未だ浸透しない働き方改革。改善実感者はわずか7.5%にすぎず

総合転職エージェントのワークポートは、全国の転職希望者とSNS利用者280人を対象に、【働き方改革開始後の変化】についてアンケート調査を実施、2019年5月29日にその結果を発表した。

それによると、働き方改革開始後、会社の制度やルールの変更を認識している人は約30%であることがわかった。

残業時間の縮小と有給休暇の取得促進が増加

この調査は、働き方改革関連法が施行されてから、人々の働き方は実際にどのように変わり、働き方改革が評価されているのかを調べたもの。

まず、働き方改革開始後、自身の勤める会社の制度やルールに変更があったか聞いたところ、「あった」と答えた人は31.1%だった。そのほか「わからない」とする人が26.1%、「なかった」と答える人が42.9%だった。

実際に行われた制度やルールの変更では、「ノー残業デー制度の運用徹底と独自のプレミアムフライデー制度新設」(30代・男性・システムエンジニア)、「有給休暇取得について、1日休と半日休の他に1時間からの時間休も可能になった」(40代・女性・管理)といった残業時間の縮小と有給休暇の取得促進を目的としたものが多く見られた。

また、対象者に、働き方改革開始後自分の働き方は変わったか質問したところ、「改善された」と回答した人は7.5%で、「変わらない」と答えた人が79.6%、「悪化した」と答えた人が12.9%となった。

改善されたと答えた人からは「総労働時間が削減された」(30代・女性・営業)、「仕事を効率的にするようになった」(20代・女性・システムエンジニア)といった、残業時間の縮小に伴い働く上での意識も良い方に変化したことがうかがえた。

悪化したとする人の意見からは、「仕事が終わらず、たまる一方になった」(30代・男性・企画マーケティング)、「残業時間にカウントされる時間が減り、持ち帰って仕事をすることが多くなった」(40代・女性・システムエンジニア)といった、強制的に残業時間を縮小させる動きがかえって悪影響を及ぼしているようすが見受けられた。

ワークポートでは、残業時間をやみくもに減らすのではなく、残業で補っていた仕事をどのように進めていくのかまで考えて対策を行う必要があると提言している。

約6割が満足していない。半数以上が今後の期待も低い

対象者に現在の働き方改革への満足度を聞いたところ、「とても満足している」(1.1%)と「満足している」(5.0%)を合わせても6.1%となり、「満足していない」(21.8%)と「全く満足していない」(37.9%)を合わせると59.7%になった。

また、今後の期待度を聞いたところ「とても期待している」(5.7%)、「期待している」(17.1%)とする人は合わせて22.8%、「期待していない」(19.3%)、「全く期待していない」(35.0%)とする人は合わせて54.3%となった。半数以上が今後への期待度も低いことがうかがえた。

これらの結果から、ワークポートでは次のように提言している。働き方改革開始から2カ月が経とうとしているのに、実際に制度やルールを変更した会社は少なく、自身の働き方が改善されたという人は、現時点ではまだまだわずかだ。今後企業は従業員の満足度向上のために、働き方を改善するための制度やルールの整備を行っていく必要がある。また、その際は単純に残業時間を減らすのではなく、ひとりあたりの仕事量や進捗管理、これまでの生産性を落とさないための働き方などにも配慮していく必要がある。


※本調査は2019年5月時点のもの。
調査は、同社利用者とSNS利用者280人を対象に行われた。調査期間は2019年4月11日~5月7日。

<参照元>
『<働くみんなのホンネ調査>「働き方改革開始後の変化」について調査を実施』
ワークポート

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