国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、国連食糧農業機関(FAO)と、JAXA筑波宇宙センターで、「地球観測衛星データ利用等にかかる連携協定」を締結したことを発表した。
この協力を通じて、JAXAとFAOはJAXAのLバンド合成開口レーダ(SAR)衛星を用いた世界の森林やマングローブの監視を開始するという。
JAXAは1992年からLバンド合成開口レーダ技術により森林観測を実施。25年以上にわたって蓄積してきた全世界の森林観測データや知見をFAOの森林・土地利用監視ツールであるSEPAL(The System for Earth Observation Data Access, Processing and Analysis for Land Monitoring)に提供し、あわせて衛星データの精度向上を図るという。
SEPALは、様々な衛星データとスーパーコンピューターの処理能力を誰にでも使いやすくし、気候変動への緩和や適応等の取組みの中で重要な森林及び土地被覆情報を作成できるツール。
今回の協力により、SEPALで利用可能なデータが拡充され、利用者はJAXAの森林観測に関する知見やデータにアクセスが可能となる。
また、昼夜や天候の影響を受けずに観測ができる合成開口レーダの特長により、定期的に観測した森林やマングローブに関する情報を容易に入手することができるようになるため、各国の森林や土地利用管理能力の向上が期待されるという。
JAXAは今後も世界中の様々な利用者と協力しながら衛星による森林観測を実施するとともに、森林の適切な管理に関する意思決定において科学的根拠として利用されるよう衛星データを世界に提供し、パリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献していくとのことだ。