「ミス青山コンテスト2015」「Miss of Miss CAMPUS QUEEN CONTEST 2016」でグランプリを獲得し、その後、芸能事務所「研音」に所属。テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』に出演するなど、華々しい活躍を遂げてきた山賀琴子氏。
そんな彼女は2018年に芸能事務所を退社し、アクセサリーブランド「ENELSIA(エネルシア)」を立ち上げるなど起業家の道を歩み始めた。
「ENELSIA」は着想から起業まで約半年という、短期間での立ち上げ。いままで芸能界で活躍してきた彼女が、なぜこれほど早く起業家へと転身できたのだろうか。
山賀氏は、そのことについて「縁があったから」と語る。「良縁に恵まれたことで起業ができた」というのだ。そこで山賀氏に、どのようにして起業へ至ったのか、良き縁を引き寄せるために大切なことなどを伺った。
芸能事務所を辞めてすぐに起業。ENELSIA(エネルシア)立ち上げの経緯
───ENELSIA(エネルシア)を立ち上げた経緯をお聞かせください
山賀:去年の9月まで芸能事務所にいて、末日をもって退社したのですが、そこから次に何をするかは決めていませんでした。だから、実家に帰って今後どうしようかと考えたんです。そうしたら、漠然と物を売る仕事がしたいと思いました。
そこで、何を売りたいのか突き詰めて考えたら、アクセサリー好きの母の影響を受けて、私も小さいころからアクセサリーとかキラキラしたものが好きだったこともあり「売るならアクセサリーが良い」と直感的に思ったんです。
そう思ったらすぐ、いろいろな人に「アクセサリーを作りたいんだよね」と話しました。そうしたら、たくさんの人が「じゃあよさそうな人がいたら紹介するね」って言ってくれて、どんどん輪が広がっていき、同じ志を持つ人や私の考えに賛同してくれる人、一緒にやりたいって言ってくださる方が集まってくれました。
───着想から起業まで1年もかかっていないとか。
山賀:ブランドを立ち上げようと思ってから、大体半年で起業しました。とても良い人達が集まってくれまして…ミーティングをして私の考えなどを話したら、みんな「いいね」「面白そうだね」って賛同してくれて、じゃあこうしようってトントンと話が進み、アクセサリーのブランドを立ち上げる運びになりました。
縁がつながり形となった、アクセサリーブランド
ENELSIAのコンセプトは「縁を得る幸せ」。そもそも、ENELSIAは“縁を得る幸せ”をもじった造語だという。なぜ、彼女はこの造語をブランド名にしたのだろうか。
───ENELSIAのコンセプトを「縁を得る幸せ」とした理由は?
山賀:昔から、日本の縁っていう考え方が好きでした。縁を英語で訳すとdestinyとかになると思うんですが、それだと日本語の「縁」とちょっとニュアンス違いますよね。そんな、他の言葉で言い表せないような、日本人ならではの「縁」っていう考え方がすごく好きだったんです。
私自身、24年の人生を生きてきて、その「縁」を身をもって感じることがたくさんありました。
だから、これからもそういう縁を大切にしていきたいなっていう気持ちと、縁を得るとか、縁によって結ばれることの幸せとか、そういうものを、アクセサリーを通じて感じていただけたら良いなって思ったんです。
ENELSIAを通じて、新しい縁に巡り会っていただいて、そこで幸せを得てほしいという気持ちで「ENELSIA“縁を得る幸せ”」とつけました。
ENNELSIA 公式ウェブサイト
───具体的に、山賀さんが縁を感じたエピソードを教えていただけますか?
山賀:たくさんあります。私の人生は縁の積み重ねというか…縁が繋がった結果今があるっていう感じなんです。例えば、一番大きかったのは大学受験。
第一志望が別の大学だったんですけど受からなくて、次に受かった青山学院大学に入学しました。そこで法学部に行ってたくさんの友人に出会ったのも縁だし、ミスコンに声を掛けていただいたことも縁。ミスコンの結果、芸能事務所へ入ったことは私にとって人生のターニングポイントになりました。
───大学に入るところから現在まで全て縁でできていると。
山賀:そうですね。大学で友人たちに出会えたのもそうですし、ちょっとでもタイミングがずれてたら…例えば、ミスコンに出る年が違ったら、芸能界に行かなかったかもしれないし、今と全然違うことをしていたかもしれない。そう考えると、全部の出来事が縁だなって思います。
───ENELSIAも良い縁に恵まれて立ち上げられたとお聞きしたのですが。
山賀:今のENELSIAのチームにいる人って、紹介で集まってくれた人たちなんです。だから、人が繋いでくれたんだなと思います。
───全員が紹介で集まったんですか?
山賀:そうです。「良さそうな人がいるよ。今度ご飯でも行って話してみたら?」みたいな感じでいろんな人が紹介してくれました。
それで、会って起業に関して話したら「面白そうだね」って意気投合して。そしたらその人が、「一緒にできそうな人いるから紹介するよ」って言うので会って、そうしたら会った人もすごく良い人で…の繰り返し。
やりたいことが似てる人たちばかりが集まって、「じゃあもうみんなでブランド立ち上げましょう」という流れになりました。
「発信することで縁は繋がる」山賀琴子が考える、良縁メソッド
─── 一見、順風満帆そうに見えるのですが、良い縁を引き寄せるコツってありますか?
