帝国データバンクは、女性登用に対する企業の見解について調査を実施し、その結果を発表した。同調査は、TDB景気動向調査2019年7月調査とともに行なったとしている。
同社によると、生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加など、職場における女性の存在感が高まるなか、政府は女性の活躍促進を政策の重要な柱として掲げているという。
女性の労働への参画は、人手不足に対する労働力確保だけでなく、企業における新たな視点の導入や男性の働き方改革としても位置付けられているとのことだ。一方で、女性が労働に参画するうえで、多くの課題がいまだ解決されていないのも実情だという。
主なトピックスは5つ。
- 女性管理職の割合は平均7.7%と前年比0.5ポイント上昇、「30%以上」とする企業は7.1%
- 今後女性管理職の割合が増えると見込んでいる企業は23.6%
- 女性の活用・登用の効果は、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が約7割で突出
- 女性の活躍を促進するために重視する項目は、「妊娠・出産・子育て支援の充実」(60.5%)が6割超でトップ。女性の家庭における負担軽減に関する項目が並部結果に
- 女性の活躍・登用は、企業における新たな視点の導入など企業の成長に不可欠という認識が拡大傾向
女性管理職の割合は前年比0.5ポイント上昇の平均7.7%
女性管理職の割合は平均7.7%と前年比0.5ポイント上昇。
「30%以上」とする企業は7.1%(同0.3ポイント上昇)と緩やかな増加をみせる結果に。
一方、女性管理職がいない企業は46.7%と半数近くにのぼるが、女性管理職の割合は上昇傾向にあったという。
また、女性従業員の割合は平均25.2%で同0.3ポイント上昇、女性役員の割合は平均9.8%で同0.1ポイント上昇していた。
女性管理職の割合が増えると見込んでいる企業は23.6%
今後、女性管理職の割合が増えると見込んでいる企業は23.6%。
また、今後女性役員の割合が増えると見込んでいる企業は7.6%であったという。
女性の活用・登用を進めている企業は50.0%
社内外を問わず女性の活用・登用を進めている企業は50.0%であった。
その効果は、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」(68.0%)が約7割となり、突出して高い結果に。
続いて、「多様な働き方が促進された」(28.4%)、「女性の労働観が変化してきた」(27.5%)が上位となった。
女性の活躍を促進するために重視する上位3項目、女性の家庭における負担軽減に関する項目に
女性の活躍を促進するために重視する上位3項目は、女性の家庭における負担軽減に関する項目が並ぶ結果となった。
「妊娠・出産・子育て支援の充実」(60.5%)が6割超でトップ。次いで、待機児童や保育士不足の解消などの「保育サービスの充実」(59.0%)、育休復帰支援などの「仕事と子育ての両立支援」(58.4%)が続いたという。
女性の活用や登用における認知は拡大するも、新たな課題が明らかに
女性の活用や登用は、人手不足に対する労働力確保だけでなく、企業における新たな視点の導入など企業の成長に不可欠という認識が広がっていることがわかったという。
しかし同社は、女性の活躍には、家庭における負担軽減や職場の働き方の見直しが重要であり、それらの課題解決のためには、政府や行政機関からのより一層の支援が肝要との見解を示した。
※調査概要
調査期間:2019年7月18日~31日
調査対象:全国2万3,650社
有効回答企業数:1万91社(回答率42.7%)
<出典元>
「女性登用に対する企業の意識調査(2019年)」
帝国データバンク