クロージングスキルをデジタルの世界で再現するのが目的
プレスリリースによれば、不動産情報の価値は、取引が成立する瞬間(クロージング)に最大化するという。しかし、クロージングには、豊富な経験と高度な説明力や言語化力が求められていた。そのため、ベテラン営業担当者のスキルに依存していたそうだ。
今回発表された共同研究の目的は、ベテラン不動産営業担当者が持つクロージング技術を、AI活用によってデジタルの世界に再現し、アットホーム加盟店での早期成約と消費者のスムーズな住まい探しを支援することだ。
アットホームは共同研究によって、不動産業界における業務の効率化、生産性の向上を促進するとともに、消費者の快適な住まい探しをサポートすることを狙っている。
研究の第一弾として、アットホームは「アピールコメント自動生成機能」を発表した。
住まい探しをする消費者にとって、物件それぞれのコメントは判断材料として重要視される。だが、アピールコメントは、不動産会社が物件1件ずつに対してコメントを作成・手入力しており、その業務に関する負担は少なくなかった。
そこでアットホームは、コメント自動生成機能を開発することで、不動産会社の業務負担の軽減を目指している。さらには、画一的なコメントではなく、特徴的な条件や設備に関するコメントを優先的に表示するなど、消費者にとっても物件の魅力をより伝わりやすくする目的もある。コメント自動生成機能は2020年秋ごろに搭載予定だ。
また、今後の研究としては、物件の潜在価値抽出技術などにも着手していく。物件ごとの隠れた魅力を抽出することで、消費者に対して気づきや確信を与えるような研究を進めるそうだ。
不動産会社でのAI活用 単純作業を自動化しモチベーション向上
物件の内覧図を紙資料として何枚も配るなど、いまだアナログ文化が根付く不動産業界。だが、アットホームのように先端技術であるAIを活用し、業務効率を改善する取り組みが増えつつある。
株式会社オープンハウスは2019年11月に、AI・RPA技術を活用することで、年間2万5700時間の工数削減に成功したと発表。この発表について、Ledge.ai編集部は2019年12月に、オープンハウスでのAI・RPA活用について取材している。
大幅な工数削減も魅力的だが、それ以上に社員のモチベーションを向上させられたことが良かった、とオープンハウスの担当者は言う。
不動産会社では、単純作業が少なくない。オープンハウスでは一部の業務を自動化することで、大幅に効率をアップさせられた。それだけでなく、手間のかかる単純作業を手作業で進める必要がなくなったので、担当者のモチベーションの向上にも貢献したそうだ。
AI技術は効率化を目的に活用されるシーンが多いものの、現場環境の改善や、新たな業務への取り組み時間の創出など、副次的な効果を得られることもある気づきを得られる話だ。