今、ビジネス界で注目されているコーチング。
特に、意思決定の機会が多いマネージャー職の方は、コーチングを活用することでどのような効果を見込めるのか関心がおありではないでしょうか。
今回は、コーチングの意義を感じた私自身の経験を踏まえながら、コーチングがなぜ今必要とされているのかについてお伝えします。
- 管大輔
- 株式会社ガイアックス 本部長/ZaPASS JAPAN株式会社 Co-Founder COO
株式会社ガイアックスの中核事業であるSNSのコンサルティング、及び運用チームを率いる事業部長に同社最年少で就任。クラウドソーシングの活用、リモートワークの推進など働き方の多様化を積極的に進めた結果、就任当時約40%だった離職率は0%、売上は5倍にまで伸長。今年から本部長も兼任。複業ではZaPASS Japan株式会社を2019年2月に創業。コーチマッチング事業、コーチ養成講座事業を展開中。コーチング型マネジメントの普及に注力している。
生き方の選択肢が増えた時代だからこそコーチングが必要
近年、複業解禁やリモートワーク推奨によって働き方の自由化が進んでいます。働き方改革が進み、自由になればなるほど選択肢は増えていく中で、意思決定の機会も増えています。
どのように働き、どのように生きていくのか。このような「自分だけが答えを持っている問い」に向き合うのは難しいこと。自分一人で考えて納得のいく決断をするのはとても難易度が高く、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで、今注目されているのが「コーチング」です。コーチと話すことで自らの思考を整理し、自分で考えきれていなかった盲点を指摘してもらうことで、さらに考えを深めていけます。対話を通して自分と向き合い、腹落ちした状態で決断を下すことができるのが、コーチングの効果なのです。特に最近では、意思決定の機会が多い経営者や事業責任者の間で、コーチングを受ける人が増えています。
私自身も、これまでの大きな意思決定の際には必ずコーチングを受けて内省してから決断し、行動を起こしてきました。また、自分自身のメンテナンスの場として、現在も継続的にコーチングを受けています。
コーチングによって視点が変わった経験
私がコーチングの力を実感したのは、複業へのコミット度合いを高めるためにコーチングを受けた時です。
2018年から複業としてコーチング事業を始めているのですが、私はNo.2としてリーダーと共に事業を推進しています。2人とも本業ではマネージャー職についていることもあり、忙しい日々の中で複業に時間を割いていました。
お互いの状況はわかっているつもりでしたが、当時、私の方が複業に時間を割く余裕があったこともあり、相手はコミットしていないように見えてしまって。「リーダーだからもっと頑張ってほしい」という気持ちを抱きつつ、それを相手に伝えることができずにいました。
コーチングを受けたのはそんな状況にいた時です。コーチに問いを投げかけられ、異なる視点から現状を見つめて……。その時、状況は全く同じなのに、見え方がガラッと変わる瞬間がありました。コーチングによって自らの先入観がなくなり、視点が変化したのです。
相手の気持ちを考えてみると、頑張りたいのに時間を割けず、事業に貢献できないのはとてもつらいだろうなと気づくことができました。コーチングによって相手の痛みを感じられた瞬間でした。
そして最もつらいのは、相手が自分の想いを信じてくれないこと、自分が悩んでいる時に誰も助けてくれないことだと思いました。以来本業・プライベートも含めて悩みや思っていることを率直に共有しようとメンバーに伝え、ミーティングでは必ずチェックインをするようにしています。周りのメンバーに忙しいことを打ち明けられない状況から抜け出して、弱音を話せる環境づくりに意識が向くようになりました。
コーチングだから納得度の高い決断ができる
コーチは、自分の存在を100%認めてくれます。自分の話を全身全霊で受け止めてくれる人がいるから安心して話せるのです。その結果、コーチとの対話の中で内省を深めていくことができ、より納得度が高い選択をできています。
これがアドバイザーやコンサルの方だと、アドバイスをもらっても、(そのアドバイスの正しさが頭では理解できても)自分の中では納得感が低いこともありますよね。
そんなときこそ、コーチングによって多面的に事象を捉えながら内省を深めた上で、自分自身で意思決定していくことが重要です。納得感は、物事をすすめるための熱量になる。逆に正しくても納得感がなければ、足が止まってしまうこともある。一つひとつの決断を、より納得度の高いものにするために、コーチングが必要とされていると感じています。
とはいえ、意思決定のタイミングだけで活用すればいいわけではない
この話だけを取り出すと、コーチングは自分の中で迷いや悩みが生まれた時に受ければいいものと思われるかもしれません。しかし、本来は一回きりで終わるようなものではなく、継続して受けていくものです。
コーチングの基本は「目標達成」です。定期的なコーチングは、自分が取り組んでいることの意義を見失わずに、納得感を持って進んでいくための調整をするような機能があると考えています。
次の記事では、ビジネスパーソンにとって重要な「目標の設定力」と「達成するための実現力」を継続的なコーチングの活用によっていかに高めていくか、について紹介します。