パナソニック ソリューションテクノロジー(以下、パナソニック)、富士通、三菱電機が、企業の知的財産活動における特許調査業務のさらなる効率化を図るため、AIを活用した高精度な検索結果を抽出する新しい機能を共同で開発した。

同機能では、サービス利用者が指定した検索文章の意味をAIが解析し、数千万件という国内の膨大な特許公報から、意味が近いと認識した文章を高い精度で検索することが可能。

これにより特許業務担当者だけでなく専門知識を持たない製造現場の担当者が意図する検索結果の精度を向上し、特許調査業務の負荷軽減に貢献することが期待できるという。

「AI検索機能」概要

同機能は、AIエンジンとして富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)、(以下、Zinrai)」を搭載し、さらに三菱電機の特許調査における知見(技術者による特許調査を想定した検索シナリオなど)をもとに、三社共同で開発を行った機能。

従来のキーワード検索ではなく、入力した文章と特許文書の類似性を解析し構築した知識構造化モデル(※)により検索を行うため、キーワードや分類コード、出願人などの検索条件を正確に組み立てる必要なく、思いついた文章を入力するだけで、数千万件という膨大な特許公報文書の中から求める文書を抽出することが可能。

さらに入力した文章と特許公報文書とのマッチングをAIで解析し、スコアリングして表示する機能により、上位の特許文書を集中的に確認することもできるようになっている。

また、検索時に使用した文章と、その結果抽出された適切な文書、および必要でない文書を調査データとして蓄積し、AIが継続して学習することで、過去の調査ノウハウを次の検索結果に反映させることも可能だ。

特許の要約や請求項など各項目の特徴から検索を行うことも可能となっており、これにより、従来比1.5~2倍の検索精度向上を実現したという。

今後は、同AI検索機能をパナソニックの「PatentSQUARE」、および富士通の特許検索サービス「ATMS PatentSQUARE」の新オプション機能として2020年1月より提供する予定とのことだ。

※知識構造化モデル:膨大な特許文書から、機械学習・ディープラーニングなどにより特許文書内に含まれる単語同士の関連性、特許文書同士の類似性などを解析・学習し、構築したモデル。