東京急行電鉄と住友商事は、複数の通信事業者向けに提供する5G共用アンテナシステムの2020年度中の実用化を目指し、2020年1月(予定)から実証実験を行うことを発表した。

5Gは、超高速・大容量・低遅延の通信を実現する次世代通信技術であり、IoTの普及や自動運転、遠隔診療、といったスマートシティ構想にも必要不可欠な技術として期待されている一方、周波数の特性上、1基地局でのカバーエリアが現状の4Gと比較して狭く、多数の基地局を整備する必要があるという。

特に都心では用地不足や景観の観点から基地局の新規設置が難しいため、通信事業者がそれぞれ基地局を持つのではなく、共用する必要があるとのことだ。

そこで、東急電鉄と住友商事は、効率的かつ効果的な5G基地局網の整備を推進し、早期普及に貢献すべく、本実証実験の実施を決定。

鉄道駅という公共空間を持ち、沿線に広がる住宅地域で事業を展開する東急電鉄と、海外での携帯通信事業・基地局シェアリング事業の実績がある住友商事が協業することで、日本国内における早期実用化を目指すという。

実験では、渋谷駅ハチ公前広場周辺の施設などに5G無線基地局を設置し、複数の通信事業者向けに基地局シェアリングを行い、通信事業者が個別に設置する基地局と、シェアリング用の基地局の両方がカバーしている環境において、基地局間の相互干渉や、他の基地局の接続に切替える際の技術検証を実施。

東急電鉄では、本実証実験を皮切りに渋谷駅周辺で5Gへ適応した最先端の通信インフラ環境を整えることで、新たな取り組みが生み出される「エンタテイメントシティ SHIBUYA」の実現を目指し、実験で得られた成果を東急線沿線に展開し、5Gによって可能となる新たなサービスを検討することで「日本一住みたい沿線 東急沿線」の実現を目指していくとしている。

また住友商事は、実証実験を通して5Gの知見・ノウハウを蓄積し、住友商事グループでのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、また5Gを活用し、住友商事グループの総合力を発揮した次世代ビジネスの創出を目指すとともに、地方創生とSociety5.0に寄与する5G基盤の利活用を検証していくとしている。