山賀:私は、基本的に言霊っていうのを信じています。言えば叶うって思っているんです。だから、今回ブランドを立ち上げる際も、「アクセサリーをつくりたい!」っていろいろな人に話しました。その結果、人が集まってくれたんです。こんなに早く起業ができたのも、言霊を信じて、たくさんの人に言っていたからかもしれません。
今までも、好きなことや自分の気持ちが上がることは口に出して言うようにしています。大学生のときも、ミランダ・カーが好きって言っていたら、いつの間にか、和製ミランダ・カーって言われたりとか。自分から言っちゃうと恥ずかしいんですが(笑)。
でも、当時は恥ずかしかったけど嬉しかったです。もちろん、自分でも意識はしていましたし、ファッションとか髪型とか真似していました。
───口に出し、努力すれば叶うと思って、行動されてきたんですね。
山賀:そうですね。だから、ネガティブなことは口にしないようにしています。口に出して言うことってパワーになるから、そういうのは大事かなって。
ポジティブな気持ちでいることは、良い縁を引き寄せるためには大切だと思います。
もちろん嫌なことがあったり、うまくいかなかったりするときはネガティブな気持ちになりますが、そうなったら早めに気持ちを切り替えるのが大切ですね。「まぁこんなこともあるよね」っていうマインドでいることがいいのかなと思っています。
───山賀さんの場合は周囲の人に話すという事ですが、やっぱりSNSを使って発信することも大切ですか?
山賀:私の場合、SNSは目的をもってやっていないので…ENELSIAを立ち上げるときも家族や知り合いにだけに話しをしたんです。でも、周囲に言うにしろ、SNSで言うにしろ、やっぱり発信することが大切だと思います。
例えば、今のマネージャーと出会ったのも、たまたま彼がフリーランスになったタイミングで私のことを聞いたから。お互いフリーになったとか、アクセサリー作りたいとか知らなかったら出会えなかったなって。
───最近だとSNSつながりで会おうという人も多いですが、良い人悪い人の見分け方をお伺いしたいです。
山賀:私は悪い人を見抜く力があまりないのですが、直感で「空気感苦手だな」とか、「自分と合わないな」と思った人は、悪い人でなくても、一緒に仕事はしません。一緒にやってもうまくいかないだろうなと思うので。直感的な部分は重要かなと思います。
私は周りの人たちに恵まれていて、悪い人や嫌な大人とかを目利きできる人が多いので、周囲に助言をもらい判断することもあります。それを積み重ねれば、自分の中でも「あ、こういうのはちょっと良くないのかな」とわかってくるから、今は周囲に助けられつつ、勉強しているところです。
「自分と似た人を好きになる」良縁に出会えない人が心がけること
───周囲に言っても、あまり良い縁を引き寄せられない場合はどうすれば良いでしょうか?
山賀:うーん…楽しくなさそうな人とは一緒に居たくあまりませんよね。
私は楽しい人とまっすぐな人が好きなんです。私自身、素直で、人に嘘をつかず、誠実でありたいって思って生きているので。そうすると、同じ気持ちで生きてる人と空気感が合って、似たような人が集まってくれるんです。
だから、良い縁を引き寄せられないと悩んでいる場合は、自分自身を大切にして、自立した気持ちでいるとか、ハッピーでいることが大切かなって思います。
───自身の強みや得意なことがわからない人へ、アドバイスはありますか?
山賀:私もそれはずっとわからなくて…ただ、自分自身を好きでいることは大切だと思います。自分を受け入れるとか、自分を愛するとか。そうしていると、周囲にも自然と目を向けられるようになるんです。
自己中でいるよりも、自分を好きでいて周りに感謝している人間でいたほうが、自分を客観視できる。そうしたら、「自分ってこういうのが好きなのかな?」って見えてくると思うんです。
あとは、強みや得意なことがわからない場合は、とりあえず好きなことにたくさん挑戦してください。得意不得意はやってみないとわからないので、自分が好きだなと思うことをとりあえずやってみて、違ったら排除。残ったものを頑張ればいいんじゃないかなと思います。
───ただ、挑戦したいけど踏み出せない人も多いですよね…。
山賀:いろいろなことに挑戦するって結構難しいし、勇気がいるとも思います。ただ、行動するって、いきなり会社辞めろとかそういうことじゃなくて…例えば会社の仕事が合わないなとか、違うなって思ったら、趣味を増やしてみるとか、人との出会いをもうちょっと増やしてみるとか、好きなことを発信するとか。そういうことをすれば良いと思います。自分で行動しないと、自分の人生は動かないから。
一個勇気を踏み出して、何か小さなことでも、習慣にプラスするとか、やってみるとか、行動すれば、自分の中での変化みたいなものが出てくるんじゃないかなと思います。
取材・文:成田千草
写真:西村克也