リンクアンドモチベーションの研究機関モチベーションエンジニアリング研究所は「従業員数と従業員エンゲージメントの関係」に関する調査を行い、その結果を2019年11月26日に発表した。
調査結果のトピックスは以下になる。
- 従業員数が多いほど、エンゲージメントは低くなりやすい
- エンゲージメントを高めるカギは、ミドルマネジャーが部下の意欲や個性を引き出すこと
- エンゲージメント向上は、従業員の統合に向けた働きかけが重要
- 「休日や就業時間」の満足度を高めても、従業員エンゲージメントはあまり高まらない
従業員数が多いほど、エンゲージメントは低くなりやすい
従業員数が1~100人、101~300人、301~1000人、1001人~の企業に分類し、各企業のES、ERの関係を(表1)、(グラフ1)に示す。(表1)、(グラフ1)の結果より、従業員数が多いほど、従業員エンゲージメントは低くなりやすいことがわかる。特に、ERがA~AAAの企業の比率は、従業員数が多いほど低くなっている。
エンゲージメントを高めるカギは、ミドルマネジャーが部下の意欲や個性を引き出すこと
エンゲージメントファクター16領域のうち、従業員数ごとの、ESと相関が高い10位を(表2)に示す。従業員数が多いほど、直属上司の部下に対する「情報収集」とESとの相関は高くなる一方で、「情報提供」は相関が低くなる。
「情報収集」には、部下の業務状況や個性、意思の把握などが項目として設定されている。「情報提供」には、部下に顧客ニーズや部署の目標、役割分担を伝えることなどが項目として設定されている。
同研究所は、この結果より、相対的に従業員数が多いほど、ミドルマネジャーが部下の意欲や個性を引き出すことが重要になるとした。
エンゲージメント向上は、従業員の統合に向けた働きかけが重要
エンゲージメントファクター16領域に紐づく64項目のうち、従業員数ごとの、ESと相関が高い10項目を(表3)に示す。
従業員数に関係なく、「全社的な連帯感」「メンバーの目標達成意欲」「戦略目標への納得感」はESと高い相関を示している。同研究所は、この結果から、従業員数に関係なく、従業員エンゲージメント向上には、従業員を統合するための働きかけが重要になると考えている。
「休日や就業時間」の満足度を高めても、エンゲージメントはあまり高まらない
従業員数ごとの、ESと相関が低い10項目を(表4)に示す。
従業員数に関係なく、「業界内での影響力」「財務状態の健全性」「話題性や知名度」「研修制度の充実度」「IT環境の充実度」「休日や就業時間」はESと低い相関を示している。
なかでも、働き方改革において重要な要素と考えられている「休日や就業時間」は、従業員数が多いほど相関はやや高まってはいるが、従業員エンゲージメント向上にはあまり寄与しないとしている。
■調査概要
【調査対象】
2015年1月~2019年7月にエンプロイーエンゲージメントサーベイを実施した649社(回答人数30人以上の企業)
【調査方法】
帝国データバンクの従業員数に基づき企業を分類
<参照元>
「従業員数と従業員エンゲージメントの関係」に関する 研究結果を公開
リンクアンドモチベーション