部下への抑えられない苛立ち…イライラ感情予防法とは?

TAG:

「最近の新入社員は意識が低い」「何を考えているかわからない」など、若手の後輩や部下のことが理解できず、イライラしたことがある人も少なくないのではないだろうか。

今回は、アンガーマネジメントコンサルタントの安藤俊介氏監修のもと、怒りの感情を上手に抑えるためのメソッドをご紹介する。

価値観の違いは合わせるものじゃなく、共有するもの

一昔前までは、社員一人一人が足並みをそろえて、画一的な価値観のもとで働くことが良しとされてきた。けれども、このような従来の方法はこれからの時代のチームビルディングにおいては難しいものになってきている。

なぜなら、働き方改革の一環としてダイバーシティが進んでいるからだ。価値観の違う人間がいて当たり前の環境が広がる中で、「価値観を合わせる」という考え方は時代に逆行したやり方と言っても過言ではない。安藤氏によると、これからのチームビルディングで重要なことは、「お互いに違うということが受け入れられる」ことだという。

この時に必要になってくるのが、違いを可視化することだ。価値観の多様化が進む社会において、双方の違いの不可視化は、意思疎通を阻み、互いにストレスを抱える要因になってしまうのである。

「まあ許せる」範囲を広げる

では、違いを共有するためにはどうすればいいのだろうか。その方法の一つが、以下のような三重丸をつくることだ。(図参照)

一番中心が「許せる」、その周りが「まあ許せる」、そして一番外側が「許せない」。この三段階で認識の違いを可視化するのである。

例えば、集合時間を10時としたとき、何時何分に来ることが100点だろうか。また、何時何分までが許せるだろうか。

ある人は9時45分までに来るのが100点であり、またある人は9時55分までにくるのが100点だという。また別の角度から見ていくと、待ち合わせの20分前に到着した場合、早く来る分には問題ないという人もいれば、早く来すぎると迷惑と言う人もいる。

このように、双方が”時間を守る”という共通認識は持っていたとしても、人によって許せるものと許せないものには必ずと言っていいほど隔たりがあると、安藤氏は語る。その為、三重丸の共有は、苛立ちを防ぐための有効な手段といえる。

さらに、イライラしにくい習慣を身につけるためには、この三重丸の「まあ許せる」のゾーンを広げていくことがポイントだという。

「15分前に来るのが100点だけれど、5分前でも10時までには到着してるからまあ許せる」という風に、それぞれの価値観を認めすり合わせた上で自分にとっての「まあ許せる」を広げていくことで、怒りの感情を抱えにくくなるのである。

「違う」ことを前提としたルール作り

ここまで述べてきた通り、一人一人の価値観が違うのは当然であり、その異なる価値観を認め合っていくことは大切なことである。ただし一方で、違う価値観を持った人間同士が共に働くとなると、ルール作りを欠いてはならないと、安藤氏は述べる。

例えば、営業系の会社を例に挙げてみよう。
A社では、月曜の朝の営業会議は社員全員出席することが必須とされている。一方で、お客様第一を掲げており、クライアントとの予定は最優先とされている。では、月曜の朝イチでクライアントから呼ばれた場合、果たしてどちらを優先すべきだろうか。

ある上司はクライアントとの予定をリスケしろと言うかもしれないし、またある上司は会議を欠席しろと言うかもしれない。こういう場合、絶対的な正解と言うものはないため、事前にルール化しておかなくては、若手社員は特に困惑してしまうだろう。

多様性が前提の社会において、組織として個々が連携していくためには、会社として守るべきルールや優先順位を決めておくことが重要だ。あらかじめ提示しておくことで、苛立ちを抑え、不必要な衝突やストレスを防ぐことができるのである。

安藤俊介
1971年群馬県生まれ。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会・代表理事、アンガーマネジメントコンサルタント。2003年に渡米し、アンガーマネジメントのノウハウを習得。帰国後は日本における第一人者として、企業や医療・教育機関などで講演や研修等を行っている。また、ナショナルアンガーマネジメント協会ではたった15名しか選ばれていない、最高ランクのトレーニングプロフェッショナルにも、アジア人としてただ一人選ばれている。

取材・文:志田智恵

モバイルバージョンを終了