消費増税前後で起動ユーザーが急増したのは「PayPay」

ヴァリューズが消費増税前後の決済アプリ利用ログから、キャッシュレス決済の利用実態を調査しその結果を公開した。同時にキャッシュレス決済やポイ活の認知度、利用意向に関するアンケート調査も実施している。

調査結果のポイントは3点。

圧倒的な強さをみせるPayPay


図表 1 主要キャッシュレス決済アプリの日次起動ユーザー推移(2019年9月-10月9

2019年9月-10月の主要決済アプリ日次起動ログからは、「PayPay」の圧勝ぶりが明らかになった。

1日平均414万人前後で推移していた9月の日次の起動ユーザー数は、9月最終週から急増。消費増税当日の10月1日(火)には683万人に。さらに増税後最初の週末である10月5日(土)には、「PayPay感謝デー」を開催し911万人をマークしている。10月の1日平均起動ユーザーは677万人に達した。

つづいて利用が多かったのは「au WALLET」や「d払い」といった通信キャリア系決済アプリ。1日平均起動ユーザーはau WALLETが9月278万人から10月313万人へ、d払いは9月181万人から10月269万人へ、それぞれ増加している。

7月に投入されたコンビニ系決済アプリ「ファミペイ」は、日によってばらつきがあるが、多い日だと約400万人程度が起動している。ただし9月と10月で日次平均起動ユーザーに大きな差異はなく、他のアプリほどは消費増税の影響を受けていないようだという。


図表 2 主要キャッシュレス決済アプリの起動日数

9月と10月で主要キャッシュレス決済アプリの起動日数を比較すると、ほとんどのアプリで日数が増えた。しかし、増税の影響度合いには濃淡がみられる。

月に11日以上起動する日常的に利用するユーザーは、もともと30%ほどだったPayPay、au WALLET、ファミペイで増加が顕著。なかでも月に21日以上、ほぼ毎日起動するヘビーユーザーは10月にau WALLETが21.4%、ファミペイは15.5%、PayPayは14.3%に達している。


図表 3 主要キャッシュレス決済アプリの起動回数

アプリ起動回数についても同様の傾向がみられた。10月はLINE Payをのぞきいずれのアプリも11回以上起動するユーザーが増えている。

とくにPayPayとau WALLETは21回以上起動のヘビーユーザーがそれぞれ33.1%、29.6%に達した。(※起動回数は1時間毎に計測)

新規インストール数もPayPay独走、楽天ペイが健闘


図表 4 主要キャッシュレス決済アプリの月次起動ユーザー数推移(2018年10月-2019年10月)
※「ファミペイ」アプリは、2019年7月1日に「ファミリーマートアプリ」から移行してリリースされた

キャッシュレス決済アプリは、「100億円あげちゃう! キャンペーン」以来、熾烈なキャンペーンバトルを繰り広げている。勢いには差があるものの、年間でみると今のところほとんどのアプリがユーザーを増やしていて、市場自体は着実に拡大しているという。

月次の起動ユーザー数の推移をみると、9月以降はPayPayが独走態勢に入っているのがわかる。d払いや楽天ペイの伸びも顕著だ。

2019年9月-10月の日次の新規インストールユーザーログからは、消費増税がキャッシュレス決済ユーザーの裾野拡大にも奏功したことがみてとれる。


図表 5 主要キャッシュレス決済アプリの日次インストールユーザー(2019年9月-10月)

新規ユーザー獲得でも圧倒的な強さを示したのはPayPayだ。増税当日の10月1日(火)には約50万人がインストール。最初の週末10月5日(土)には約60万人に達してる。

10月1日(火)は楽天ペイも約30万人がインストールしているが、新規獲得に関してはPayPayほど大きな動きではなかったという。

2019年9月-10月の新規インストールユーザー数は、PayPayが946万人、楽天ペイが376万人、d払いが256万人。主要アプリ合計だとのべ約1,900万人に達した。

他方、経済産業省のポイント還元対象店舗検索アプリは、9月最終週からインストールユーザー数が10万人を超えて急増した。3,600ページに及ぶPDFや店舗の重複が話題になったアプリだ。

10月1日(火)当日には約57万人を獲得していて、2ヶ月間の新規インストール数は330万人にのぼっている。

キャッシュレス・消費者還元事業の認知度は7割超、ポイ活の認知が高いのは20-40代女性


図表 6 「キャッシュレス・消費者還元事業」と「ポイ活」の認知度及び行動

「消費者がキャッシュレス決済の利便性を実感するきっかけを創出する」という目的を掲げたキャッシュレス・消費者還元事業。スマホ決済アプリユーザーは着実に増え、政府の発表によると実際1日平均10億円ほどのポイントが還元されているという。

「キャッシュレス・消費者還元事業」は全体の71.8%が言葉を認知していた。事業について調べたユーザーも40.4%にのぼり、関心の高さがうかがえるという。

男女ともおおむね年代と比例して認知度が上がる傾向で、60代以上の女性は77.5%が「知っている」と回答している。実際に調べたユーザーは30代男性で43.2%、40代男性42.2%、20代男性41.9%とほかを上回った。

「ポイ活」は、ポイントを貯めたり使ったりしてお得にしようという活動。男性の認知度17.7%に対し女性は30.6%と、男女差がみられた。

とくに30代女性41.2%、20代女性39.2%、40代女性30.4%の認知度が高く、実際ポイ活をおこなっている層も20-40代女性が中心となっている。

男性は30代12.9%をのぞくと認知度・行動とも低く、とくに60代男性でポイ活をおこなっているのは4.6%にとどまった。

※調査概要
全国のヴァリューズモニター(20歳以上男女)を対象として、2019年10月16日~30日にアンケート調査を実施(回答者18,517人)。また、全国のヴァリューズモニター(20歳以上男女)を対象として、主要決済アプリの行動ログを分析した。
アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている。
行動ログは、ネット行動ログと属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用。
アプリユーザー数は、Androidスマートフォンでのインストールおよび起動を集計し、ヴァリューズ保有モニター(20歳以上男女)での出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
「LINE Pay」は決済機専用アプリのログのみで、「LINE」アプリから「LINE Pay」機能を使用した分は含まない。

<出典元>
消費増税前後の決済アプリ利用ログからキャッシュレス決済の利用実態を調査、1日の起動ユーザー数が900万人以上のPayPayが独走
ヴァリューズ

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