ファーストリテイリング、過去最大の民間資金によるILO主導プロジェクト推進

ファーストリテイリングは2019年9月4日、世界の労働問題に取り組む国際連合の専門機関である国際労働機関(ILO)との間で、アジアで労働者の社会保障の充実と労働環境の整備に取り組むことを目的としたパートナーシップを締結したことを発表した。

ファーストリテイリングが生産拠点を置くバングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ミャンマー、ベトナムの7カ国を対象に、労働市場と社会保障制度の比較調査を実施し、労働者の保護水準の向上につながる政策対話を促進するという。

このパートナーシップのもと、ファーストリテイリングは2019年9月から2021年までの2年間で180万米ドル(約1億9千万円)の資金を拠出し、この資金は、ILOによるアジア各国を対象とした労働市場と社会保障制度に関する調査と、インドネシアでの雇用保険の導入促進および失業時の労働者支援を強化するプロジェクトに投じられるとのことだ。

これは、ILOが主導する社会保障制度に関する取り組みとしては、過去最大の民間資金によるプロジェクトとなるとしている。

ILOとのパートナーシップではまずインドネシアにおいて、失業期間中の最低収入を保障する雇用保険の創設に向けた政府、労働者団体および雇用者団体の三者間協議を促進し、同時に、失業者向けにIT産業など新興成長産業へのキャリア転換を支援するトレーニングプログラムの開発と、再就職支援の充実を図るという。

ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏は

「世界経済の持続的な成長の原動力であるアジアの成長には、人々が権利を保障された適正な環境で生き生きと働けることが不可欠です。このたび、世界の労働問題に取り組む国際労働機関とのパートナーシップにより、当社サプライチェーンの枠を越えて、アジア地域における社会保障の充実と労働環境の改善に向けて働きかけ、アジアで働く人々を取り巻く課題の根本的な解決に貢献することを目指しています。」

とコメントしている。

また、ILOジャカルタ事務所代表の宮本三知子氏は

「失業が労働者とその家族に与える影響を緩和するためには、より充実した社会保障制度、産業界主導の職業訓練、そして再就職支援を組み合わせた統合的なアプローチが必要です。このプロジェクトはそうした政策連関およびアプローチの有効性を示すものとなるでしょう。」

と述べている。

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