JTBグループでさまざまなコミュニケーションサービスを提供するJTBコミュニケーションデザインは、「平成の課長調査」の報告書をまとめ、2019年4月12日に発表した。
調査によると以下のことが明らかになったという。
平成時代の課長は「ストレスが多かった」
平成時代を課長として過ごした日々を振り返ってもらったところ、もっとも多かったのは「ストレスが多い」(46.8%)で、以下「上司と部下の板ばさみになる」(37.1%)、「課長としてこれでいいのかと不安がある」(34.0%)、「忙しく、時間の余裕がない」(32.6%)、「課長は孤独である」(32.1%)が続いた。なお、30代課長では、「人として成長できる」(31.0%)、「挑戦できる」(23.5%)など前向きの意見も目立った。
その課長自身が新入社員だった当時、上司であった“当時の課長”は「権威があった」「部下から頼りにされている」と見えていた。
さらに、いま課長の部下である若手社員からは、「ストレスが多そうだ」(38.5%)という見方もあるものの、「部下から頼りにされている」(33.5%)、「部下からよく相談されている」(27.5%)とも映っている。
同社では、部下の信頼を受け、頼られつつも、かつての課長が持っていた権威は感じられず、ストレスや不安を胸に仕事をする、平成時代の課長の姿がうかがえるとしている。
平成時代でやる気が高かった時期は、30代課長は「最近の5年間」(34.5%)が最多、その主な理由は「昇進した(65.2%)です。40代課長は「いざなみ景気(2002~2007年)」(30.3%)が最多、その主な理由は「ハードだったが、やりがいがあった「成長できた(ともに49.6%)だった。50代課長では「バブル崩壊期から平成不況期(1991~2001年)」(43.8%)が最多、その主な理由は「ハードだったが、やりがいがあった」(48.0%)だった。
職場の人間関係の悪化がやる気を失わせた時代
平成時代で、やる気が失われたのは、各年代とも「最近の5年間」がトップ(30代課長28.0%:40代課長34.5%:50代課長44.8%)。特に、高年代層ほど、やる気が失われたとする割合が高くなっている。
やる気が失われた理由は、いずれの年代でも「職場の人間関係がよくなかった」が最多だった。
令和を迎えるにあたっての課長の意気込みは、「まだやれることはたくさんある」(35.2%)がもっとも高く、以下「管理職として、もっと成長したい」(33.5%)、「組織の長として、部下を成長させたい」(31.9%)、「新しいことに挑戦してみたい」(30.6%)など、前向きなものが続いた。
なお、若い課長ほど「もっと成長したい」「もっと高い役職」など、上昇志向が強いこともわかった。
課長の令和の会社についての、状況予測は、発展18%現状維持52%下降2%と、全般に弱含みだ。「現状維持」「下降」の見通し理由は、「社内の連携や協力ができていない」(44.2%)、「自社の魅力を発信できていない」(44.0%)などが中心である。
平成時代の課長に、「新入社員として人生をやり直すとしたら」と聞くと、「家庭や趣味を大切に、マイペースの人生を送りたい」(44.7%)がもっとも多く、「知識や技術を身につけ、専門家として高みを目指す人生を送りたい」(41.4%)がわずかの差で続いた。他に、「安定した組織で、安心して仕事をしたい」(24.4%)、「革新的な仕事がしてみたい」(20.3%)など、人生のやり直しに多様な希望があることがわかった。
そして、若い課長ほど、「昇進」「独立や起業」などの意向が強いことも示された。
最後に同社では、この調査結果から平成を振り返り、ストレスやハードワークなど悪しき点を意識して改善し、令和に向けて多彩な働き方ができる課長職であることができる職場づくりが必要だと提言してしている。
※本調査は2019年3月時点のもの。
調査は、全国在住の男女有職者で、次の対象者を抽出した。
①現在30~59歳で、従業員数100人以上の企業で「課長」または同等の職位にある人(部下のいない人は対象外)
②現在18~24歳で、従業員数100人以上の企業で「一般社員」の職位にある人
有効回答者数は①1,000サンプル、②200サンプルだった。
<参照元>
『「平成の課長」調査発表』
JTBコミュニケーションデザイン