NTTコミュニケーションズ(以下 NTT Com)は、第五世代移動通信システム(以下 5G)で、放送コンテンツのIP伝送規格であるSMPTE※1 ST 2110規格※2による音声および時刻データを伝送する実験に世界で初めて※3成功したことを発表した。
実験概要
カメラおよびマイクから取得した音声情報を圧縮処理することなくSDIからST 2110規格IPデータに変換※4し、GMC※5を通じて取得した正確な時刻情報と組み合わせて、「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」※6の5G環境を活用した伝送実験を実施。
人手を介さず時刻同期が可能なSMPTE ST 2110規格のデータを5Gで伝送する試みは世界で初めてだという。
専門機材やケーブルが柔軟に設置しにくい災害現場やスポーツ会場における4K/8Kの無線中継などの実現に向けた第一歩となるとしている。
今後、同社は、今回の実験で得られた成果をさらに高度化させるため5G環境における映像伝送の検証を行い、関係事業者や放送機材メーカーとも共同で実用化に向けた検証を続けていくと述べている。
※1:SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)とは、米国映画テレビ技術者協会、および、この協会が定めた標準規格。
※2:ST 2110規格とは、SMPTEが定める規格で、同期を維持しながらオーディオ、ビデオおよび補助データを含むストリームを分割し、それぞれが別々にルーティングされ、エンドポイントで再び集約することを可能とする特長がある。
※3:同社調べ。
※4:IP変換装置にはembrionixのEB22HDRT-LM-0514を、SDI変換装置にはembrionixのEB22HDRT-LM-0516を使用。
※5:GMC(Grandmaster Clock)とは、PTP(Precision Time Protocol)による高精度時刻同期を行う際の、基準時刻の提供元。時刻情報の生成については、セイコーソリューションズ株式会社の協力を得て実施。
※6:NTTドコモが様々なパートナー企業・団体に対し、5Gの技術や仕様に関する情報や、5G技術の検証環境「ドコモ5Gオープンラボ」の提供を行うプログラム。