映させていたが、マスタ反映までをAIが自動化するようになったのだ。

現在は、汎用的なF2P(Free-to-play)モデルでのゲームの試行によって、高い精度でチューニングすることが可能だという。

これからサービス開始するゲームに使うことで、そのゲームが売れるか売れないか、その予測のひとつになるのがプレアナのAIなのである。

DeNAのスマホゲームではプレイヤーサポートにAI活用

ゲームとAIの相性は良く、さまざまな企業ですでに使われている。なかでもDeNAは、全社的に部署を横断してAIを活用していることもあり、AIの使い方は幅広い。

DeNAがiOS/Android向けに配信している「逆転オセロニア」では、プレイヤーのサポートにもAIを使う。

一般的に、プレイヤーにゲームを習熟してもらうためには、ゲーム内での練習が必要だ。そこで、人間のように対戦できるようなAIを構築し、プレイヤーのゲームへの習熟をサポートしている。もちろんバランス調整にもAIを使っていて、流行しているキャラクターや戦略を分析することで、新たなキャラクターの登場時に、ゲームバランスを崩壊させないような工夫も凝らしている。

DeNAのゲームとAIへの取り組みは、2018年に開催したテックカンファレンス「BIT VALLEY 2018」で明かされた。その模様はLedge.aiでもまとめているので、合わせて読んでほしい。

プレアナのサービスを使うことで「新しいゲームが確実に売れる」ということにはならないだろうが、プランナー不足の会社にとっては大きく貢献できるサービスなのは間違いない。いずれは、ゲームの大枠を人間が創造し細かい調整をAIが担うという役割分担をする形式が増えていくのかもしれない。