日本キャッシュレス化協会は2019年5月27日、「JCAキャッシュレス指数2019」を公表した。

これは、BIS(国際決済銀行)、WB(世界銀行)、各国の金融当局などが公表する9つの指数を用いて28カ国のキャッシュレス度を算出したもの。それぞれの指数を用いて架空の「キャッシュレス共和国」の数値が100となるように調整し、数値が高いほどキャッシュレス度が高くなる。

それによると、日本は28カ国中27位とキャッシュレス度が低いことが明らかとなった。

もっとも高いのはケニア。北欧諸国も上位に

もっともキャッシュレス度が高い国はケニアだった。ケニアではM-Pesaなどの電子マネーが普及している。給与を電子マネーなどで受け取る比率などで1位を獲得している。一方でATMが不足しており、現金が十分に行き渡っていないこともスコアを押し上げている。

北欧諸国のスコアも高くなっているが、デビットカードの機能がスマートフォンに搭載されたモバイルペイメントが普及している。スウェーデンのSwishやノルウェーのVippsなど国民の半数以上のユーザーを抱えるキラーアプリがあることも特徴だ。また、現金のGDP比率も極めて低くなっている。

また、アリペイやウィチャットペイが普及する中国、クレジットカードの決済比率の高い韓国も上位に来ている。途上国では現金で給与を受け取っている人の割合が比較的高く、スコアを押し下げている。スマートフォンで電子マネーなどを使っている人々と、デバイスを持っておらずインターネットへのアクセスが困難で現金中心の生活を送っている人々とに二分化されていることもスコアを押し下げている。

日本では、現金のGDP比率の高さやモバイル給与受取率の低さなど多くの項目で低いスコアを記録している。一方で、紙幣の最高額面は国際的に見ても高くない。今後はカードや電子マネーなどのキャッシュレス支払い回数が増えると予想されるため、スコアの改善が見込まれる。

日本のスコアを上げるためには、極端に高い現金のGDP比率を下げることが重要だ。紙幣の切り替えに伴って旧紙幣を法的に無効にすることが有効である。

近年はATMや銀行店舗の削減が進められようとしているが、それに並行して使いやすいキャッシュレス支払い手段を提供することが欠かせない。一般に、ブランドや規格の乱立はキャッシュレス度を低下させる。より多くの人々が安心して簡単に使えるキャッシュレス社会をどのように構築すべきかという視点が欠けたまま、数値目標を立てても意味がないと同社では提言している。