2019年6月18日、インプレス総合研究所が「動画配信ビジネス調査報告書2019」の内容について発表した。

“有料動画の利用率および映像・動画全体の視聴状況”、“有料動画利用者の利用状況”、”無料動画、LIVE動画/LIVE配信利用者の利用状況”について調べている。

主なトピックスは次の7点。

  • 有料動画配信サービスの利用率が、2.2ポイント増の17.2%に
  • “映像・動画全体の視聴状況”では、DVD視聴が減少、有料動画配信サービスやSNS上の動画視聴が増加
  • “有料動画利用者の利用状況”では、Amazonプライム・ビデオが、他サービスとの差を大きく広げる
  • 有料動画の満足度はNetflixが92.0%でトップ、Huluが84.9%で続く
  • 有料動画利用者の半数以上が、マルチデバイスで視聴
  • 無料動画では、動画共有やSNSの動画が上位、GYAO!、AbemaTV、TVerがつづく
  • LIVE動画は、YouTube Live、ニコニコ生放送、LINE LIVEの順

有料動画配信サービスの利用率の推移

有料動画配信サービスの利用率の推移

調査によると、有料動画配信サービスの利用率は17.2%。昨年から2.2ポイント増加した。

利用率・利用経験者の比率が伸びた要因として以下の3点を挙げている。

  • 各サービスで、TVCMなどのプロモーションが引き続き強化されていること
  • 話題となるオリジナルコンテンツが、相次いで配信されていること
  • TVerに代表される見逃し配信の浸透による、動画配信サービスそのものの認知度の向上

動画全体の視聴状況では、DVD視聴が減少。有料動画配信サービスやSNS上の動画視聴が増加

よく視聴する映像・動画の種類(複数回答)

動画全体の視聴状況をみると、“よく視聴する映像・動画の種類”では「リアルタイムのTV番組」が68.3%でもっとも高い。「録画したTV番組」が55.1%でつづき、放送によるTV番組がTOP2を占めている。

以下、「動画共有サービス」(37.6%)、「無料の動画配信サービス」(25.8%)とつづく結果となった。

昨年調査時点と比較すると、TV番組の比率が微減した。一方、「有料の動画配信サービス」が2.9ポイント、「SNS上の動画」が2.1ポイント増加している。

レンタル、購入問わずDVDやブルーレイをよく視聴する比率は低下した。

よく視聴する映像・動画の種類(複数回答)

性年代別にみると、男性10代では「動画共有サービス」が63.0%でもっとも高い。「リアルタイムのTVが番組」や「録画したTV番組」を上回っている。

男性20代でも「動画共有サービス」が56.4%と高い。「リアルタイムのTV番組」に次いで2位となった。

女性10代では、「リアルタイムのTV番組」「録画したテレビ番組」「動画共有サービス」が60%前後でほぼ並ぶ結果となっている。

「SNS上の動画」は女性10代で52.0%と、ほかの年代より突出して高い。女性20代でも36.0%、男性10代でも33.6%と高い比率だ。

「LIVE動画/LIVE配信」についても男女10代で20%超の比率となっている。

有料動画配信サービスでは、Amazonプライム・ビデオが他サービスとの差を大きく広げる

利用している有料の動画配信サービスTOP10(複数回答)

調査では、3か月以内に有料の動画配信サービスを利用したと回答した人に、”利用している有料の動画配信サービス”をたずねている。

結果、トップは「Amazonプライム・ビデオ」が62.7%。昨年から9.1ポイント増加した。2位には「Hulu」の14.7%、3位は「Netflix」の10.5%がつづく。

「Amazonプライム・ビデオ」の利用率が大きく増加したことにより、ほかのサービスを大きく引き離す状況だ。

有料動画配信サービスの満足度はNetflixが92.0%でトップ、Huluが84.9%で続く

主に利用している有料の動画配信サービスのサービス全体に対する満足度

もっともよく利用する動画配信サービスについて、”サービス全体に対する満足度”を5段階評価で聞いた。

「満足している」「まあ満足している」「どちらとも言えない」「やや不満」「不満」の5段階で調査し、「満足している」「まあ満足している」を合計している。

満足度はNetflixが92.0%でトップ。2位にはHuluの84.9%が入った。利用率のもっとも高いAmazonプライム・ビデオは、83.0%で3位となった。

有料動画配信サービス利用者の半数以上が、マルチデバイスで視聴

有料の動画配信サービスの視聴環境

調査では、有料動画配信サービスの視聴環境をパソコン、モバイル(タブレットとスマートフォン)、テレビの3つに集約して集計している。

もっとも比率が高いのは「モバイルとパソコン」の20.4%となった。以下、「モバイル」の18.0%、「パソコン」の17.9%とつづく。

過去の調査と比較すると、「パソコン」や「テレビ」のみで視聴するユーザーの比率は低下した。その一方で、「モバイルとテレビ」や「モバイルとパソコンとテレビ」などマルチデバイスで視聴するユーザーが増える傾向がつづいている。

無料動画では、動画共有やSNSの動画が上位。GYAO!、AbemaTV、TVerがつづく

よく利用する無料の動画(複数回答)Top10

無料動画の利用状況として、「動画共有サービス」・「無料の動画配信サービス」・「SNSの動画」をよく視聴すると回答したユーザーに対し、利用しているサービス名を聞いた。

「YouTube」が97.0%で突出する結果となっている。2位・3位とつづいたのは、SNSの「Twitter」・「LINE」。

以下、動画共有サービスの「ニコニコ動画」、SNSの「Instagram」、無料の動画配信サービスである「GYAO!」「AbemaTV」「TVer」とつづく。

LIVE動画は、YouTube Live、ニコニコ生放送、LINE LIVEの順

よく利用するLIVE動画LIVE配信サービス(複数回答)Top10

LIVE動画/LIVE配信サービスをよく利用するユーザーに対し、“利用しているサービス名”を質問した。

結果、もっとも利用されているのは「YouTube Live」で73.0%だった。以下、「ニコニコ生放送」が46.9%、「LINE LIVE」が27.9%、「Instagram Stories」が24.3%、「ツイキャス」が22.6%とつづく。

動画共有サービスのLIVE配信サービスが上位となり、SNSのLIVE配信がそれにつづくという結果となった。


※調査概要
■有料動画利用率及び映像・動画全体の視聴状況調査
調査対象 :NTTコム リサーチの保有する消費者モニター
有効回答数 :22,710サンプル
サンプリング :性年齢階層別インターネット利用人口構成比(総務省 通信利用動向調査)に可能な限り整合するように抽出
調査手法 :PC上でのウェブアンケート
調査期間 :2019年5月10日~15日


■有料動画利用者の利用状況調査
調査対象 :有料動画利用率及び映像・動画全体の視聴状況調査で有料の動画配信サービスを利用していると回答した人を対象に、利用率調査で得られた性年代別有料動画配信サービス利用者構成にできるだけ整合するように抽出
有効回答数 :1,160サンプル
調査手法 :PC上でのウェブアンケート
調査期間 :2019年5月16日~21日


■無料動画、LIVE動画/LIVE配信利用者の利用状況調査
調査対象 :有料動画利用率及び映像・動画全体の視聴状況調査で得られた性年代別利用者構成に整合するように抽出
有効回答数:無料動画利用者568、LIVE動画/LIVE配信利用者226
調査手法 :PC上でのウェブアンケート
調査期間 :2019年5月16日~21日

<出典元>
「動画配信ビジネス調査報告書2019」
インプレス総合研究所