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「hakuhodo.movie(ハクホウドウ・ドット・ムービー)」が、「動画生活者統合調査2019」を実施した。hakuhodo.movieは、博報堂など博報堂DYグループ4社横断の、動画を使ったマーケティング効果の最大化を目指すプロジェクト。
現在、動画の視聴デバイスは多様化しているという。本調査では「テレビ視聴」「ネット視聴」といった2つ視聴行動に着目。視聴に費やす時間の異なるグループにおける視聴実態の違い、情報や消費に対する意識差等を分析している。
調査が明らかにしたポイントは次のとおり。
- ネットでの動画視聴は1日に1時間~1時間半がボリュームゾーン
- テレビ視聴に掛ける時間は1日あたり「2時間半~3時間」がボリュームゾーン、一方ネット視聴では「1時間~1時間半」がボリュームゾーン
- ネット視聴のピークタイムは「21~23時」。一方、テレビ視聴のピークタイムは「19~21時」で、続く「21~23時」においても視聴時間はネットより長い。「23時~翌5時」、ネット視聴とテレビ視聴は拮抗
- テレビ視聴に費やす時間の異なるグループで、ネット視聴の実態に大きな差
- 「テレビ視聴メイン層」:テレビ視聴3時間/日以上、ネット視聴1時間/日未満。女性30~60代の比率が高い。ネット視聴のメインジャンルは音楽、趣味・教養
- 「ネット視聴メイン層」:テレビ視聴3時間/日未満、ネット視聴1時間/日以上。男性10~30代の比率が高い。ネット視聴のジャンルは音楽、映画、アニメ、趣味・教養、ドラマ、お笑い、ゲームなど幅広い
- 「テレビもネットも層」: テレビ視聴3時間/日以上、ネット視聴1時間/日以上。性・年齢によらず万遍なく分布。ネット視聴のジャンルは幅広いが、とくに音楽、ドラマ、お笑い、映画のスコアが高い
- 「ネット視聴メイン層」「テレビもネットも層」のネット動画視聴後の消費行動は6割超、消費行動に対してもアクティブ
- ネット動画視聴後に「コメントを書いた」や「動画内の商品について調べた」など、何らかの視聴後行動をした「ネット視聴メイン層」「テレビもネットも層」は共に6割超、消費行動に対してアクティブであることがわかった
視聴時間のボリュームゾーン
調査によると、テレビでの動画視聴者は全体の94.7%だった。視聴時間のボリュームゾーンは「2時間~3時間」(19.5%)だが、「5時間以上」も16.2%とヘビーユーザーも多く存在する。
一方、ネットでの動画視聴者は全体の69.2%だった。視聴時間のボリュームゾーンは「1時間~1時間半」(11.5%)。
単純比較ではテレビ視聴の方が長いものの、ネット視聴においても相応の時間を費やしている実態がわかるという。
次に、テレビとネットの視聴実態を2時間区切りで調べている。
ネット視聴のピークタイムは「21~23時」(47.2%)だった。一方、テレビ視聴のピークタイムは「19~21時」(64.7%)。そのピークを維持した「21~23時」においても視聴時間はネットより長い傾向(58.8%)がみられる。
それ以降、「23時~翌5時」の深夜帯においては、ネット視聴時間がテレビ視聴時間と拮抗しているという結果となった。
また、平日/休日における1日の視聴時間の推移をみると、平日はテレビ視聴のピークが「5~9時」「19~23時」の2つの山があるのがわかる。
それに対して、休日は「7~23時」まで大きなひとつの山があり、平日の同時間帯に比べて3割以上多くテレビ視聴があるのがわかった。
調査では、テレビやネットのメディアイメージを聞いている。
テレビは「ざっくり知るのに便利」なメディア、ネットは「楽しい/面白い」「そこにしかない」情報が多いメディアというようにイメージに差があった。
動画の視聴にあたっても、使い分けをしている傾向がうかがえるという。
テレビ/ネット視聴時間の長短で分類した4グループを比較
本調査では、テレビ動画およびネット動画の視聴時間の分布を踏まえ、テレビ視聴については3時間/日、ネット視聴については1時間/日を境に区分し、以下の4グループを規定した。
- テレビ視聴メイン層(テレビ視聴3時間/日以上、ネット視聴1時間/日未満)
- ネット視聴メイン層(テレビ視聴3時間/日未満、ネット視聴1時間/日以上)
- テレビもネットも層(テレビ視聴3時間/日以上、ネット視聴1時間/日以上)
- どちらもあんまり層(テレビ視聴3時間/日未満、ネット視聴1時間/日未満)
ボリュームを反映した性年代出現比率でウェイトバック集計を行ったうえで、視聴実態の傾向を分析している。
その結果、「テレビ視聴メイン層」「ネット視聴メイン層」「テレビもネットも層」それぞれグループには特徴があり、ネット視聴に対する向き合いにも違う傾向がみられた。
消費に対する意識と、ネット動画視聴後の消費行動
調査では4グループについて、消費に対する意識を比較している。
結果、「テレビ視聴メイン層」は買い物好きだが、流行には左右されない傾向がみられた。
「ネット視聴メイン層」は新しいものや他人とは違うものが好きで、口コミ情報を意識する傾向。「テレビもネットも層」は買い物好きで、あらゆる情報に感度が高い傾向というように、消費に対する意識に差がみられた。
ネット動画視聴後の消費行動をみると、「コメントを書いた」や「動画内の商品について調べた」など、何らかの視聴後行動をしたのは全体で57.5%となっている。
グループ間で比較すると、「テレビ視聴メイン層」では52.1%と平均より低かった一方、「テレビもネットも層」では61.6%、「ネット視聴メイン層」では66.3%と高く、消費行動に対してアクティブであることがわかった。
動画広告の印象を比較
調査では、テレビ動画広告(=テレビCM)とネット動画広告、それぞれ印象度を聞いている。
自動車や飲料、スマートフォン等のカテゴリにおいては、テレビが強い。一方、ゲームアプリカテゴリでは、ネットの方がスコアが高いという結果となっている。
そのほか、女性向けの化粧品、ゲームソフト、映画、旅行など、スコアが拮抗するものも多くあった。出稿量の影響も考えられるが、ネット動画広告でも印象を獲得できることが読み取れるという。
また、ネット動画広告をどれくらい見るかという設問に対しては、「ネット視聴メイン層」で49.6%、「テレビもネットも層」で46.8%となり、半分近くの人がネット動画広告の内容まで視聴すると回答した。
この結果については、「ネット視聴を謳歌する生活者には、ネット動画広告が寄与することがうかがえる。一方「テレビ視聴メイン層」では24.8%に留まり、ネット視聴が日常化していない生活者はネット動画広告に対しても関心が乏しい状況が伺える」との分析が示されている。
※調査概要
調査手法:インターネット調査
調査目的:テレビ視聴、ネット視聴の時間別に「動画生活行動」と「広告動画接触実態」を把握する。
対象者条件:メディア利用状況により下記で割付
サンプル数・割付:5,000 サンプル
集計:各割付の出現率に応じてウェイトバック集計
実査機関:株式会社マクロミル
実査期間:2019年2月9日~2月15日
<出典元>
hakuhodo.movie 「動画生活者R統合調査2019」を実施 テレビ視聴もネット視聴も長い「テレビもネットも層」は消費意欲が6割と高い傾向
博報堂