アクセンチュアは世界10カ国のさまざまな業界の大手および準大手企業の幹部約1,800人を対象として、5G記述に関する意識調査を実施し、その結果を公開した。
調査では、日本をはじめ世界の経営層の大半は、5G関連技術が企業間の競争において重要な意味を持つと認識を示す反面、5Gがもたらす可能性には漠然とした期待を抱いていることが分かったという。
この調査の主なトピックは以下の4つとなる
- 5Gについてなにを知らないかもわからないと答えた経営者は、グローバル全体で60%に及ぶ
- 経営者の72%が、5Gの可能性や有効な実例を見極めるのに支援が必要と回答
- 5G導入の主な障壁は「先行投資」「セキュリティ」「従業員の理解」
- 5Gについての理解は、業界によってばらつきがみられる
「5Gについてなにを知らないかもわからない」と答えた経営者。グローバル全体では60%、日本では68%
グローバル全体の経営者の60%が「5Gについてなにを知らないかについてもわからない」との認識を示した。一方、日本で同様の回答をした経営者は68%にのぼり10カ国のなかで最も高い水準となった。
そうした認識の反面、日本をはじめ世界の経営層の大半が、5G関連技術が今後競争上の重要な意味を持つようになる」と答えるなど、5Gがもたらす可能性に漠然とした期待を抱いていることも明らかになった。
またグローバル全体の回答者の60%が「5Gの人口カバー率は2022年までにほぼ100%になる」と考えているほか、70%が「5Gの活用が営業上の競争優位につながる」と確信していることがわかった。
このほか、回答者の約4割が「5Gが通信速度と容量に多大な影響をもたらす」と期待している。
アクセンチュア 通信・メディア・ハイテク本部でネットワーク部門のグローバルリードであるジョージ・ナチ(George Nazi)氏は「5Gは今後、現実の世界で通信環境に大きな変革をもたらし、イノベーションを起こしながら商業的・経済的な発展を遂げる新たな次元を切り開いていくだろう」と指摘。
そのうえで「5Gの活用で、3D映像・拡張現実技術が搭載されたテレビ、自動運転車、スマートシティにおけるインフラといった飛躍的な発展がもたらされ、現時点で想像するのも難しいさまざまな変革の機会がうまれるだろう。
通信事業者は、こうした世界を実現するうえで重要な役割を果たしていくことが期待される」と述べている。
経営者の72%が、5Gがもたらす将来の可能性と有効な実用例を見極めるのに支援が必要と回答
経営者の72%が「5Gがもたらす将来の可能性と有効な実用例を見極めるのに支援が必要」と回答。
また回答者の40%が「企業が5Gへ移行するうえで、通信事業者は主要な提携先の1つ」と認識している一方で、経営層の多くが5G関連技術をどのようにイノベーションに活用できるかといった課題をかかえるなか、「通信事業者は自社の属する業界の課題を十分に理解していない」と不満を述べる経営層がグローバル平均で60%に及んだ。
5G導入に向けた主要な障壁は「先行投資」(36%)、「セキュリティ」(32%)、「従業員の理解」(29%)
5G導入に向けた主要な障壁はなにか聞いたところ、経営者の36%が「先行投資」と回答。「セキュリティ」(32%)、「従業員の理解」(29%)との回答が続いた。
なかでも「セキュリティ」に関しては、経営者の72%が「5Gの活用で事業のセキュリティが向上とする」と期待を示す一方、32%が5Gのセキュリティに懸念を示していた。
アクセンチュア 通信・メディア・ハイテク本部で欧州の通信・メディア部門を統括するアンダーシュ・リンドブラッド氏は、「理解度にはばらつきがあるにもかかわらず、企業の経営層は5Gがもたらす価値に大きな期待を抱いている」と指摘。
そのうえで、「5Gをめぐり現時点ではリスクや不確実性が懸念されているものの、企業は顧客ニーズを理解し、導入への障壁を克服し、パートナー企業との連携を促進できれば、5Gをもたらす潜在価値を引き出すことができるだろう」と述べている。
5Gについての理解、業界によってばらつきがみられる
5Gに対する理解度は、業界によってばらつきがみられるという。たとえばエネルギー業界の過半数(53%)は、「5Gは遠隔地や荒れ地など、従来の通信環境では十分にカバーされなかったエリアもカバーすることにより、業界に革命的な影響をもたらす」と考えている。たいして同じ期待を示した経営者は全体でみると41%にとどまった。
また行政・公共分野は5Gの理解度が最も低く、「5Gの通信速度が4Gの10倍に達する」と認識している経営者は59%で、全体(67%)と比べ低い結果に。さらに「5Gの仕様により業務上のセキュリティが向上する」と回答した行政機関の幹部は66%にとどまり、全体(78%)を下回っていた。
<調査概要>
調査委託先:英ラウドハウス・リサーチ(Loudhouse Research)
調査期間:2018年12月~2019年1月
調査対象:日本、米国、英国、スペイン、ドイツ、フランス、イタリア、シンガポール、アラブ首長国連邦、オーストラリアの12の業種に所属する915人の技術担当幹部および913人の経営層
調査方法:オンライン調査
<出典元>
「アクセンチュア最新調査――日本の経営層の約7割が5Gがもたらすインパクトを理解していないことが判明」
アクセンチュア