リクルートライフスタイルの外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」は、2019年10月1日から実施される予定の「キャッシュレス・消費者還元事業」についての消費者へのアンケートを実施、2019年8月23日にその結果を発表した。

主なトピックは3つ。

  • 普段の外食時「ポイント重視派」は59.8%
  • 「キャッシュレス・消費者還元事業」の認知率は約8割。還元される支払い方法を「持っていない」「分からない」計が4割超。使えるキャッシュレス手段は「クレジットカード」が86.8%
  • 10月以降、外食をする際にポイントの還元を気にする人が約3分の2。「飲食店に入る直前に/ポイント還元がある店かどうかを確認」する人は3割以上

「ポイント重視派」は59.8%と過半数を占める

普段、外食する飲食店を選ぶ際にポイントがたまることを重視するかについて聞いた。「とても重視する」と「まあ重視する」の合計である「ポイント重視派」は59.8%と過半数を占めた。性年代別では、20代男性が最多で67.6%、次いで30代男性で64.9%と「ポイント重視派」が多かった。逆に60代男性では、「ポイント重視派」が51.0%と、全性年代中最低であった。

圏域別では、関西圏で「ポイント重視派」が56.1%と他の圏域よりも少なく、過去の調査で関西圏は現金支払いが多く、ポイントの振出しなどが多いキャッシュレス支払いが少ないという特徴が見られたが、今回もそれに準ずる結果であった。

「キャッシュレス・消費者還元事業」の認知率は78.3%

10月1日の消費税増税のタイミングから経済産業省が実施する「キャッシュレス・消費者還元事業」について、認知率を聞いた。「内容まで詳しく知っている」人が19.1%、「ポイント還元があることは知っているが、詳しい内容までは知らない」人が59.2%、合計で認知率は78.3%と約8割であった。

実際に消費者にポイントなどを還元するクレジットカード会社など、該当事業に登録している各社から詳細なキャンペーン内容の告知などがまだなされていないケースが多いため、今後10月までに各社から詳細な案内がされるのに従い、「詳しい内容まで知っている」人の率が上昇すると予想される。

性年代別では、普段からポイントを気にする割合が高い20・30代男性で「内容まで詳しく知っている」人が各3割台と多く、逆に女性の20・30代では「ポイント還元があることを知らない」人が各3割台と多かった。

今回の「キャッシュレス・消費者還元事業」では、ポイント等の還元を受けるためには、還元対象となっている飲食店で、還元対象である支払い方法でキャッシュレス決済する必要がある。

キャッシュレス支払い手段のすべてが事業の対象ではないため、分かりづらい面もある。その前提で、現時点でポイント還元を受けられる支払い手段を持っていると思うかについて聞いた。結果、59.1%の人が対象となる支払い手段を「持っていると思う」と回答した。

一方「分からない」が25.1%、「持っていないと思う」が15.9%で、合計で4割を超えた。性年代別には、「持っていると思う」は60代男性が65.9%で最多、次いで50代男性も65.8%とほぼ同程度。逆に、20代女性では「持っていると思う」が50.5%と少なく、30~50代女性では「分からない」が3割以上と多くなっている。

同社では、景気対策としては、制度が使われてこそ政策の意味があるが、10月までにいかに制度の詳細が広報されるかが今後の動向を左右しそうだとみている。


また、現在使えるキャッシュレスの支払い方法を聞いた。1位「クレジットカード」が86.8%、2位「交通系電子マネー」が60.7%、3位「交通系以外の電子マネー」が44.7%で、トップ3を占めた。

20代ではやや「クレジットカード」の普及率が低く、性年代別では20・30代女性や圏域別では首都圏で「交通系電子マネー」の普及率が高い。さらに、40・50代女性で「交通系以外の電子マネー」の普及率が高く、また、20~40代男性と20代女性で「QRコード・バーコード決済」の普及率が高い。これらの支払い方法の全てがポイント還元の対象となるわけではないが、関連各社にとっては、キャッシュレス普及の一大チャンスであることは間違いなく、キャンペーンなどを行うことによって、制度の認知も広がっていくということが今後起こると考えられるとしている。

10月1日以降3人に2人程度がポイン還元を気にする

ポイント還元が始まる10月1日以降に、外食をする際に気にすることについて、「店を決める前に」「飲食店に入る直前」「飲食店に入ってから、または、会計時に」の3つのタイミング別に聞いた。割合で最多は「気にすることはない」で34.1%であった。

ポイント還元が始まっても、特にそれを意識せずに外食する人の数値になるが、一方で、3人に2人程度は、10月1日以降なんらか気にするという意味でもある。

気にする内容は、「店を決める前に/支払い方法ごとの違いを調べる」(32.1%)、「飲食店に入る直前に/自分の支払い方法でポイント還元されるかどうかを確認する」(32.0%)、「飲食店に入る直前に/ポイント還元がある店かどうかを確認する」(31.1%)などが3割超であった。性年代別では、60代男性が「気にすることはない」が45.3%と多い一方、30代女性で「店を決める前/支払い方法ごとの違いを調べる」が40.4%と多い。

また、30代男性は「店を決める前に」調べる傾向が強く、60代女性は「飲食店に入ってから、または、会計時に」確認する傾向が強い。


※調査概要
・調査方法:事前調査で本調査への協力意向が得られたモニターの中から、脱落率を加味して設定した必要数をランダムに抽出し、本
調査の案内メールを通知。
・調査期間:2019年7月1日~2019年7月9日・配信数 13,136 件
・回収数 10,176 件 (回収率 77.5 %)
・有効回答数 10,118 件 (首都圏 5,096 件、 関西圏 2,627 件、 東海圏 2,395 件)
・集計方法について:構成比に合わせてサンプル数を補正したウェイトバック集計を行っている。
 3圏域・計 10,118 件 (首都圏: 5,791 件、 関西圏: 2,781 件、 東海圏: 1,546 件)
※回収された票のうち、自由回答コメントから、趣旨に合わないと判断された票を無効としたほか、事前調査時の普段の外食・中食頻度の回答と、本調査時の1カ月間の外食・中食回数が著しく乖離している場合、事前調査時の住所と、本調査時の住所が、圏域を越えて変わっている場合を無効とした。
・調査対象:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県)、東海圏(愛知
県、岐阜県、三重県)に住む20~69歳の男女(マクロミルの登録モニター)

<参照元>
「10月からの「キャッシュレス決済でポイント還元」の認知率は約8割 還元される支払い手段を「持っていない」「分からない」計が4割超 10月以降「外食店の入店前に還元の有無等を調べる」3割超」
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