INDEX
様々な大人の“はたらく”価値観に触れ、自分らしい仕事や働き方とは何か?のヒントを探る「はたらく大人図鑑」シリーズ。
今回は、IT系の企業で法人営業を担当した後、独学で宅建を取得し不動産業界へと足を踏み入れた加藤誉幸さん。1社目のIT系企業と2社目の不動産仲介業社、2つの企業経験を独立に活かし、自身の理想の不動産サービスを追い求める加藤さんのその先には、最先端の技術を使って人をワクワクさせる新しい不動産業界の姿が見えました。
ITアウトソーシング企業在籍中に独学で宅建を取得、不動産業界へ
——今どんなお仕事をされていますか?
加:ネット集客に強みを持った、中古マンションメインの不動産売買仲介会社の代表取締役をしています。
不動産流通業界ってアナログの代名詞みたいな部分があるんですが、3D動画やチャットシステムなどのITツールを駆使しながらワクワクできる新しいサービスを提供することを目指しています。
——大学をご卒業後、最初はIT系の会社に進まれているんですよね。
加:ITアウトソーシング企業で、コールセンターやWebサイト構築などのBtoBに関する営業職に4年従事していました。
——退社されたのはどういったきっかけがあったんでしょうか?
加:26歳の時、大学時代の先輩が映画関連のベンチャー企業を立ち上げることになったんです。映画も好きでしたし、自分がまだ若かったこともあり、「このままこの会社にいても良いのか」という想いがあったんですね。そこで先輩の会社を手伝うため、退社しました。
1年弱、その会社を手伝っていたんですが、少し難しいビジネスモデルを扱っていたので儲けがあまり出ず…。そこで、2012年に独学で取得した宅建を活かして大手不動産系列の仲介会社に入社しました。
——まずIT関連のことを学ばれた後、異業種の不動産の世界に進まれたということですね。なぜ宅建を取得しようと思ったんですか?
加:最初に入社した会社では、営業として1年目から大手カメラメーカーや大手ゲーム会社などのクライアントを相手にしていたので、それなりにやりがいを感じていました。
ただ数年やると、営業として出来ることの限界を感じ、このまま続けた後どうなりたいのかという具体的なイメージを描くことが出来なくなったんですね。
そこで何か新しいことをしようと思い、宅建の勉強を始めたんです。
——営業職として出来る範囲に限界を感じられたというのは具体的にはどういったことでしょうか?
加:1社目では、社内のコールセンターやWebサービス部門の人がお客様とやり取りしていたんです。営業職は、そういった社内の部門とお客様とのパイプ役という大切な役割があるんですが、実際にお客様と接することは少なかったんですよね。
営業としていかにうまく立ち回っても、サービス側の問題でお客様に対して不備があったら、こちらとしては調整しきれない部分があったんです。
そこにジレンマを感じたという気持ちがありました。
——2社目の不動産仲介会社ではどういったお仕事をされていたんでしょうか?
加:そこでは2年半、主に湾岸エリアのタワーマンションの個人間売買仲介を経験しました。さらに3年弱、相続や破産など複雑な事情の絡んだ不動産の処理をメインに行う事業部でマンション以外の土地や収益ビルなどの売買取引も経験しました。
——そこから起業されるきっかけは何だったんでしょうか?
加:トータルで5年ほど不動産売買仲介実務を経験した中で感じたのは、まだまだ紙文化が重んじられる、ひたすらアナログな業界であるということ。
そして、そこで働く人もアナログな人ばかりであるということを率直に感じたんですね。
——不動産業界で疑問に感じる点が多く出てきたんですね。
加:はい。それに加えて、仲介会社側はわかるが、お客さんには不明確になっていることもあるなど、情報が公平でないなと感じることも多くて。
本当の意味で満足していただけるサービスは提供出来ていないのではないかと、日々思っていました。
そこで感じた不都合を解決したいと思い、起業という道を選んだんです。
未経験ながら転職した不動産業界が進むべき道を作ってくれた
——大手の会社から独立し、起業されることに不安はなかったんでしょうか?
加:大手不動産仲介会社での業務経験があったからこそ、この数年の間に大きな変化が起こる業界であると感じたので勝算はありました。
——これから起こる不動産業界の変化というのはどういったものでしょうか?
加:最近では、まずはネットで物件を探すという流れが定着していますよね。
そんな中でAIやVR、Iotなどが昨今の技術革新により、今までアナログのままだった不動産業界も、より良い方向に変わっていくのではないかと考えました。
その大きな流れにいち早く乗っておきたいと思い、起業の決断をしたんです。
——もともと学生時代、どのような就活をされていたんですか?
