中国の湖北省武漢市を中心に発生し、世界的に拡大している新型コロナウイルス感染症の影響が全国的な広がりをみせている。

既に大規模イベントの中止や商業施設の営業時間短縮、テレワーク・時差出勤などが各地で行われており、全国の小中学校や高校、特別支援学校に対する臨時休校の要請など、国民の生活だけでなく、経済活動にも大きな影響を及ぼすと考えられるだろう。

こうした情勢を受け、帝国データバンクが、「決算短信」のほか「業績予想の修正」や「お知らせ」などの適時開示情報、各社のプレスリリース・ニュースリリース情報などの公開情報から、新型コロナウイルスに関連する影響や対応等について明らかとなった上場企業を対象に調査を実施した。

調査結果は以下の3点。

TDB コロナ

1.新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、「マイナスの影響がある」と見込む企業は63.4%。内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」が30.2%、「今後マイナスの影響がある」が33.2%となった。

また、「影響はない」とする企業は16.9%だった一方で、「プラスの影響がある」(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と見込む企業は1.7%にとどまった。

2.「マイナスの影響がある」と見込む企業を日別にみると、日を追うごとにマイナスの影響を見込む割合が増加。2月14日の55.7%から2月29日には81.7%まで増加した。

なお、新型コロナウイルス感染症の基本方針決定以降、その傾向が顕著に表れる結果となった。特に「既にマイナスの影響がある」も2月14日の24.5%から2月29日には45.4%まで上昇しており、半数近くの企業でマイナスの影響を受けていた。

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3.「マイナスの影響がある」と見込む企業を業種別にみると、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」と「旅館・ホテル」が89.3%で最も高い。以下は、「再生資源卸売」(87.5%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(87.1%)、「飲食店」(80.9%)が8割台で続く。他方、「プラスの影響がある」と見込む企業は、唯一「医薬品・日用雑貨品小売」(12.0%)が1割台となり最も高かった。

同社はいち早い新型コロナウイルス感染症の終息を願うとともに、企業には、正確な情報に基づく冷静な対応を求めつつ、政府には正確な情報提供と企業の事業継続に資する具体的な支援策の実行が必要であるとしている。

(※)調査概要
調査期間は2020年2月14日~29日、調査対象は全国2万3,668社で、有効回答企業数は1万704社(回答率45.2%)。

<参照元>
『新型コロナウイルス感染症』上場企業の影響・対応動向調査(~3月15日
帝国データバンク