ジャンルを越えて次世代プレイヤーを育てる「覚悟」をーー大阪・関西万博『TEAM EXPO2025』

 

夢を現実にしてきた万博

2025年4月13日〜10月13日、大阪・関西万博が開催される。

開催場所は大阪夢洲(ゆめしま)で、想定来場者数は約2,800万人。経済波及効果(試算値)は約2兆円とされている。その記者発表会が、1月末に行われた。

今回の記事では、その模様をダイジェストでお伝えする。

時代を象徴するテクノロジーを展示してきた歴史

万国博覧会の歴史は長い。遡れば1798年。

フランス革命の時期にパリで初めて開催されたのを皮切りに、1951年のクリスタル・パレス(水晶宮)が造られたロンドン万国博覧会、1989年のエッフェル塔が建設されたパリ万国博覧会など、その時代ごとの革新的なテクノロジーが展示され、人々に”未来”の一片を見させる世界的な国際見本市である。

日本では、岡本太郎の「太陽の塔」でおなじみの日本万国博覧会(EXPO’70・大阪万博)が1970年3月15日〜9月13日に大阪府吹田市で開催された。国際博覧会としてはアジア初の開催だった。この万博で展示された”夢”のようなテクノロジーは、現在では当たり前に普及しているものが多い。

例えば、パビリオン「電気通信館」で展示されていたワイヤレスフォン、テレビ電話などは、2020年の現在ではさらにアップデートされ、私たちの生活を支えている。

ほかにも1900年のパリ万博ではエッフェル塔に初めて「エスカレーター」が登場し、人々を熱させた。そしてEXPO’70では「動く歩道」が展示され、同じく当時の人々を驚かせた。2020年ではもちろんエスカレーターも動く歩道も「当たり前」となっている。

このように、当時はSFのようなテクノロジーが現代では”当たり前”になっていることを考えると、2025年の大阪・関西万博での展示も期待せずにはいられない。

ヴァーチャル空間で拡張する未来

大阪・関西万博の全貌はまだ発表されていないが、既出情報として「AR(拡張現実)MR(複合現実)技術を活用した展示 やイベントなどを行い、来場者の交流の場とする」というコンセプトが掲げられている。

AR・MRで可能となるヴァーチャル空間を利用することで、人々は世界を拡張して楽しむことができるようになるようだ。

プロジェクトにはnoizの建築家の豊田啓介が経済産業省「万博計画具体化検討ワーキンググループ」委員を務めるなど、未来の都市空間への期待は大きい。

豊田は、現在森美術館で開催中の「未来と芸術展」で、PARTYとの共同アート作品「2025年大阪・関西万博誘致計画案」を発表している。

会場計画の大型模型の壁面へのプロジェクションマッピングで、透明スクリーンを使用したオープン型ARで体験することができる。自律走行車やAR・MRという技術が実装されるであろう、未来の都市を表現している。

未来を駆け抜けるプレイヤーを育てる


イベントの背景を説明する、
2025年日本国際博覧会協会 事務総長 石毛博行氏

このように、まさに”未来社会の実験場”になりそうな大阪・関西万博。未来のテクノロジーはもちろんだが、若い世代が中心的にビジョンを立て、実行し、運用し、レガシーを創る舞台になることが目指されている。

さらに、物理的バリアフリー、地理的バリアフリー、言語的バリアフリー、文化的バリアフリーの実現も目標にしているようだ。そして、今回「大阪・関西万博SDGs共創プロジェクト『TEAM EXPO2025』」が2020年1月30日に発表された。

「TEAM EXPO2025」とは、ソーシャルイノベーションに挑戦する事業者を支援するプロジェクトパートナー7社との包括連携協定のことで、社会課題解決を目指す取り組みを実践するプレイヤーを支援するプロジェクトだ。「TEAM EXPO2025」では”すべての人が参加できる”万博を目指しているという。

TEAM EXPOという”チーム”で取り組む

「TEAM EXPO2025」では、3つの軸で「共創」を生み出していくのが狙いだ。まずは「発掘・育成」。これは課題に取り組む人材の掘り起こしや、次世代人材の育成をしていく。

2つ目は「情報発信」。ここでは共感し、共創に取り組む仲間を増やすことを目指す。

3つ目は「支援」。活動推進のためのチームづくりなど具体的支援をしていく。

 

この3つの事業領域を軸に、いくつかのパートナーとコラボレーションし、イベントを多角的に盛り上げていく。

パートナー企業である、マクアケ共同創業者の坊垣佳奈やNewsPicks Studio CEOの佐々木紀彦、ミュージックセキュリティーズ代表取締役の小松真実、ボーダレス・ジャパンの鈴木雅剛、Nex tCommons Lab ファウンダーの林篤志、リンクアンドモチベーションでエグゼクティブディレクターを務める樫原洋平、地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事の水谷智之などが登壇し、それぞれ「TEAM EXPO2025」への意気込みを語った。

ジャンルを越境して加速させる

例えば、ミュージックセキュリティーズ代表取締役の小松氏は「2025年大阪・関西万博をきかっけに、SDGsの達成に向け、官民の新しいかたちを、ブレンド・ファイナンスEXPO2025モデルとして構築したい」と語る。

マクアケの坊垣氏も、「無駄を省く」消費行動がSDGsの考え方にフィットすると考え「Makuake内に、TEAM EXPO202の特設ページを用意し、社会解決に取り組んでいく」と意気込んだ。

NewsPicks Studioの佐々木氏は「2025年は近代日本にとって大きく価値観の転換が起こる第3の変革期(=日本3.0)と捉えている。

万博を機に日本を根底からアップデートしたい」と、「TEAM EXPO2025」への参画の理由を述べた。

これらの参加者の顔ぶれからもわかるように、このプロジェクト「TEAM EXPO2025」の狙いは、立場の異なる行政、企業、NPO、財団、有志団体が組織の壁を越えてお互いの強みを出し合う”共創”によって、SDGsを達成を加速させていくことだ。

今後も提携先、提携ジャンルを増やし、プロジェクトパートナーを拡充させていくという。

より若い世代が、SDGsに取り組める土壌づくりは2020年の段階ですでにスタートしている。

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