日本労働組合総連合会(連合)は、職場や就職活動におけるハラスメントの実態を把握するため「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」を実施、2019年5月29日にその結果を発表した。
それによると、38%の人が「職場でハラスメントを受けたことがある」ことがわかった。
約38%がハラスメント経験者。精神的攻撃が最多
まず、職場でハラスメントを受けたことがある人の割合を算出すると37.5%だった。職場でハラスメントの被害を受けている人が決して少なくない実態が明らかとなった。
次に、職場でハラスメントを受けたことがある人(375名)が、どのような行為を受けたのかをみると、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」が41.1%で最多だった。仕事上の優位な立場を利用した嫌がらせにより、精神的な苦痛を感じたという人が多いようだ。また、「セクシュアル・ハラスメント」は26.7%だった。
男女別にみると、「暴行・傷害などの身体的な攻撃」(男性17.0%、女性5.0%)や「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求」(男性30.7%、女性21.6%)といった行為では男性のほうが高くなり、「私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害」(男性18.2%、女性26.6%)は女性のほうが高くなった。また、「セクシュアル・ハラスメント」(男性14.2%、女性37.7%)も女性のほうが高く、女性では約4割だった。
また、行為者ごとに各ハラスメントの発生割合を算出したところ、≪上司≫からのハラスメントでは「精神的な攻撃」(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃)がもっとも高く21.7%となり、≪同僚≫からのハラスメントでは「人間関係からの切り離し」(隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し)が19.4%でもっとも高くなった。
また、≪取引先≫からのハラスメントでは「セクシュアル・ハラスメント」が28.1%、≪顧客(消費者)≫からのハラスメントでは「精神的な攻撃」(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃)が23.3%でもっとも高くなりました。
5人に1人の男性が就活でセクハラ経験あり
次に、就職活動を行った人(835名)に、就職活動中にセクシュアル・ハラスメントを受けたことがあるか聞いたところ、「受けたことがある」は10.5%、「受けたことはない」は89.5%だった。
男女・世代別にみると、セクシュアル・ハラスメントを受けたことがある人の割合は20代男性(21.1%)がもっとも高く、5人に1人の割合となった。
次に、就職活動中にセクシュアル・ハラスメントを受けたことがある人(88名)に、その内容を聞いたところ、「性的な冗談やからかい」(39.8%)がもっとも高く、次いで、「性的な事実関係(性体験など)の質問」(23.9%)、「食事やデートへの執拗な誘い」(20.5%)となった。採用面接やOB訪問などにおいて、性的なことを話題にされたというケースが少なくないようだ。
男女別にみると、女性では「性的な冗談やからかい」(36.6%)がもっとも高く、次いで、「食事やデートへの執拗な誘い」(29.3%)、「必要ない身体への接触」(22.0%)となった。個人的な関係を持とうと繰り返し誘ってくる行為や、立場を利用して身体に触れてくる行為によって、就活中の女性が悩まされているという実態が明らかになった。
また、セクシュアル・ハラスメントを受けたことで、どのような生活上の変化があったか聞いたところ、「就職活動のやる気がなくなった」(37.5%)がもっとも高く、「就職活動を短期間休んだ」と「就職活動を長期間休んだ」、「人と会うのが怖くなった」(いずれも13.6%)が続きました。セクシュアル・ハラスメントが就職活動でのモチベーションや就職活動自体の継続意欲に影響を及ぼしていることがわかった。
※本調査は2019年5月時点のもの。
調査は、全国の20歳~59歳の有職男女(自ら起業した者や経営者、自営業者などを除く)1,000名を対象に行われた。調査期間は2019年5月8日~5月9日。暴行・傷害などの身体的な攻撃、脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃、隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求、業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないことなどの過小な要求、私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害、セクシュアル・ハラスメント、その他ハラスメント(その他のいじめ・嫌がらせに該当する行為の8類型に関する職場のハラスメントとともに、就職活動時のセクシュアル・ハラスメントの実態についても調査した。
<参照元>
『連合調べ 「就活中にセクシュアル・ハラスメントを 受けたことがある」20代男性の21%』
日本労働組合総連合会