富士通研究所、ブロックチェーン技術で個人の信用度をスコア化「IDYX」開発

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富士通研究所は、オンライン上の取引に関わるサービス事業者や利用者に対して、取引相手の本人情報の真偽を判断可能なアイデンティティー流通技術「IDYX(IDentitY eXchange)」を開発した。

同社によると、近年デジタル化の進展にともない、顔の見えない相手とオンラインで取引する際に、相手がどのような人物で信用できるのか、判断することが難しくなってきているという。

最近では、経歴や資格などの本人情報を詐称する問題が増えており、信頼できる本人情報の流通を実現することが課題になっているとのことだ。

今回、ブロックチェーンを用いた分散型IDの上に、「IDYX」のユーザーが取引を行なった際に相手に対してお互いに行なう評価と、過去の取引などから個々に構造化されていくユーザー間の関係性を使って、取引相手の本人情報の信用度と詐称リスクを分析する技術を開発。

同技術により、「IDYX」の各ユーザーは、取引前に相手の信用度をスコアやユーザー間の関係性を表したグラフなどから判断することが可能となり、より安全なオンラインサービスを享受することができるという。

「IDYX」概要

「IDYX」とは、ブロックチェーン技術を拡張し、分散型IDの仕組みの上で、実際に取引を行なったユーザーからの評価やこれまでの取引の実態などから、取引相手の信用性を確認可能な形で本人情報を安全に流通させる技術である。

  1. 信用トランザクションデータを生成
  2. 「IDYX」では、取引によって発生するユーザーごとの評価をトランザクションデータ(一連のデータ)として登録。

    ブロックチェーン上で、改竄不能な分散台帳に評価を格納していくことで、各ユーザーに対する信用情報の信頼性を向上させることが可能とのことだ。

  3. 信用関係を分析
  4. ブロックチェーン上に共有された個々の信用トランザクションのデータから、「IDYX」のユーザー間の関係性が分かるようにグラフ構造に変換。

    何人のユーザーから信用されているか、どれくらい信用度の高いユーザーから信用されているか、などで重みづけを行ない、信用度スコアを付けるという。

    ユーザーが自分の本人情報を保証する第三者との間で不正に評価を上げていた場合でも、グラフ構造の関係性から他のユーザーとの関係性が希薄であることなどがわかり、詐称の可能性の特定が可能。

  5. 必要な本人情報のみを開示
  6. ユーザーは一部の本人情報の開示だけで、それらの真偽を証明することができ、取引を行なうことが可能。取引相手にとっても不必要な個人情報などを取得せずに済み、安全かつ高信頼な取引を加速することができるとしている。

<効果>

同技術により、各ユーザーの信用関係が分析され、取引相手となるユーザーの信用度を事前に把握することが可能に。

「IDYX」を用いることで、さまざまなデジタルビジネスのシーンで、企業や個人などの取引相手に対して信用できる本人情報を簡単に確認できるようになり、オンライン上で誰もが安心・安全に取引を行なうことができる業種・業界横断のデジタルエコシステムの構築を実現。

同社は、「IDYX」をデジタルビジネスを支えるアイデンティティーの信用基盤サービスとして発展させ、金融をはじめ様々な分野で実証を進めていくとのことだ。

さらに、ブロックチェーン技術を活用したデータ活用のためのクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX データ流通・利活用サービス」の新機能として2019年度中の実装を目指すとしている。

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