社長自らが夜食を振る舞う。アドウェイズの社内制度が“家族や健康”を大事にする理由

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【アドウェイズの福利厚生】

◯HAPPY RICE-DAY

【制度内容】
社員の配偶者や子どもの誕生日に、5キロのお米を届ける制度。お米とともに、業務中の社員の姿を撮影した写真とメッセージカードも贈られる。日頃、社員を支えている家族に何か貢献できないかという考えで導入された。

◯岡村屋

【制度内容】
週2回程度、社長自らが炊き出しスタイルで夜食を振る舞い、温かい料理を無料で食べられる制度。コンビニや外食ばかりになりがちな若い社員の健康を守りたいという思いから導入された。

お米の配布に温かい夕食。アドウェイズが家族や健康を大事にする理由とは

なぜ、アドウェイズはこのような制度を導入するのだろう?アドウェイズ広報・小俣香織 氏と愛社員課・中西陽香 氏にお話を伺った。

――「HAPPY RICE-DAY」や「岡村屋」が生まれた背景を教えてください。

小俣 氏(以下、敬称略):会社の成長に伴い社員数が増えていくなかで、どうしたら社員に愛社精神や当事者意識を持ってもらえるか?という課題がありました。

入社当時は若かった社員も今では30代になり、家庭を持ったり子どもが生まれたりしています。そんな、ライフステージが変わった社員に、会社としてどういった環境を提供していけば良いのか悩んでいたんです。

そこで、男女関係なく子どものいる社員全員に代表の岡村が面談をして、結婚して子どもがいる社員は働くために何が必要なのかを直接聞いてみました。100人くらいと面談していました。

――100人はすごいですね。どのような意見が出てきましたか?

小俣:中抜けして子どものお迎えに行ければ助かるとか、時短勤務だとか、制度化しなくても実現できそうな意見がたくさん出てきました。それを見て、実は拾えていない社員の思いがたくさんあるんじゃないかと気づいて。

社員に対して、愛社意識や当事者意識を持ってほしいと思っていましたが、その前に、会社が社員を愛する姿勢をみせるべきじゃないかと。そのことがきっかけで、「愛社員課」という課を設立しました。

――愛社員課って初めて聞きました。

小俣:社員を愛する課ができたんです(笑)。今、中西が所属している課ですね。立上げ当時は3人でした。そのなかでいろんな制度だとか、社員に何を提供していくかを考えて、HAPPY RICE-DAYや岡村屋を始めることになったんです。

――制度を作る際に重視した点は。

小俣:「社員にとって働きやすい環境とは?」「長く働いてもらうには」という事を考えています。そのためには、健康を守る、家族を大事にする、仲間意識を強く持つ、という3つが重要なんじゃないかと。そこで、この3つのテーマに当てはまり、必要なことがあれば制度化していっています。

HAPPY RICE-DAYは社員を支えてくれているご家族への感謝として、岡村屋はコンビニ弁当になりがちな若い社員の健康を守ろうという思いで導入を決めました。

色々と制度化をしていますが、本質的には、社員に成長機会を与え、市場価値の高い人材になってもらえる事が本当の愛だと考えています。

――制度を導入して、どのような反応がありましたか。

中西氏(以下、敬称略):HAPPY RICE-DAYは、お米と一緒に社員の仕事中の写真も届けているので、配偶者の方から、働いている姿や職場環境など、普段見る機会のない姿が見ることが嬉しいというメッセージをいただきました。

また、岡村屋は毎回50食は用意しているのですが、いつも完売です。弊社は新卒採用を積極的にしているので、若い社員が多くて、仕事が忙しいと食事に手を抜く人も多いんです。だから、若い社員にはとても喜ばれています。

配る時間の前に告知をするんですが、毎回ズラリと列ができて、あっという間になくなってしまいます(笑)。

金儲けより人儲け。会社とは“社員に成長機会を与える場”であるべき

――どうしてこのような福利厚生を導入しているのでしょうか。

小俣:決してユニークなこと、奇をてらったことをしようとは考えていません。弊社の経営理念に「人儲け」というものがあるのですが、社員が成長し、市場価値の高い人物になってもらいたいという想いで、必要な制度を導入しています。

代表の岡村がよく口にする言葉に、「社員には常に最先端のことをやってもらい、もし転職して次の職場に行ったとしても、さすがアドウェイズの社員だと言われるような、食いっぱぐれない人になってほしい」というものがあります。私たちも、そんな人材を育てたいという想いを実現するために、制度や働き方の見直しに取り組んでいます。

――離職率が減ったなど、効果は出ていますか。

中西:福利厚生が要因となって、離職率が減ったかまではわかりません。ですが、こういった機会を作ることで、より会社を好きになって、会社で力を付けようと考えてもらえるきっかけになったら良いなと思います。

社員のライフスタイルに合わせて働ける職場にすることで、何か問題があった場合でも、仕事を辞めなくても良い環境にしていきたい。そして、より仕事に打ち込める環境で、成長機会を逃さずに市場価値の高い人材になってもらいたいと考えています。

