凸版印刷が、製薬業界向け翻訳サービス「PharmaTra™(ファーマトラ)」を2020年4月より販売を開始することを発表した。
同サービスは、凸版印刷が提供する多言語翻訳サービスのノウハウを活用し、自動翻訳に精通したシステム開発会社であるマインドワードおよび医薬専門の翻訳会社であるアスカコーポレーションの協力のもと開発したもの。「機械翻訳サービス」と「ポストエディットサービス」の2種類のメニューを提供する。
同サービスを活用することにより、新薬開発における翻訳業務の時間短縮を実現が可能に。これによる業務効率化や新薬開発におけるリードタイム短縮などに貢献していくという。
機械翻訳サービスとは、新薬開発関連文書を中心とした製薬文書に特化した機械翻訳サービス。世界の大手製薬会社の日本開発部門責任者団体であるR&D Head Club(RDHC)の8社から提供された300万文対を超えるコーパス(原文と訳文を対にして蓄積したデータベース)から深層学習で構築したAI機械翻訳を活用している。実用的な臨床開発用語集を搭載することにより、高精度な翻訳を提供するとしている。
なお、このサービスは、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)と総務省が共同で推進する翻訳バンク®(※)の一環として提供される。
また、翻訳バンク構想へ賛同する製薬会社からの過去訳集約を継続的に進めることによって、さらなる翻訳精度の向上も見込まれている。
ポストエディットサービスは、機械翻訳を実行した後に、機械翻訳の特性を理解した医薬専門のポストエディターによる校正を連携したサービス。高品質な翻訳を短期間で納品することができ、フォーマット編集や過去訳管理など顧客の環境に合わせて個別に最適な翻訳フローを提案、提供することも可能だという。
同社は今後、専門性の高い翻訳ニーズの高まる金融・化学・エネルギー業界・学校などをはじめとしたさまざまな業界・分野に特化した翻訳サービスの展開を目指すとしている。
(※)総務省とNICTが自動翻訳システムの様々な分野への対応や高精度化を進めるため、オール・ジャパン体制で翻訳データを集積して活用する『翻訳バンク®』を2017年から開始。