CBREは2019年7月2日、特別レポート「開花するポップアップストア~新しいリテールスタイル~」を発表した。
このレポートは、東京の主要リテールエリア(銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷)を対象に、路面店舗スペースに出店したポップアップストアについて実施した調査結果に基づくもの。
2015年と2018年の出店事例を比較することでポップアップストアの実態や傾向を分析するとともに、今後のポテンシャルや展開について考察している。
主なトピックは4つ。
- 2018年には380件と2015年に比べ34%増加
- 期間は「1週間以上-2週間未満」
- エリアは「原宿」と「表参道」に集中
- 業態は「ファッション」と「食物販・飲食店」
路面店舗スペースを利用した出店形態が増加
東京の主要リテールエリアでは、ポップアップストアと呼ばれる期間限定店舗の出店が増えている。従来からの百貨店やショッピングセンターに加えて、路面店舗スペースを利用した出店形態が増えた。
東京の主要リテールエリアに出店したポップアップストア数を2015年と2018年で比較してみると、2015年はポップアップストア全体で284件の出店数が、2018年には380件と34%増えている。
なかでも特に、路面店舗スペースに出店したポップアップストアの数は、2015年の77件から2018年には110件と43%増える結果となった。
路面店舗でのポップアップストアの出店が増えている理由として、企業がブランドや商品のプロモーションのためにポップアップストアを使うようになったことが挙げられ、その背景として、スマートフォンの普及と、それによるソーシャルメディアの拡大がある。
情報が一気に拡散する環境が整ったことで、ポップアップストアを使った企業プロモーションが盛んになり、特に路面店舗は、ブランドの世界観が表現しやすいと言われており、百貨店やショッピングセンターに比べてコンテンツ作りの自由度が高いと考えられているという。
そのため、高いプロモーション効果を期待する企業が多く、路面店舗スペースを利用したポップアップの出店の増加に繋がったとのことだ。
路面店舗のポップアップストア出店期間のボリュームゾーンは、2015年と2018年ともに「1週間以上-2週間未満」(2015年:35% 2018年:31%)という結果になった。「1週間未満」を含めると50%を超えている。
短い期間の出店のメリットとして、2つのことが挙げられる。1つ目は、限られた時間のなかで提供される特別な体験という意識を消費者に持たせやすく、期間中の来場を促進できること。2つ目は、出店コストを抑えることができるため、比較的小規模な企業も出店しやすくなることである。
ミレニアル世代に人気のある「原宿」と「表参道」に集積
路面店舗のポップアップストア出店エリアとしてのボリュームゾーンをみると、2015年は「原宿」(38%)、そして「表参道」(29%)が続いており、両エリアで67%を占めた。「原宿」と「表参道」にポップストアが集積する大きな理由は、ミレニアル世代に人気があり、彼らが好んで訪れるエリアであるためだという。
多くの企業がミレニアル世代をターゲットとしたプロモーションを展開している。
路面店舗のポップアップストア出店を業態別の割合でみると、2015年、2018年ともにボリュームゾーンは「ファッション」(それぞれ41%と35%)と「食物販・飲食店」(それぞれ34%と31%)になった。
「ファッション」の内訳をみると、アパレルをメインに扱うブランドが、他のファッションブランドとのコラボレーション商品を企画し、限定販売しているケースが多いことがわかった。
路面店舗スペースのポップアップストアは、今後も増加傾向が続くと考えられると同社は推測している。
主な理由として、次世代の無線通信システム、5G*が2019年からはじまることが挙げられる。5Gの導入によって、大容量の映像配信やVRと呼ばれる仮想現実を使ったポップアップストアの企画・運営が可能となる。
また、プロモーションの方法や実施の幅が広がることで、出店需要のみならず、出店エリアが拡大することも考えられるからだと同社は述べている。
<調査概要>
東京の主要リテールエリア(銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷)を対象に、路面店舗スペースに出店したポップアップストアについて実施した調査結果に基づく。
2015年と2018年の出店事例を比較することでポップアップストアの実態や傾向を分析するとともに、今後のポテンシャルや展開について考察。
調査期間:2019年3月20日~4月8日。
<出典元>
「CBREが「開花するポップアップストア~新しいリテールスタイル~」を発表路面店舗スペースを利用したポップアップの出店が3年間で43%増加出店需要や出店エリアは今後も拡大する見込み」
CBRE