福利厚生があることで家族や友人に誇れる会社に

実際、社員は福利厚生についてどのように思っているのだろうか。社内でHAPPY RICE-DAYを利用しているという入社10年目の美馬氏と、岡村屋を利用しているという入社2年目の岡沢氏にお話を伺った。

――まず、HAPPY RICE-DAYからお話を伺いたいと思います。実際に利用してよかったなと思うことはありましたか。

美馬 氏(以下、敬称略):私は3人家族なので、年に2回、旦那と子どもの誕生日にHAPPY RICE-DAYが贈られます。先日、旦那の誕生日だったんですが、たまたま誕生日プレゼントを用意し忘れていて。そこにちょうどHAPPY RICE-DAYが届いて、旦那が私にありがとうって言ってくれたんです! ミスをフォローしてもらえて感謝しました(笑)。

さらに、HAPPY RICE-DAYってピンクにラッピングされたとてもかわいい包装で届くんです。それを見てうちの子が「わぁ、かわいい!」って。旦那もそれにつられて会話が弾んでいて、ほっこりしました。同時に、誇らしい気持ちにもなりましたね。

HAPPY RICE-DAYが贈られたことで、旦那が会社に良いイメージを持ってくれる機会にもなりました。これって私にとってはすごくプラスなことなんです。「もうちょっと仕事頑張ろうよ」って言ってもらえるきっかけにもなりますし。

一瞬の出来事ではありますが、そんな雰囲気を作れたことは、HAPPY RICE-DAYを届けてもらえたからこそだなと思っています。

――HAPPY RICE-DAYには写真も一緒に贈られるということですが。


※実際にHAPPY RICE-DAYとともに届けれられた写真

美馬:写真があるとデスク周りの雰囲気も写るので、こんな会社で働いているんだなって見せることができます。旦那さんが会社に来る機会はほぼ無いので、そういった意味で、安心につながっているのかなと思います。

――届くものが「お米」というのは、どう思いますか。

美馬:5キロのお米って、我が家ではひと月で食べきっちゃう量なんです。でも、小さな子どもがいるなかで、スーパーでお米を買って、持って帰ってくるって本当に大変なんですよね。だから、お米を買わなくて良い月が、私の場合一年に2回はあるって思うと最高です。お米が届くことには感謝しています。

――聞けば聞くほど、素敵な制度で羨ましいです。では次に、岡村屋について、岡沢さんにどう感じているかお伺いしたいと思います。

岡沢 氏(以下、敬称略):無料で、栄養のあるおいしいご飯が食べられるってことは、やっぱり嬉しいです。僕の場合、社会人になって初めての一人暮らしなので、始めのうちは自炊も頑張ろうとしていましたが、だんだん気力がなくなってコンビニ弁当ばかりになって……。

だから、温かいご飯が無料で食べられるこの制度にはとても感謝しています。僕の健康は岡村屋で成り立っていますね(笑)。

夜食を振る舞う代表 岡村氏

――限定50食で受け取れない人も出てくるとお聞きしましたが。

岡沢:僕の場合は受け取り率100%です(笑)。周りの同期も基本的に利用していますね。食べる時はリフレッシュスペースにみんな集まるのですが、業務中は同期と話す機会があまりないので、貴重な時間になっています。

社員は家族。ユニークな制度でよりアットホームな職場へ

――ユニークな制度があることをどう思いますか。

美馬:アドウェイズらしいなって思います。ほかの会社では聞いたことがない制度ばかりなので、差別化できますし。「どんな会社なの?」と聞かれたときに、事業内容だけじゃなくて制度についても言えるのは、嬉しいし、誇らしいなと感じます。

岡沢:僕の場合は、福利厚生が面白いことと、面接の雰囲気が決め手で入社したんです。だから、福利厚生を楽しんでいます。それに、岡村屋含め、すごい支えてもらっているなって感じることが多くて。そういったことに重点を置いている企業なんだなって思いますね。

――社員の健康まで見てくれるなど、プライベート側のサポートまで手厚いのは珍しいですよね。どうしてそういった点に着目したのでしょうか。

小俣:男性が多い企業なので、厳しく接したり、背中を見せて導いたりするお父さん的な立ち位置の人は非常に多いんです。そうなったときに、「あれ、お母さんいなくない?」と気が付いて。じゃあ、女性だけの愛社員課を作ろうよって設立した部分もあるんです。だから、料理とか健康とか、お母さん的な愛を制度化して社員に提供したいと思っています。

――ありがとうございました。

【今回取材させて頂いた会社】
株式会社アドウェイズ。2001年創業のインターネット広告企業。2006年に東証マザーズ上場。国内最大級のアフィリエイトサービス「JANet」「Smart-C」の運営をはじめ、スマ―トフォン向け広告配信サービス「AppDriver」や全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN」を展開する。また、アプリやコンテンツの企画・開発・運営など多彩な事業を展開。日本を始め、アジアを中心とした世界各国への海外展開も行なっている。

文:成田千草
写真:西村克也

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