手つかずの自然や風景が多く残っている「ハワイ最後の楽園」、ラナイ島。
以前にもお伝えしたとおり、2012年にオラクルの創業者ラリー・エリソン氏が島の98%の土地を購入。エコで持続可能な島への取り組みを行なっています。
島では資源や環境を保護・育成・活用する活動に加え、リゾートというある意味真逆のものとの共存も図られています。
ホノルルから約1時間でこの風景。ワイキキの人混みも高層ビルも一切なし。ここが同じハワイだとはにわかには信じられない?
島の環境とリゾートの共存に必要な「ウェルネス」
エコやサスティナブルな活動をするには、当然お金も必要です。
ラリー氏のような成功者であっても、永遠にお金を拠出し続けるわけにはいかないし、それこそ持続可能ではありません。ではどうする?そう、島にやってくる観光客にも協力してもらうということになるのは、ある意味当然の流れであります。
2019年11月にOPENしたばかりのロッジアットコエレ。外観はほぼ変わらないものの、色調と雰囲気は大きく変化。
「観光客に協力してもらう」というのは、ツアーやアクティビティなどを通じ島を体験することで、参加費の一部が次のサスティナブルな活動費への一部となる・・・。つまり観光客であっても、島のサスティナブルな活動になくてはならない存在になっているというわけです。
しかしそのためには魅力的な体験を提供しなくてはなりません。
そこで考え出されたコンセプトが、“ウェルネスリゾート”。「心と身体に良いことを意識して行動する」ウェルネスという考え。
60年代頃から始まったもので新しいものではなく、ここ数年ウェルネスを取り入れたホテルも増えています。
しかしながら、単に「ヘルシーな食事を提供」するだけだったり「スパ、ヨガ、ピラティスで健康に」など、どこでもできそうな体験を打ち出ししているだけの「なんちゃってウェルネス」としか思えない内容のものも少なくないのが現状です。
島にも島周りにも人工的な明かりがほとんどなく、見事な星空が拝めます。
本格的なウエルネス体験と、島のサスティナブルな活動とが共存可能なプログラムを作るにあたり、ラリー氏は革新的な健康への取り組みで世界的に有名な、南カリフォリニア大学のデビット・アグス教授をパートナーに迎えました。
二人は「食品、健康、ライフスタイルに対する新鮮なアプローチの独自の組み合わせにより人々がより長く、より明るい生活を送ることを目指して団結すること」を目的とした“Sensei”を立ち上げます。
Senseiとはもちろん日本語の先生。京都にも不動産を購入したラリー氏、日本が好きなんですね。
オラクルの創業者と世界的権威のドクターが二人で行う共同作が、意外なことにハワイ諸島の小さな島、ラナイ島でのウェルネスプログラム・・・。
なにが二人を結びつけ、このような活動に向かわせたのかはよくわかりません(お互いに大切な人を失ったことがきっかけだという説があります)。わかりませんが、やはり最後は健康。お金ではないということなのかもしれませんね。
実業家とドクターが取り組む“ウェルネスプログラム”
Senseiが実践するのは「ハワイ最後の楽園」ラナイ島の手つかずな自然環境との融合を図りながら、「運動」「栄養」「休養」にアプローチしたり、サスティーナブル活動の一環として取り組むエコシステムの農場で栽培された野菜を使った料理メニューの提供など、お客ごとにSenseiガイドが組み合わせてくれるというもの。
滞在する場所の環境との融合の中を目指しつつ、その土地で取れた新鮮なものを身体に取り入れます。
プログラムの中でとくにユニークなのが、ローカルガイドによるラナイの自然維持への参加活動。
一見すると、島の助けにもなるボランティア的プログラムのようですが、本番はその後にやってきます。トレーナーから瞑想テクニックを学び、自分がハワイの土地に与えたものを振り返るのです。
ラナイ島の様々な場所を回りつつ、このように昔の養魚池の修復作業などに参加するツアー、“HOLOHOLOアウトドアカルチャーツアー”もあり。問い合わせ:love.lanai@fourseasons.com
座位、立位、歩行における一連の瞑想を覚えた自分がハワイの土地と向き合う時間・・・。そこでなにを感じ、これから先何をすべきなのか?その感じ方、閃き次第でそれからの自分の生き方が大きく変わっていく、そんな気がすると行ったらいい過ぎですか?
ビーチ近くまでイルカがやってくることも。彼らと遭遇しただけでも自分の中のなにかを変えてくれそうな、そんなラナイ島。
オールインクルーシブのウエルネスリゾートが行われているのはラナイ島の2つのフォーシーズンズホテルの一つ、Four Seasons Hotel Lanai at Koele, A Sensei Retreat
ずっとこの先も、このままの風景を残してくれることを祈ってます。
取材・文:山下マヌー