県立広島大学地域基盤研究機構 高度人工知能プロジェクト研究センターでAIを研究している鎌田真特命講師と市村匠教授が、11月23~25日に千葉大学で行われたSSI2019に提出した論文「SDNET2018コンクリート構造物画像データセットを用いたひび割れ検出構造適応型深層学習システム」で最優秀論文賞を受賞。
SSIはシステム情報分野の研究者や技術者らが先端技術の議論・分析を行う国内の学会で、最先端のAI技術を駆使し、砂防ダムや橋梁などのコンクリートの建造物の表面に発生する「ひび割れ」を検知する研究が高く評価されたという。
同研究では、県立広島大が開発した高精度の「構造適応型深層学習システム」をドローンに搭載。このドローンがコンクリートの表面状態を撮影し、ひび割れなどによる劣化や破損の状況を自動的に検出、現場でリアルタイムに危険度を判定するシステムを開発している。
河川の氾濫や土砂災害へのリスク対策として、年数の経過した砂防ダムや橋梁などコンクリートの建造物の劣化・老朽化の対策は喫緊の課題となっているが、点検作業の工程が複雑なことや、人材不足により現状把握が遅れていることが、研究が開始される背景となったという。
なお、実証実験では橋や壁、舗装道路などひび割れを含むコンクリートの建造物の写真を約6000枚を検証する予定となっており、海外のオープンデータセット(SDNET2018)に対する危険度の判定の精度は99・7%と結果が出たとのことだ。