バスキュール、スカパーJSAT及び国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)は、国際宇宙ステーション(ISS)にスタジオを開設し、『宇宙メディア事業』の創出に向けた活動を始動することを発表した。

本活動は、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す、JAXAの共創型研究開発プログラム・宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)における活動として行われるとのことだ。

『宇宙メディア事業』の概要

バスキュールとスカパーJSATは、地上400km上空を秒速8kmで周回するISSの日本実験棟「きぼう」を舞台に、“宇宙の民主化”を促進し、JAXAとともにメディアプラットフォームの実現に向けて検討をはじめたという。

バスキュールは、2020年以降のフェーズ1において、「きぼう」船内に番組スタジオ「The Space Frontier Studio KIBO(きぼう宇宙放送局)」を開設し、国際宇宙ステーションに長期滞在する宇宙飛行士とともに、宇宙に設置されたディスプレイを介して宇宙と地上でリアルタイムにコミュニケーションが楽しめる、双方向ライブ配信の開始を予定。

また、きぼう宇宙放送局から届く番組は、スカパーJSATとともに、BSスカパー!やYouTube、SNS等で放送・配信をする予定だという。

この取組みを実現させるため、バスキュールは、ISS日本実験棟「きぼう」の機器等を活用し、ISSと地上との通信回線制約を考慮したデータ通信プロトコル、短時間で起動可能な双方向通信用専用アプリケーションを独自に開発し、2020年夏以降を目途に、世界初の対面型双方向ライブ配信システムの技術実証及び事業化着手に向けた実証を実施し、2021年頃を想定しているフェーズ2では、XR(AR/VR)も活用し、これまでにない映像配信を目指す方針を示している。

スカパーJSATは、フェーズ 1の番組に連携パートナーとして参画するとともに、「きぼう」船外に新たなカメラシステムの構築による、超高画質放送・配信開始に向けた検討(フェーズ2)と、ISSを利用した新たな通信システムの構築の検討(フェーズ3)も並行して開始し、「きぼう」における上記のシステムに加え、スカパーJSATが軌道上に多数保有する衛星通信網も活用して、2022年以降、「きぼう」 から超高画質ライブ放送・配信を目指すとのことだ。

JAXAは、地球近傍の宇宙空間(地球低軌道)を民間主体の経済活動の場へ発展させていくことを目指し、上記で構築される対面型双方向ライブ配信システムの新たな利用方法や、全てのフェーズにおいて民間事業の創出を後押しする「きぼう」の機能拡充について検討を進めるとともに、フェーズ1の事業実施にかかる安全評価、軌道上機器の設置及び運用作業を行うとしている。

3社は、世界初の宇宙からの双方向ライブ通信番組の配信、超高画質ライブ放送・配信を実現することで、国も言語も世代も性別も違う人々がつながりあう、新しい事業創出に取り組み、国際宇宙ステーション及び日本実験棟「きぼう」の新たなユースケースの開拓を目指していく方針だ。