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2019年6月6日、セイコーホールディングスが、「セイコー時間白書2019」をリリースした。
同社では6月10日「時の記念日」にちなんで、2017年から生活者に時間についての意識や、実態を探る調査を実施している。今回で、2017年・2018年に続き第3号となった。
ここで取り上げるトピックスは4つ。
- 働き方改革の副作用か。現代人は、依然として時間に「追われている」
- 時間を効率的に使う“時間マネジメント”にも積極的。オン・オフのメリハリを楽しむ“暮らし方改革”元年に
- 現代人の時間価値はオンタイム4,427円/時間、オフタイム9,632円/時間。女性で、オフタイム伸び率170%と自分時間をより大切にしたい傾向
- もっとも大切にしている時間帯は、仕事から開放される「金曜の夜」と1週間が始まる「月曜の朝」。TOP3は「月曜7時」「金曜22時」「金曜21時」
働き方改革の副作用か。現代人は、依然として時間に「追われている」
わたしたちは、「時間」という存在をどのように感じているのか。調査では、時間の価値について、2017年・2018年における「セイコー時間白書」の結果と比較している。
「時間を意識して行動するか?」という問いに対しては、87.5%が「意識して行動」と答えた。2018年(85.8%)よりややスコアが高い。「時間に追われている」意識も今年の方がやや高い。18年64.3%→19年67.8%、という結果だ。1日24時間については、昨年並みだ。「少ない・足りない」が56.8%と過半数を占めている。
2017年と2018年を比較すると、2018年は時間への縛りがややゆるんだ傾向が見られた。しかし、2019年は2017年レベルに揺り戻しが来ている。調査をおこなったセイコーホールディングスでは、「10連休の超大型GWや有休取得の義務化など、2019年は2018年よりも休みが取りやすい環境になっているにも関わらず、時間に追われる感は相変わらずのようだ」とコメントしている。
時間を効率的に使う“時間マネジメント”にも積極的。オン・オフのメリハリを楽しむ“暮らし方改革”元年に
調査では、「時間に関する具体的な意識や行動」について調べている。「物事を始める前に、おおよその目安の時間を計算して行動」(66.1%)、「何事も効率的に進められるよう工夫」(64.8%) 、「その日どうやって過ごすかを事前にスケジュールを決めて行動」(53.8%)が上位に入った。
昨年から引き続き、時間マネジメントに取り組んでいる様子がうかがえるという。
[図4-2]は今年と昨年で差分が大きいものを示したもの。
「時間が制限された方が頑張れる」(18年44.8%→19年47.7% +2.9pt)、「ひとつの事に集中せずに、複数の事を同時に行なうようにしている」(18年43.8%→19年46.3%+2.5pt)などが上昇しており、限られた時間を、より効果的に活用しようとする意識は、昨年より強くなっている。
しかし一方で、「やることがない時間ができると、つい不安になってしまう」(18年32.6%→19年29.7% −2.9pt)は昨年より低下。これについては、「ぼーっとする時間を楽しむゆとりの萌芽も感じられる。普段の時間をより効率的に使う分、増えた休みは何もしない時間をじっくり堪能する、オンとオフのメリハリのある“暮らし方改革”が始まっているのかもしれない」との分析が示されている。
現代人の時間価値はオンタイム4,427円/時間、オフタイム9,632円/時間
時間に追われつつ、時間を効率的に使う現代人にとって、自分の1時間の価値はいくらになるのか。調査では、「値付け」をしてもらっている。
結果、仕事や家事・勉強をするオンタイムの1時間の価値は[図5-1]のとおり。平均で4,427円/時間。昨年(3,882円/時間)よりも545円高く、伸び率は114.0%となった。
男性のオンタイムの時間価値は5,552円/時間。昨年(4,542円/時間、122.2%)より1,010円も高くなっている。一方女性は、3,303円/時間。昨年(3,222円/時間、102.5%)より高くなってはいるものの、伸びはわずかだった。
プライベートなオフタイムの価値は[図5-2]のとおり。平均で9,632円/時間。昨年(7,226円/時間)よりも2,406円、前年比133.3%と大きく伸長している。
男女の比較では、男性は12,979円/時間と昨年(10,751円/時間、120.7%)から2,228円高くなった。一方、女性は昨年の3,702円/時間から6,285円/時間へと、金額は男性よりも低いものの、伸び率は169.8%と一気に高くなっている。
男性はオン・オフともに伸長しているが、女性はオフタイムの伸び率がすこぶる高い。女性で、より自分の時間を重視していることがうかがえる結果だという。
また、2017年からの3年間の経年変化を見ると、オンタイムもオフタイムも時間価値が年々高くなっている。とくに、オフタイムの伸び率がより高くなるという傾向がみられた。
これについては、「昨今話題の働き方改革により、『仕事』より『プライベート』を重視していきたい人生観が強く現れる結果となった。自分で時間を調整し、メリハリをつけることでプライベートの価値がより向上しているのかもしれない」との見方が示されている。
また、調査では「休むこと」に対する意識も聞いている。結果、「普段の体調管理をしっかりする」(45.4%)、「日々の生活にメリハリをつける」(41.0%)といった意見が上位となった。休みを充実させるために体調を整え、ダラダラ休まずしっかり休むといった、休むことに積極的に取り組む姿勢がうかがえるという。
もっとも大切にしている時間帯は、仕事から開放される「金曜の夜」と1週間が始まる「月曜の朝」
オフタイムを大事にする現代人だが、どの時間をいちばん大切にしているのか。調査では、「1週間の中でもっとも大切にしている時間帯」を選んでもらい、その結果をヒートマップ化している。結果、もっとも大切な時間帯TOP3は、「月曜7時」「金曜22時」「金曜21時」。仕事始めの「月曜7時」がトップとなった。
2019年[図6-3]をみると、もっとも大切にしている時間は、赤(回答者が30人以上)・オレンジの部分(回答者が20~29人)で、「月曜の朝」と「金曜の夜」「土曜の夜」「日曜の夜」という結果となっている。
次いで黄色の部分(回答者が10~19人)は、「土曜の朝から夕方」 「日曜の朝」に多い。昨年[図6-2]の結果と比べると、金曜日の夜と月曜日の朝を重視する傾向がより一層強くなっているという。
調査では、「月曜朝」をもっとも大切な時間と答えた人に、その理由を聞いている。[図6-4]のように「一週間の始まりをしっかりしたいため」 (男性39歳)、「一週間のペースができるから」(女性37歳)など1週間のスタートに対する意気込みが多い。
また、「金曜・土曜夜」を選んだ人は、 [図6-5]のように「仕事が終わってホッとできる時間だから」(女性43歳)、「家族が揃っているから」(男性36歳)などの、癒やしの時間を大切にしたいという気持ちが感じられる結果となった。
※調査概要
■実施時期 2019年4月24日(水)~4月25日(木)
■調査手法 インターネット調査
■調査対象 全国の10代~60代の男女1,200人(男女各600人 各年代別に男女各100人ずつ 10代は15歳以上)
※構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合がある。また、金額は小数点第1位以下を四捨五入している。
<出典元>
「セイコー時間白書2019」
セイコーホールディングス