加:学生時代から映画が好きだったので、映画配給会社やマスコミ、広告代理店やネット広告系などを何となく受けていましたね。
映画配給会社やマスコミは何となく憧れているくらいで、突き抜けた強い動機もなかったのでうまくアピールできず、1次面接でことごとく落ちましたけどね(笑)
そこでインターネット広告やメディア系の子会社を持つ1社目のIT企業に魅力を感じ、入社を決めました。
——大学生の頃はどんな風に過ごされていたんですか?
加:大学生っぽいことをやって普通に過ごしていました。
テニスのサークルに入って、適度に飲み会やって、冬にはスノボ行って、それなりに授業に出て課題もやって、みたいな。
今思えば特に何がやりたいとか明確な目的意識はなく、何となく日々を過ごしていた気がします。
海外留学とかしておけば良かったなと今では思います(笑)
——その当時、将来について何か悩まれていることはありましたか?
加:何をしたいか、自分がどうなりたいかって真剣に考えていなかったし、それを見つけるために努力もしていなかったですね。
今になって思えば、新卒で入社した企業でも何となく働いていて、「本当にこれで良いのか?」と自問自答する日々でした。
——そんな中、転職されたことが大きな転機になっているんですよね。
加:今の道に繋がる大手不動産仲介会社へ未経験ながら転職したことは、自分のキャリアの中でかなり大きなことだと思います。結局、家業である不動産に落ち着くというのはやはり運命的なものはありますが(笑)
今に繋がる実務経験と、業界に対する問題意識を持つことが出来たので、前職にはとてもありがたくも思っています。
適度な楽観主義と成功体験でモチベーションを保つ
——加藤さんが、”はたらく”を楽しむために必要なことはなんだと思いますか?
加:“適度な楽観主義”と“小さな成功体験を積み重ねること”です。
——適度な楽観主義というのはどういうことでしょうか?
加:仕事をやる上でネガティブに考えすぎず、目の前のやるべきことをしっかりやって、「あとは天に任せる!」くらいの余裕を常に持っておく姿勢が大切かなと思います。
——なるようになる、という気持ちも大切ということですね。小さな成功体験、というのは?
加:仕事をする上で数字目標を達成するということは、もちろん最大のモチベーションにはなるんですが…。
数字目標だけではなく、ちょっと煩わしい社内や社外への調整、苦手な顧客への連絡など、日々発生しうる出来事をうまく乗り越えた時の“小さな達成感”を大事にしています。
——ちょっと面倒くさいけどやっておけばスッキリすることって、ありますよね…。加藤さんにとって、仕事とはどういった存在ですか?
加:自分が感じる問題点を解消したサービスを構築し、それをお客様が使ってくれるということにシンプルに喜びを感じます。自分の考えたものが認められることによって、自分もまた社会に認められている、といった充実感のようなものです。
まだまだ道半ばですが、自分の思い描いた方向性をサービスとして具現化して多くの人に使っていただき、喜んでもらいたいですね。
——今後目指しているものはあるんでしょうか?
加:これまでの不動産業界のイメージを、良い風に変えていきたいと思っています。
まだまだ不動産って不透明なイメージがあると思うんです。手数料の高さや、価格が適正かどうかなど、高い買い物なのにわかりづらい部分が多いですよね。
買う側、売る側、双方のお客様の立場に立ち、親しみやすいサービスを目指していきたいです。
実現するために働いて、その結果、多くの人をワクワクさせ、幸せに出来れば最高ですね!
——”はたらく”を楽しもうとしている人へのメッセージをお願いします。
加:学生時代、自分がそうなれていなかったという後悔も含めて(笑)、まずは色んなことに興味を持つということが大事かと思います!
例えば、今話題になっているアプリやサービスなどを使ってみたり、話題の起業家や経営者を調べたり。
そういう過程で、自分がやりたいことや目指すべきものがおぼろげながらわかってくるのではないかと思います。
- 加藤 誉幸さん(かとう たかゆき)
- リンネ株式会社 代表取締役
1985年1月2日生まれ。2007年慶應義塾大学商学部卒業後、ITアウトソーシング企業で法人営業職に4年従事。
2012年に独学で宅建を取得し、大手不動産系列仲介会社に入社。2017年、リンネ株式会社(https://rynne.co.jp/)を共同で設立。
転載元:CAMP
※この記事はコンテンツパートナーCAMPの提供でお届けしています。