オフィスでの必需品の一つ、付箋(ふせん)。1980年代にアメリカで登場して以降、そのシンプルさと使い勝手の良さ故に、世界中のオフィスワーカーに愛用されてきたアイテムである。
だが弱点もある。付箋は基本的に紙に貼り付けることを想定して作られている。そのため、PCやプラスチック製品の表面で使用する際には、通常よりも粘着力が弱くなってしまう。貼り付けておいたはずの伝言メモがいつの間にか床に落ちてしまっていた、という経験はないだろうか。
また1回使用するたびにゴミ1枚がどうしても出るため、”捨てるのが面倒くさい”、”もったいない”と感じる方もいるだろう。
今回は、PCや机に貼れて、無駄がない、そんな魔法のような付箋をAMP編集部が見つけてきた。
フィルムメーカーのコスモテック社とデザインコンサルティング会社kenmaが開発した「wemo」だ。
実際にオフィスで使用したので、その実力をレビューしたい。
シリコン製メモパッド「wemo」とは
ウェアラブルメモ(wearable memo)、略して「wemo」。ウェアラブルと謳っている通り、身につけられるシリコン素材のメモだ。今回は身につけられるバンドタイプではなく、オフィスでフル活用できるパッドタイプのSサイズを紹介する。
wemo パッドタイプ Sサイズ
パッドタイプは身につけるのではなく、PCやスマホなどに貼って使う。言わば、繰り返し使える付箋だ。「wemo」の一番の魅力であるウェアラブルという特徴が欠けてしまっているように思えるが、パッドタイプも十分に利便性が高い。
シリコン素材でできたパッドは、ボールペンで何度書いても消せる。
専用の筆記用具などは必要なく、通常のボールペンさえあれば使用でき、油性であっても消しゴムや指で消すことができる。
また裏面の吸着シートは繰り返し貼ることが可能。PCのタッチパッドそばや机、壁でも良いだろう。目に触れる場所に貼ることで、サクッとメモする”場”を生み出すことができる優れ物だ。
油性ボールペンが綺麗に消える、不思議素材
表面はサラサラしていて、ゴミや繊維は付着しにくい。実際にボールペンで書いてみると、シリコンにしては抵抗感は少ないものの、紙のようなスムーズさとは言い難い。筆圧が強い人は引っ掛かりを多少感じるだろう。しかし、決して書きにくいわけではなく、慣れればなんてことはない。
ボールペンであれば油性でも水性でも書けるが、水性の場合は乾くのに多少時間が必要なので油性の方が適している。一方で、フリクションはほとんど色が残らないので使えない。公式では油性ボールペン、特に「ZEBRA社のジムノック0.7mm」を推奨している。また、三菱鉛筆のジェットストリームは跡が残りやすく使用を避けるように、とのことだ。
そして気になる消し心地。油性ボールペンで書いたのが嘘のように綺麗に消せる。
とは言え、書いた分だけのインクが付着するので「指」は応急処置的に消す手段となりそうだ。消しゴムでは消しカスが出るので少々不便さを感じる。消しゴムにインクが付着して汚れることもあり、煩わしさを感じる人もいるだろう。
筆者が一番勧めたいのはティッシュで消す方法だ。綺麗に消せて、手も汚れずゴミも少ない。
吸着力は紙の付箋よりもはるかに高い。肌で触ってみると粘着力の弱ったシールのような感触なのだが、不思議とPCや机にはしっかりと貼れる。なので、付箋のように落ちる心配がない。(木、紙、革への使用は避けるように公式でアナウンスされている。)
何度剥がして貼ってみても弱らないが、使っていくうちにゴミが付着してくる。そんな時は簡単な水洗いで汚れを落とせばOKだ。
吸着シートを水で洗うのは違和感があったが、実際にゴミは綺麗に落ちた。そして、洗い終わったら乾かして、吸着力は元通りに。ちなみに、濡れても消えないウォータープルーフなので書いたままでも洗える。
「wemo」は短期記憶やリマインダーに最適
電話対応でメモが必要な時には役立ちそうだ。電話を繋ぐ際の短期的なメモとして使うのにはもってこいで、手元や電話付近に貼っておきたい。
また、1日のタスクを可視化させるのに使うのも良いだろう。目につく場所に貼っておけるので自然とリマインドしてくれる。1つ終わるごとに消していって、退社する頃には一面綺麗になっているのが理想的だ。
あるいは、仕事中にふと思い出したことの記録にも使える。次の日に必要な物や生活用品で買っておかなければならないものは、疲れている帰宅時には忘れてしまう人も多い。思い出した時にメモしてスマホに貼っておけば、うっかり忘れも減らすことができる。
突然ひらめいたアイデアを一旦書き留めておく場所として使っても良いだろう。
長期間放置するとインクがパッドに色移りすることもあるようだ。幸か不幸か自ずとタスクの放置がしにくくなる。そういった意味でもリマインダーとして優秀なのではないだろうか。
バンドタイプやスマホケースも
「wemo」は前述した通り、身に着けるバンドタイプが本家となっている。こちらは常時腕に装着しておけるため、医療・建設現場など身体を動かすビジネスパーソンに重宝されている。
wemo公式HPより
その他にも「wemo」がそのままスマホケースになったタイプや、バンドタイプに貼って使用するメモシールタイプもある。肌に直接貼るタイプも今後登場するようだ。
wemo公式HPより
「wemo」価格一覧
●パッドタイプ
量販店限定:S1枚 800円 / M1枚 850円 / S1枚+クリップ 950円(税別)
Amazon限定:S2枚 1200円 / M2枚 1300円 / S2枚+クリップ 1400円 (税別)
●バンドタイプ
販売価格:1,200円(税別)
サイズ:W45×H238×D8(mm)
●ケースタイプ
(iPhone 7/8, iPhone X/XS, iPhone 11 Pro 対応)
販売価格:2000円(税抜)
実際に使用してみて、とにかく実用性の高さを感じる逸品だった。オフィスではPCや机に貼ってメモる”場”として使い、オフィスを出たらスマホなどに貼ってリマインダーとして活用する。いつでも自分の目につく場所に携えておけるといった意味で、「ウェアラブル」と言えるかもしれない。
書き味に独特の癖はあるものの、使っていて気になるほどではなかった。もとより、紙の付箋では起きてしまう、ゴミ問題や粘着力の弱さが解決できただけでも有難い。課題を挙げるとするならば、指で消した時にインクで指先が汚れてしまうことくらいだろうか。
オフィスはもちろん、身体を動かすような現場で働く人にはバンドタイプも使っていただきたい。肌に直接貼る新しいタイプも登場するようなので、今後も「wemo」から目が離せない。
文・清水佑紀