2035年には新車の9割近くを「コネクテッドカー」が占める

富士経済は、コネクテッドカーの世界市場を調査し、2019年7月2日その結果を発表した。

コネクテッドカー市場においては、近年、テレマティクスサービスのさらなる進展、IVI(車載インフォテインメントシステム)やセンサーなどの車載機器や通信モジュールの搭載増加、シェアリングビジネスの急成長、大手メーカーによる自動運転車への取り組みの本格化など、さまざまな観点から注目されているという。

この調査では、コネクテッドカー(乗用車・商用車)のエリア別市場に加えて、コネクティビティサービス8品目、コネクティビティ機器・システム9品目、コネクティビティデバイス3品目、自動運転関連機器・技術5品目、シェアリング関連ビジネス3品目の現状を調査し、将来を予想した。

また、主要自動車メーカーやサプライヤーのコネクテッドカー戦略についても整理した。

主なトピックは3つ。

2035年には新車の9割近くを占める

IVIやカーナビゲーションなどの車載情報端末を搭載したコネクテッドカー市場は堅調に拡大し、2020年に3,435万台、2035年には1億250万台へ拡大するとみられる。

新車販売台数に占めるコネクテッドカーの割合は2018年に3割をようやく超えるが、2022年には5割弱、2035年には9割近くを占めると予想されている。

市場拡大をけん引するのはIVI搭載のコネクテッドカー。IVIは車載通信機を用いるエンベデッド型と、スマートフォンなどを使用して接続するモバイル連携型に大別されるが、特に常時接続可能なエンベデッド型が大きく伸びるとのことだ。

エンベデッド型はこれまで高級車などを中心に搭載されてきたが、今後は大衆車クラスへの広がりが期待される。

エリア別にみると、現状は北米や欧州が、市場拡大をけん引している。これらの地域では自動車メーカーがテレマティクスに注力しており、今後もエンベデッド型IVIを軸に堅調な需要が期待される。

中国は、今後も新車販売台数の増加に比例して大幅な伸びが予想され、2022年には世界最大の需要地になるとみられるという。

IVIやディスプレイオーディオをベースとするコネクテッドカーの需要が増え、IVIではモバイル連携型が大きく伸びると予想されている。

日本は、通信型カーナビゲーションを中心に当面は伸びるとみられる。しかし、長期的には新車販売台数が減少するため、コネクテッドカー市場は2020年代前半のピークアウトが予想されている。

その他の国・地域では、韓国やオーストラリアなどでコネクテッドカーの需要が増加しており、今後は、中東や東南アジアなども伸びが期待される。これらのエリアでは、モバイル連携型IVIやディスプレイオーディオをベースとするコネクテッドカーの需要が増加する予想されているとのことだ。

緊急通報システムの今後の大幅な市場拡大が予想

運転中の事故や車両トラブル、急病時などに衛星測位システムや通信ネットワークを利用して、車両の位置情報などを救援機関に自動通報するシステムを対象とする。市場はこのシステムに対応した車載デバイスの出荷金額で捉えた。緊急通報システムの導入義務化は世界的な潮流であり、今後の大幅な市場拡大が予想されるという。

緊急通報に対応した車載デバイスは、専用端末型とIVIシステムと連携するテレマティクスユニット(TCU)への内蔵型に大別され、TCUの搭載率上昇や通信モジュールの標準搭載化にともない、今後は内蔵型が主流になるとみられるとしている。

今後は対応する車載デバイスの低価格化により、日本など地理的に緊急通報の必要性が低いとされているエリアでも標準搭載が進むとみられるとのことだ。


<調査概要>
期間:2018年11月~2019年2月
方法:富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用
対象:下図


<出典元>
富士経済、コネクテッドカーの世界市場調査結果を発表
富士経済

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