ヴォーカーズは2019年4月24日、「平成を振り返る、日本企業の『躍進』と『衰退』の理由」を発表した。

調査レポートでは、平成の間に時価総額を大きく拡大させた「平成ビッグ4企業」と、平成元年では時価総額ランキング上位であったものの、今では上位から姿を消してしまった「レガシー企業」をピックアップ。

評価スコアと社員クチコミから組織の特徴を分析し、躍進できた理由、後退した理由を探っている。

評価点が高い平成ビッグ4、「若手の活躍」に課題のレガシー企業

平成に躍進し、現在高い時価総額を誇る「平成ビッグ4企業」には、ソフトバンクグループ、ファーストリテイリング、キーエンス、リクルートホールディングスをピックアップ。

対して、時価総額ランキング上位から姿を消してしまった「レガシー企業」には、東京電力、東芝、三菱重工業、日本製鉄をピックアップした。

「平成ビッグ4企業」は、「レガシー企業」よりもスコアが高い傾向にあり、とくに「20代成長環境」「社員の士気」「人事評価の適正感」「風通しの良さ」の4項目で両者の差が大きく開いていた。

競争力ある組織を構築し、若手社員を活かすことのできた「平成ビッグ4企業」と、昭和のシステムを残したまま、若手を活かすことができなかった「レガシー企業」という構図が浮き彫りとなった。

レガシー企業社員の持つ危機感、変化を求める声

Vorkersに寄せられた「経営者への提言」からは、「平成ビッグ4企業」からは現状に甘んじず変化を求める声、「レガシー企業」からはこれから生き残っていくために何をすべきかなど、社員が感じている課題がうかがえた。

「創業期から成長期を経て、次なる成長のステージを目指している段階。より多様な人材を獲得するために、報酬だけではない価値を提供すべき。(経営企画/男性/ソフトバンクグループ)」

「失敗を恐れずチャレンジする精神が社員全員に浸透すればまだまだ伸び代がある。社長からのメッセージが聞きたい。どんどん発信してほしい。(接客/女性/ファーストリテイリング)」

「働き方の多様化が急務。ライフステージに応じたフレキシブルな働き方を認めること。長時間労働をよしとする企業文化を早急に改善するべき。(営業/男性/キーエンス)」

「成長がすべてのように感じる。人の幸せの多様性も考慮した企業文化がこれからは必要になるのでは。(マーケティング/男性/リクルートホールディングス)」

「社員の評価制度を根本的に見直し、より信賞必罰を徹底すべき。また、戦力外の年配者が多すぎ、若手のモチベーションが低迷していることも改善していただきたい。(事業企画/男性/東京電力)」

「覚悟を決めて、どの分野で活路を見出していくのか明確にすべき。かつての大企業としてのプライドは捨てる方が良い。(コーポレートスタッフ/男性/東芝)」

「優秀なエンジニア・事務職は多々いるので、彼らにどんどん仕事を任せて経験を積ませてあげてほしい。コンサルに組織改編や改革の意見を求めるのも良いとは思うが、次を担う若手にそのような機会を与えてあげれば、彼らがそれを持ち帰り各事業で同じように改革をするという好循環が生まれると思う。(化学プラント/男性/三菱重工業)」

「経営者が従業員から遠すぎて、現場の声がきちんと届いていない。対話する機会を自身で設け、なにが労働現場で起きているのかを把握したほうがよい。(マネージャー/男性/日本製鉄)」


*本レポートの情報は同社が運営する就職・転職情報サイト「Vorkers」で会社評価レポートへの回答を通じて収集された。

<参照元>
『平成を振り返る、日本企業の「躍進」と「衰退」の理由 ~躍進したビッグ4、沈んだレガシー』
働きがい研究所