2020年を目の前に、たばこに関しては条例などをはじめ様々な話題に事欠かない。そのなかで、日本では従来の紙たばこから加熱式たばこへの切り替えが徐々に進みつつあり、加熱式たばこ市場の盛り上がりを見て取ることができる。
加熱式たばこ市場を牽引するフィリップ モリス ジャパン合同会社(以下PMJ)では、新たに加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」用の新製品である「マールボロ・ヒートスティック・トロピカル・メンソール」「ヒーツ・フロスト・グリーン」「ヒーツ・クール・ジェイド」の3種類を発売した。
それに先駆け、先日都内にて新商品発表会を開催。登壇した同社マーケティング&コミュニケーションズ・ディレクターの坂牧真美氏がIQOSの戦略と新商品の詳細について語った。
有害成分の低減と吸いごたえを両立
まず、IQOSとはどのような製品なのかを改めて説明しておこう。
IQOSは、2019年7月25日現在、世界ユーザー数が1,130万人を突破している加熱式たばこだ。日本においてもカテゴリトップの16.6%を維持しており、加熱式たばこ市場を牽引する存在となっている。
800℃を超える温度で“燃焼”させる従来の紙巻きたばこに対して、IQOSは350℃以下の低温で“加熱”させて使用する。これにより、有害性成分の発生を大幅に低減するとともに、スモークフリーで楽しむことができるのである。
さらに、競合と一線を画すポイントになっているのが、満足感のある「吸いごたえ」だ。「マールボロ・ヒートスティック」においては、厳選された最高級のたばこ葉を採用。加熱式たばこに最適なブレンドを追求し、本来の味わいや香りを存分に堪能できる製品となっている。
日本市場におけるIQOSマーケティングの基本的戦略とは?
マーケティング&コミュニケーションズ・ディレクター 坂牧真美氏
加熱式たばこトップクラスのシェアを誇るIQOSだが、日本でユーザーを拡大するために、具体的にどのような戦略をとっているのだろうか。
坂牧氏によると、PMJのビジョンでもある「煙のない社会」を実現するために、以下の3つの指針を設けているという。
- 「デバイス」面において、ユーザーが求める最良の製品を開発し続けること
- 「たばこスティックのポートフォリオ」面において、多様なニーズに合わせたラインナップを提供すること
- 「カスタマーケア」の面において、継続して様々なサービスとプログラムを提供していくこと
これらを念頭にIQOSに注力し、喫煙者によりよい選択肢を継続的に提案。加熱式たばこ市場におけるリーダーシップを確固たるものとすべく、今後もさまざまな施策を展開していくという。
そして、2019年4月30日には、米国食品医薬品局(FDA)がIQOSのアメリカにおける販売を許可。これは、2017年にフィリップ モリス インターナショナル(PMI)が同局へ申請した販売前申請に対して、総合的な審査が行われ、公衆衛生保護の観点から妥当であると判断した結果である。
米国での販売が開始されることで新規ユーザーの獲得とともに、ニーズの幅も飛躍的に広がり、IQOS製品のさらなる充実化が期待できそうだ。
加熱式への切り替えを促す足掛かりはフレーバー系メンソール
IQOSをはじめとした加熱式たばこの普及が進む一方で、未だに紙巻きたばこから切り替えられていない喫煙者が多いのも事実だ。
坂牧氏によると、紙巻きたばこユーザーのうち、約40%が加熱式への切り替えを希望しているが、そのうち76%が、味わいへの満足度を妥協できないと答えているという。
そこで同社が着目したのが、フレーバー系メンソールだ。
マールボロ・ヒートスティック・トロピカル・メンソール
2017年より順次発売されたマールボロパープル、マールボロイエローメンソールの登場により、フレーバー系メンソール市場が約2倍に拡大したという。今回発売された「マールボロ・ヒートスティック・トロピカル・メンソール」は、それらに次ぐ第3弾となる製品で、ユーザーの嗜好により幅広く対応できるよう、ラインナップの充実化を図ったものだ。
さらに同製品は、加熱式たばこに対して関心はあるものの、「加熱式では紙巻きほどフレーバーへの満足感は得られないのではないか」と感じているユーザーでも満足できるよう、ブレンドにこだわり、さらなる「吸いごたえ」を追求。フルーティで柔らかなアロマとメンソールの絶妙なバランスが味わえる、完成度の高い製品だとしている。
メンソールはヒーツユーザーからの期待度も高い
IQOS独自のシリーズであるヒーツからも、より高いメンソール感を持った2種類が販売チャネルを限定して登場。これらは、ヒーツユーザーからの「メンソール製品を拡充して欲しい」というリクエストにこたえたものだ。
ヒーツ・フロスト・グリーン
「ヒーツ・フロスト・グリーン」は深みのある爽快さ、そして「ヒーツ・クール・ジェイド」は心地よい清涼感をそれぞれ堪能できることを目指した商品となっているようだ。
ヒーツ・クール・ジェイド
この3商品の登場により、IQOS製品は全14種類となった。有害性成分が低減された先進的なデバイスに加え、多彩なラインナップをそろえることで、喫煙者のニーズに対してより幅広いコミットメントが可能になった形だ。
“たばこ”に関してはマナーや受動喫煙など、喫煙者、非喫煙者に関して様々な論点があるのは周知の事実だが、フィリップ モリスでは、今後も喫煙者の動向を迅速にキャッチアップして、紙巻きたばこからの切り替えを促し、「煙のない社会」の実現を目指していくという。
取材・文:志田 智恵