OKIは、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)が設立したJR東日本モビリティ変革コンソーシアム(以下、コンソーシアム)において、FPV Robotics(以下、FPV)と共同で、空飛ぶ水中測深装置「ドローン搭載型MNB(multi narrow beam)測深機」による、河床状況調査の作業効率化および安全性向上に関する実証実験を始めたことを発表した。
コンソーシアムでは、河床状況調査を対象とした測深技術についての検証を行っていおり、河床状況調査では、主に橋梁の上から錘の付いたロープを水底まで下ろして河床の状況を測定してきたが、測定箇所が限定される、流速が早い場合は測定精度が低下するなどの課題があったという。
そこでOKI、JR東日本、FPVの3社は、コンソーシアムのロボット活用WGマルチビーム測深SWG(以下、SWG)において、こうした課題の解決に向け、MNB測深機とドローンを一体化した「ドローン搭載型MNB測深機」による河床状況調査の実証実験を推進するに至ったとのことだ。
まず実証実験にあたり3社は、OKIグループの関係会社OKIシーテックの可搬ボート型マルチビーム測深機「CARPHIN V(カーフィン ブイ)」の測深装置部、および測定場所への移動手段となるドローンの活用を検討。
「CARPHIN V」は、小型・軽量な無人船体に測深装置部を一体化した装置で、有人測量船では測定が不可能な港湾や湖沼、小規模河川などにおいてMNB方式の深浅測量を行った実績があったという。
3社で検討した結果、「CARPHIN V」の測深装置部をさらに小型化し、水空両用ドローンと一体化することで、調査対象場所へのアプローチから着水、測定対象範囲の水上航行と測深、離水、着陸までの一連のプロセスを、遠隔操作または自動制御で行うことを可能とした。
これにより、橋脚付近の河床状況調査における作業の効率化を実現するとともに、安全性の向上にも寄与することができるとしている。
OKIは、このドローン搭載型MNB測深機を「CARPHIN air(カーフィン エア)」として、2020年度第三四半期の販売開始を目指しており、10月15日から10月18日まで幕張メッセで開催されるCEATEC 2019(OKIブース:ホール4【トータルソリューションエリア】小間番号:A005)に出展する予定だ。
SWGでは今後、試作機の運用試験による課題整理や技術検証を行ったうえで、実フィールドでの実証実験、実運用に向けたルールなどの検討を共同で進めていく方針としている。