「パソナ総合研究所」は、現在就業中の女性を対象として『女性活躍推進に関する意識調査』(※)を実施。その結果を公開した。主な調査結果は以下のとおりだった。

  • 理想と現実のギャップが一番大きい年代は30代~40代
  • 理想の働き方。トップは「結婚・子育てとの両立」、2位は「一般職として働く」
  • 理想と現実のギャップをもたらす原因のトップは「収入・待遇が希望と異なる」
  • 働くうえで直面している問題。20代を含め「老後の金銭的不安」がトップに
  • 会社に求めるもの。20代では「休暇の取得」、30代以降は「仕事のやりがい」が多い
  • 管理職への意向。正社員総合職においても20~40代で「なりたくない」が約5割
  • 女性管理職を増やすために必要な試み。「公正な評価」と「長時間労働禁止」・最も評価している行政の施策。育児関連の支援(7割超)

理想と現実のギャップが一番大きい年代は30代~40代

働き方について理想と現実のギャップの有無を聞いたところ、「かなりギャップがある」「少しギャップがある」と回答した割合は、20~40代は約5割、50~60代は約4割だった。中でも最も回答率が高かった30~40代について同社では、企業内で中堅層として活躍を期待される反面、子育てにも忙しく家庭でも仕事でも負担がかかっていることが、理想と現実のギャップを生む大きな要因となっていると推察している。

理想の働き方。トップは「結婚・子育てとの両立」、2位は「一般職として働く」

理想の働き方を聞いたところ、「結婚生活や子育てと両立して働く」との回答が最も多く、「一般職として働く」が続き、この2つあわせ全体の約5割となった。この結果について同社では、どの年代でも仕事と家庭の両立が理想であることがみてとれるとしている。また「一般職として働く」との回答が多い理由に関しては、管理職・専門職種は望まないものの、会社員として働き続けたいという意向が強いと推察している。

理想と現実のギャップをもたらす原因のトップは「収入・待遇が希望と異なる」

理想と現実のギャップの原因はなにか聞いたところ、どの年代でも「収入・待遇が希望と異なる」が第1位に。「仕事内容が希望と異なる」が続いた。年代別にみると、「理想と現実のギャップ」が最も大きな30代~40代では、「プライベートの時間が確保しづらかった」がほかの年代より高い割合を示している。

結婚と子育てを両立して働くことができていない点について同社では、仕事も家庭も負担がかかる時期にどちらを優先するか選択をせまられ、仕事をえらべば「プライベートの時間が確保しづらく」なって、家庭をえらべば「収入・待遇が希望と異なる」「仕事内容が希望と異なる」といった状況に陥ることが理由と推察している。あわせて、その結果として結婚・子育てと働くことを両立させるという理想の実現が簡単ではないとの見解を示した。

働くうえで直面している問題。20代を含め「老後の金銭的不安」がトップに

働くうえで直面している問題はなにか聞いたところ、どの年代においても「老後の金銭的不安」が約3割で最も高かった。なかでも20代が約7割(68.1%)で全世代・全項目のなかでトップとなった。そのほかの年代のトップは、20代~40代では「子育て費用の金銭的不安」、50代~60代は「体力や健康面での不安」だった。

同社では、20代において「老後の金銭的不安」が強いのは、若者の将来不安が強く投影されているためではないかと推察している。

会社に求めるもの。20代では「休暇の取得」、30代以降は「仕事のやりがい」が多い

会社に求めるものはなにか聞いたところ、20代は「休日・休暇のとりやすさ」がほかの年代と比較して突出して多く、プライベートを重視する傾向がみられる。30代~60代では「仕事内容の充実」が20代より高くなっている反面、より仕事のやりがい、働きがいを求める傾向が強いと推察している。

管理職への意向。正社員総合職においても20~40代で「なりたくない」が約5割

正社員総合職を対象として、管理職への意向を聞いたところ、「なりたい」との回答は、20代が22.0%、30~40代が23.8%、50~60代が31.2%となり、50~60代が最も多いという結果となった。

次に「なりたくない」と回答したのは、20代で49.4%、30~40代で47.6%、50~60代で28.6%となった。この結果について同社では、20~40代につては、正社員総合職でも管理職への意向が低いことが顕著に表れていると話している。

女性管理職を増やすために必要な試み。「公正な評価」と「長時間労働禁止」

女性管理職を増やすのに必要な取り組みはなにか聞いたところ、30~60代は「能力・実績に基づくより公正な評価」が多数に。一方20代は「長時間労働の禁止」がトップとなり、その差が顕著であった。この結果について同社では、実績・スキルが増えるうえの年代ほど能力や実績に対する公正・適正な評価をより強く求めているのに比べ、20代は長時間労働が管理職登用条件として一定の評価をされている状況の見直しを求めていることが見受けられると話している。

最も評価している行政の施策。育児関連の支援(7割超)

女性の活躍促進のため行政に求めているもののうち、最も評価している施策はなにか聞いた。結果、20代は「産休育休期間の拡大」、30代以降は「待機児童減少への取り組み」がトップに。「女性管理職の増加の奨励」の施策に関しては20代で5.7%、30~40代で10.0%、50~60代で11.2%にとどまった。

※調査概要
調査方法 : インターネットを通じたアンケート方式
調査期間 : 2019年3月6日~13日
調査対象 : 20-69歳の現在就業中の女性
調査地域 : 日本全国、海外在住者
回答者数 : 1,988名